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ロンドンからの手紙

3歳の時に見た幼稚園のお友達のバレエ発表会。あまり記憶にないのですが、恐らくそれがきっかけでキラキラ輝くバレエの世界に憧れを持ったのでしょう。それからと言うもの私は両親に言い続けていました。

「バレエを習いたい!」

幼少期は父の仕事で転勤が多く、生まれは愛媛、幼稚園は広島、小学校は東京と奈良に住んでいました。いつもバレエ教室を見学に行ったと思ったら転勤。バレエを始めるまでは家でビデオや絵本を見ながら一人で練習をしていました。見様見真似にポーズを決めたり、音楽に合せて踊ってみたり。

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お世話になったビデオ・絵本リスト
1.ローザンヌ国際バレエコンクール1997年 録画ビデオ
  →アリーナ・コジョカルが参加していた年です。
2.魔法のバレエシューズ エリザベス・コダ・カラン 作・画 
3.うさぎのくれたバレエシューズ 安房 直子 文 / 南塚 直子 絵

この2冊はお子様にお勧めのバレエ絵本です。何度読んでも楽しめる!

小学校5年生、10歳になった時でした。7年待ってバレエを始めた当時の喜びは今でも忘れられません。バレエを始めてからはプロフェッショナルの舞台を見たいと思うようになり、毎年お年玉やお小遣いを貯めて舞台を見に行く様になりました。

初めて見た公演はロシアの旧レニングラード国立バレエの白鳥の湖。当時はイリーナ・コルパコワ、リュボフィ・クナコワが活躍していた時代。東京の上野にある東京文化会館まで母に送ってもらい、一人で舞台を見ました。

その次に見たのが世界で活躍するダンサーのガラ公演。日本人ダンサーである熊川哲也さん、吉田都さんが現役で海外で活躍されていました。当時、私の知る海外バレエはバレエ漫画の世界。カーテンコールは、花束が舞台上に投げられ拍手喝采。なぜかそれが頭にあり、小さな花束を抱えて劇場に向かいました。

↓ 東京文化会館の入り口

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「舞台に花束を投げたら、ダンサーが拾ってくれるかもしれない。
手紙を書いて入れてみよう。」

世界各国から参加する出演ダンサー達。誰が花束を受け取ってもいいように、学校でやっと習ったローマ字で住所や名前をアルファベットで記入しました。メッセージも書きましたが、これは何を書いたのか全く記憶がありません。

ドキドキしながら劇場に到着すると、花束を持つ小さな私に係員の方が声をかけました。

「どなた宛ての花束ですか。」


そしてその年のクリスマス。一枚のポストカードが自宅に届きました。

手紙を持ってきてくれた母は私に届く初めてのAir Mail(国際郵便)に首をかしげていました。当時12歳の私は海外に友人はおらず、心当たりがありません。

届いたカードには英語で、

"Season's Greetings and Best Wishes for the New Year" 
季節のご挨拶とよい新年を!

そこにはバレリーナがパートナーと踊る美しい絵が描かれていました。天井に向かってすっと伸びた綺麗な手。指先を見つめる瞳。きちんとセットされた髪。憧れのトウ・シューズ。力強く女性ダンサーを支えるパートナー。

裏面は日本語で私の名前と住所。ゆっくりと送り先を確認すると、、、

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イギリスのロンドンにあるロイヤル・バレエ団。吉田都さんからでした!!ロンドンからの消印、1996年12月23日。日本宛てのクリスマスカード。

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         ↑ 初めて見たイギリスの切手

実は公演後、係員の方が花束を吉田都さんに届けてくれていたのです。劇場の入口で質問されて戸惑った私。話を聞くとダンサーの楽屋に花束を届けてくれると分かり、当時憧れていた都さん宛にお願いしました。

公演後に花束を受け取った都さんが手紙をロンドンまで持ち帰り、クリスマスカードを送って下さったのです!当時彼女はロイヤル・バレエの最高位プリンシパルダンサー。思いがけず届いたロンドンからの手紙。感動のあまり興奮し、信じられず、ただただ喜びがこみ上げてきました。次のレッスンも頑張ろう!

バレエを始めた当時の幼い自分を思い出す、大切な宝物です。

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