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個展をした話

個展をした。
友人から「なんか展示やれ」と言われたことだけが理由ではない。

いつかやってみたかった。
けど、自分には無理だって思っていた。
だって、誰かに見せるようなものなんて何もなかったから。
いつかなんて、やってこなかった。
けど、不意に来てしまった。そしてそれを受け止められた自分がいた。

ふいに僕に1年近い時間が与えられた。
その間続けてきたのが写真だった。
なんで写真を撮っているのかわからない、けれど撮らずにはいられない。

世界中に写真を撮っている人なんていくらでもいるのに、
なんで俺が写真を撮るんだろう。俺の写真になんの価値があるんだろう。

価値?

なんだそれ。

僕は僕の見ている、今目の前にあるこの空気と世界を残しておきたい。
忘れないようにするため?いや、そういうネガティブな感じじゃない。

もっとこう、ポジティブな。
あ、ここにいたんだ、俺。みたいな。何か確認できるような、登頂旗?みたいな。

誰かに認められたいとか、
素晴らしい何かを作ってやろうとか、
もうそういうのはどうでも良くなった。

俺が見たものを、ただ残してみたい。
なんか文句あっか。って。

あ、やっぱウソ。認められたいし、素晴らしい何か作りたい。

たくさんの場所に行って、たくさんの人と話したけれど、
そこから自分は見つからなかった。
比較はできても、それは自分じゃないんだ。
比較ができる自分っていうのは、いつも「ここ」にいたのだ。

だから僕はまたシャッターを押す。
衝動的に、意図的に、焦燥感と共に、無意識に。

その8,760時間の先に見つけた何かと、
それまでの経験が、写真に乗っかってくるから。
だからそれを散りばめた空間を作って展示した。

そしたら、来てくれた人に何かを届けられた気がする。
自分にも何かできるんだって、やっとわかった気がした。
僕の足跡は、誰かを幸せにできるんだって。無駄なんかじゃないって。

そういうことを、今回個展をして思ったような、思ってないような。
とにもかくにも、やってよかった。
ってことを、残しておきたくて言葉にしてみた。

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