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#3 対話型の学びがもたらす自律性の育成

近年の激しい社会変化にともない、教育スタイルの変化を求める声も大きくなっています。対話中心で主体的に取り組む授業が必要だという考え方が広がり、小学校は2020年度、中学校は2021年度、高等学校は2022年度から新しい学習指導要領がはじまっています。新しい学校教育で重視すべきことについて、文科省ホームページではこのように紹介されています。

子供たちが「何を知っているか」だけではなく、「知っていることを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」ということ

(参考)新しい学習指導要領が目指す姿 | 文部科学省

つまり、「何を学ぶか」ではなく「どのように学ぶか」を重視した学習にチェンジしていっています。そのために、学校授業では「アクティブ・ラーニング」を取り入れる動きが進んでいます。


参加型授業で自律性を育む!アクティブラーニングとは

アクティブラーニングとは、参加型の授業形式のことです。教師が単に知識を伝えるだけでなく、子どもたちが主体的に学び、対話を通じてアイデアを共有する授業です。自己学習能力を向上させ、自律性を育む効果が期待されています。

アクティブラーニングの具体例としては、グループディスカッションプレゼンテーションなどが挙げられます。グループディスカッションでは、問いに対する自分の意見を考え、他者と意見交換します。そうすることで、自分の意見を自由に表現することができますし、他者の意見から自分の考えを整理することもできます。

また、プレゼンテーションでは、自分のアイデアを発表することで、フィードバックを受け取ることができます。これを踏まえて、自分のアイデアブラッシュアップし、良い成果物を生み出すことができるようになります。

このような時間を過ごせれば、子どもたちは、自分で考えたり、自分で判断する力を身につけることができます。そして社会に出た後、自律的な行動を求められた場合でも、自分の行動を自分で決断していけると思います。


自律性不足がもたらす社会のギャップ

ただ、今の日本にはそういった「自分で決断する能力」がある人材が不足しています。

いまだ受動的な教育スタイルが主流です。受け身の教育で育った子どもたちは、学校を卒業して社会人になってから急に自律的な行動を求められるようになるので、そのギャップに苦しみ自分が過ごす環境に悩んでいるのです。それが近年の新入社員の離職率や転職率の高さにつながっているといえます。(厚生労働省が2020年に報告したデータによると、2019年における入社3年以内の離職者は約3割です。)
(参考)新規学卒就職者の離職状況 厚生労働省

自分で考えて行動することができず、上司や先輩の指示に従うだけになってしまうと、自分にとって大切なこと、本当にやりたいことを見失ってしまいます。

また、「思っていた会社じゃなかった」「働き方が合わない」というように、社会や仕事への理解の低さにも原因があると思います。思っていた会社や業界と実際の現場のギャップに失望する、自分に合わない働き方に苦しむ、これらの問題は、教育現場でのキャリア教育不足や、情報格差が拡大する現代社会に起因するものと考えられています。


キャリア×アクティブラーニング「Yononaka」

こういった観点から、自律性を育む教育と共に「キャリア教育」も求められており、キープオンでは「Yononaka」というワークショップを月1回開催しています。

よのなかの身近なモノについて、アクティブラーニングの手法で参加者同士で話し合い考えながら、「自律性」を育む学習です。先月は「れきし」がテーマで、6つのワークに対して自分自身の意見を作り、参加者同士で共有するアクティブラーニングを実施しました。

次回は「AI」がテーマです。いま流行りのChatGPTのことも取り上げながら、複数の視点で考えていきたいと思っています。オンラインで参加無料ですので、気になった方はぜひご参加ください!

次回は最後の記事になります。「自律性を育む環境と私たち大人ができること」について書いていきます。ぜひ、次回の記事もお楽しみにしてください!

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