見出し画像

#4 自律性を育むための環境と言葉がけ

最終回は、自律性を育むための環境づくりについて、書いていきます。


自律性を育むための環境「心理的安全性」

自律性を育むためには「失敗しても大丈夫」と思える環境が必要です。
何か新しいことに挑戦するとき、誰でも最初は失敗しますよね。
その失敗こそが学びのチャンスなのです。

新しいことを始めるとき、最初は上手くいかないことがたくさんあります。
そんなときに「失敗しても大丈夫、どこが原因か一緒に考えよう」と言ってもらえると、悪い結果を出してしまったことに対して悩み過ぎず、次に向けて前向きに考えることができます。
それに比べて、失敗を許さない環境だと、自分自身を責め過ぎてしまったり、次に挑戦することを躊躇してしまったりすることがあります。そんな失敗を許容できる環境のことを「心理的安全性」といいます。

心理的安全性がある環境では、失敗を気にすることがないので、自由に考え行動しやすくなります。
また、積極的にトラブルを体験して、自分の足りない部分を自覚することで、それを乗り越えるためにどうするか考える習慣が自然と身につきます。
そうして自律性が育まれ、子どもはどんどん成長していくことができます。

また、心理的安全性がある環境では、自分自身に対しても優しく接することができます。
例えば、学校で発表するとき、自分の言葉が詰まってしまったり、上手く話せなかったりすることがあります。
そんなときに、自分に対して「失敗しても大丈夫。自分のペースで進めよう」と言い聞かせることができるようになれば、自分自身に対するストレスを軽減することができます。
自分自身をコントロールするスキルを身につけるためには、まずは心理的安全性のある環境を作ることが大切です。失敗を恐れず、積極的に新しいことに挑戦することで、自律性を育むことができます。


子どもが主役!自己決定を促す「3つの言葉がけ」


最後に、子どもの自律性を育むために、わたしたち大人がサポートできることについて、書いていきます。

私は日々受講生と接するなかで、時間に追われ、余裕がなく、自分で決断できない子どもたちを見ることがあり、子どもの教育に対する熱心さゆえの「過剰なサポート」が、逆に自律性を阻んでいるんじゃないかなと思っております。

元・千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一さんも「物理的な時間を増やすことより、ゆとりを感じることができる力を育てることが大切だ」と著書で書かれています。子どもたちが自分で動き出せる、ゆとりのある環境を準備してあげることが、大切だと思っています。

工藤さんは著書「自律する子の育て方」にて、子どもに自己決定を促す「3つの言葉がけ」を紹介されています。その言葉とは以下の3つです。

1,「どうしたの?」(「なにか困ったことはあるの?」)
2,「どうしたいの?」(「これからどうしようと考えているの?」)
3,「何を支援してほしいの?」(「なにか支援できることはある?」)

工藤勇一・青砥瑞人 著「自律する子の育て方」73ページ引用

これはご家庭でもすぐに使うことができる言葉がけです。
まず「どうしたの?」で、自分が置かれている状態を言葉にしてもらいます。子どもが何をしても頭ごなしに叱らないこともポイントです。

次に「どうしたいの?」で、子どもの意志を確認します。自分の状態を解決するための方法を、自分の頭で考えていくきっかけづくりです。

最後に「何を支援してほしいの?」で、解決のサポートをします。どんなサポートが必要か、もしくはそもそも受けないかを子どもに判断してもらいます。同時に、サポートをする意志を示すことで、子どもは「味方なんだ」と認識できるので、さらに心理的安全性が確保されます。

この3つの言葉がけで常に子ども自信が自分で決定できる機会をつくることで、自己肯定感が高まり、自然と自信も湧いてきます。自己決定させることはどんなに小さなことでも構いません。とにかく、子どもでも決められるのにもかかわらず、大人が勝手に決めてしまうことが子どもの自律性を阻んでしまっていることを理解する必要があると思います。


自律性を育むスクール

キープオンでもこの3つの言葉がけと、心理的安全性が確保された環境づくりを心がけ、日々子どもたちと接しています。
「失敗してもOK」そこから原因を考え、仮説を立てて再トライする。その試行錯誤のプロセスで、過去の偉人たちは、現在のテクノロジーを生んでいるのだと思います。

キープオンラボは、「自律性を育む」ことを目的に、2023年度から新たなワークショップを5つスタートしております。
受講生はもちろん、我々スタッフと一緒に保護者の皆さんもワークショップに参加をして、子どもたちに新しい刺激を与えてほしいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

以上4回に分けて「自律性を育むことの重要性」について書いていきました。
日本財団の調査から、各国に比べて日本では「自律性」を持つ人材が不足しており、教育の内容によって社会に大きなギャップが生じています。受動的な教育スタイルがまだ主流であるため、自律性が育まれていない生徒たちは、独立して大人になるときに苦労することが多いとされています。
自律性を育むために近年注目されている教育方法が「アクティブラーニング」であり、当スクールでも「Yononaka」というワークショップで自分で考え、自分で決定する力を育成する機会を提供しております。このワークショップは、誰でも無料で参加できます。

また、自律性を育むための環境として「心理的安全性を確保することの重要性」についても説明しました。失敗してもいいと感じることが、自分自身で考え、行動する気持ちにつながります。
子どもたちが自分自身で決定することを促す3つのフレーズも紹介いたしました。「どうしたの?」「どうしたいの?」「何を支援してほしいの?」の3つのフレーズをご家庭でも使われることで、子どもの自己肯定感と自信を高め、自律性を育むきっかけになるでしょう。

次回以降も、教育に関する発信をしていく予定です。ひとつのテーマを深堀りして書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?