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ぼくの「りんかく」6 - 写真の流れに違和感が

2023年5月21日(日)に行われた文学フリマに出品する「りんかく」という写真ZINEについて、作者サイドからあれこれ裏話をするnoteです。
「だれかに写真を撮ってもらうと、自分から見えない『輪郭』が見えて立体的になる気がする」。この本は多拠点生活の「りんかく」を集めた立体記録。

ここからは淡々と写真を掲載するページが続きます。一つ一つの写真にはもちろん意味がありますが、それを語ると僕の旅日記になってしまうと思って本自体には何も書いていません。

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一生懸命に何かをする、って実はすごいことかも知れないと思い始めました。

けれど、「一生懸命」と「がむしゃら」な状態は紙一重だなとも思います。一生懸命は好きなことをしていて楽しいイメージがあるんですが、がむしゃらは好きとか嫌いとかじゃなく、無理やり何かに取り組んでいる感じで、無理している状態のような。

今回の本を見てもらった時に「こういう視点なんですね」「自然体で温かい」みたいな言葉をもらって、初めて「一生懸命に何かをしていたんだな」と思うことができました。

それまでは「撮りたいと思うから」くらいの理由しか思い浮かばなかった自分の写真。「それをやってどうなるの?」みたいな気持ちさえも持っていて、あまり自信がありませんでした。本にまとめたことで、初めて「あぁ、これでよかったんだな」と思うことができた気がします。

僕の写真を見てくれた皆さん、コメントをくれた皆さん。本当にありがとう。

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15-16 思い出が降ってくる

このページには人の写真をたくさん載せました。
本への掲載許可はいただいていますが、不特定多数へ届くメディアであるnoteへの掲載は見送ろうと思います。

なので、コメントだけ。

人は載せないつもりだった

この本を作り始めた時、人を掲載しない本にするつもりでした。人がいても後ろを向いているとか、風景になっているとかにして、基本的には風景写真の本になるだろうと考えていました。

けれど写真を集めるうちに何かが足りないと、違和感を感じるようになります。

スマホで見た世界も「りんかくの一部」だ

人が大きく写った写真を使うことは、この本を単なる個人の思い出写真集に仕立ててしまうんじゃないか?この悩みが再燃します。

なぜか僕は一眼レフで撮影した写真だけを集めて、この本を作るつもりでした。けれど、スマホで撮影した写真にも印象的なものがたくさんあることを知っていました。無条件でそれを捨てるようなことをしていいの?と。

僕が見てきた風景の間にいろいろな出会いがあって、その人たちとの関係性があって、そこで撮れた写真を流れるように見せることができたら。それって「綺麗な写真集になりかけたもの」に、別の輪郭…、その風景に至るまでに何かが起こっていた…みたいな話を表現できるのではないか。

…だったら、小さく使うか。しかも1ページに複数。

1ページに1枚だけ写真が置かれていると写っている人やものが主役に見えてしまうけど、何枚もあれば印象が拡散して「人が写っている写真を集めたページ」くらいに印象が変わって、りんかくの一部として成立するんじゃないか…。

そうして出来たのがこのページでした。
結果的に淡々と続くページにリズムが生まれ、場面が展開するような印象も生み出すことができたのではと思っています。

僕だけで成立している毎日じゃないこと

結果的には冒頭で僕が抱いた「何かが足りない」感じは消えたと感じています。
まだ上手く言語化できていないし、これがベストな形なのかはわかりませんが、僕の生活には自然だけでなく、人の存在がとてもとても大きかったことを無視したくなかったんでしょう。

17-18 年末年始の北海道

「年末年始を地元ではないどこかで過ごしてみたい」と考えて向かったのは、北海道でした。特に理由はなく、なんとなく行ってみようと思ったくらいの気持ちです。強いていうならお正月に雪があるというのを経験したことがなかったので、体験してみたかった…でしょうか。行き先は風まかせ。

年末、仙台からフェリーに乗り込み苫小牧港へ。船には北海道へ帰省をするのか、荷物の多い人が多くいたのを覚えています。

サッポロのトトロ

ここはADDressの札幌E拠点。
シェアハウスと連携した場所で、部屋数が30?くらいある大きな建物です。こういった場所は関東近郊であまり滞在したことがなく、そのコミュニティーに入っていけるかな…という心配と共に向かいました。

その入り口にあったのがこの「雪で作ったトトロ」です。滞在中に聞いた話によると、韓国からワーホリで来ていた女の子が作ったとのこと。その子は日本のドラマやアニメが好きで、それで日本語を覚えてしまったそう。実際話してみるとほとんどの会話がスムーズだし、スラングなども使ってくるので日本人と会話しているみたい。好きこそ物の上手なれ、ってこういうことなんだな。

そんな感じで拠点になんとなーく打ち解けて、フランスからワーホリで来ていた人にピザを作ってもらったり、就職したばかりの人と仕事について話をしたり。いろいろな人が馴染む、独特の空気感のある拠点でした。

北海道神宮へ初詣

その日は雪がチラチラと降る中、バスを何度も乗り継いでいくつか神社巡りをしました。もちろん主な目的は御朱印。御朱印きっかけでいろいろな神社を知ることができるのが嬉しい。

小さな神社も大きな神社もそれぞれ特徴があって楽しかったのですが、その中でもこの「北海道神宮」はその規模感や周辺の空気感がとても印象に残りました。

広い境内だからこそ撮れたこの写真。
この頃「雪を綺麗に写すにはどうしたらいいんだろう」とググって調べた方法を実践していたのですが、それにはフラッシュを使う必要がありました。

狭い境内だと周りを気にしてフラッシュを使いづらかったのですが、これだけ広い場所なら誰も気にしないだろう!と撮影できたのがこの写真だったりします。

雪のあるお正月

「雪のあるお正月」といっても、日本だしお雑煮を食べるし、お正月の曲が流れているし、大きく変わらないんだなと思いました。慌ててワークマンに雪靴を買いに行ったり、お正月に雪で滑りそうになったのは新鮮だけど、お店が早く閉まって食事に困るなんて、お正月って本来そんな感じだよな、なんて思ったり。
ドカ雪が降らなかったのは不幸中の幸いで、もし雪に閉ざされていたら、、、この滞在は違った印象になったんでしょうね。

まとめ

淡々と続く写真集の中で、急にいろんな表情の人の写真が出てくるページが現れました。それもたくさんの輪郭の一部で、僕がみてきたものでした。

「個人の思い出みたいな写真を掲載することは今回避けよう」と思っていた僕は、謎の一眼レフで撮った写真縛りをしながら構成をまとめていましたが、どんどん違和感は大きくなります。結果的にスマホで撮影した印象的な写真もうまく取り込みながら、全体の構成をすることで思い描いていた「りんかく」というものに少し近づけた気がしています。。

さてこちらの冊子、現在はADDressユーザー限定になってしまうのですが鶴巻温泉A邸で閲覧・購入ができます。(家守さんのご好意でおいていただけることになりました!)
滞在される機会のある方、よろしければキッチンにある物販棚をチェックしてみてくださいね。




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