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資本主義の問題点と解決策をサクッと

今回は斉藤幸平さんの紀要論文「人新生の環境危機とマルクスの脱成長コミュニズム」についてサクッと要約する。

ワークショップの要点をまとめたものらしいので、詳細はメタ科学技術研究プロジェクトwebサイトスライドを参照されたいということだ。

まず現状起こっている環境問題の原因について、資本主義においては資本の価値増殖を第一の目標としているせいで、社会的論理と自然的循環の緊張関係が生じ、その結果として本来的な人間と土地の物的代謝が撹乱された。

その資本主義の中でも問題なのが、人工的希少性である。水や空気などの資源は商品化され、技術も特許などを用いて法的に希少性を担保する。資本主義はその過程で意図的な破壊や浪費を進めていく。

解決策としては、『「人新生」の資本論』にも書いてあったように脱成長コミュニズムである。

そのための具体的な柱として5つ挙げられている。①使用価値経済への転換、②労働時間の短縮、③画一的分業の廃止、④生産過程の民主化、⑤エッセンシャルワークの重視である。すべてに共通する点は経済活動のスローダウンであるが、ここでは①使用価値経済への転換について。

これまでの経済の「売れれば良い」の価値で必要のないモノが生産されるシステムから脱却し、人々のニーズを満たすシステムへの転換である。

自然制約の中で社会が本当に必要としているものは何なのかを見極め、不必要な生産を避けることが重要である。

いい感じ。他には、環境破壊格差を批判する理論的枠組みとして、「エコ社会主義」(ナオミ・クライン)、「戦時コミュニズム」(スラヴォイ・ジジェク)、「エコロジカル・レーニン主義」(アンドレアス・マルム)、「脱成長コミュニズム」(斉藤幸平)が挙げられてたけど、脱成長コミュニズム以外初めて聞いたので一つずつ調べていきたい。

やっぱり一次情報に触れるのは手触り感があって楽しい。続けていこう。

~参考文献~
斉藤幸平 (2021), 人新生の環境危機とマルクスの脱成長コミュニズム,
21世紀倫理創成研究, 14, 130-135

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