小説「うんこ」

えたいの知れない巨大な塊が、始終私の下腹部を圧さえつけていた。私はその時重要な会議の最中で、すぐにその場を離れることが出来ず、暴れまわる巨大な塊を一時だけでも制御しようと肛門括約筋に全身全霊のエナジーを流し込んだ。

すると奇妙なことに、徐々に苦痛が和らいで、なんとも形容しがたい、、あれは何と言ったらいいのか、、快楽と言えばいいのか、調和と言えばいいのか、、世界の因果を統べる偉大な調停者が突然体に憑依して自由を奪われる、といったような感覚が私の下腹部を完璧に支配した。私は身動きがとれなかった。

オーマイガ。私は心の中で叫ぶことしかできなかった。
調停者は、私の下腹部を支配した後、にょきにょきと、一切遠慮を知らない育ち盛りのタケノコのように、私の肛門括約筋を無遠慮にこじ開け、そして恐ろしいほど大胆に、調停者としての裁定を下したのだ。

因果とはなんと残酷なことか。それは私にとっては完全に調停者などではなかった。それは私にとって、辺り一面に不条理をまき散らす巨大な大蛇の魔物に過ぎなかった。私は、部屋中を不条理で満たそうと暴れまわるその魔物を、スサノオの勇猛果敢をもってして、もはや人目も憚らずに、全速力で便所まで抱きかかえ、聖なる泉の中に放り投げた。

おわり






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