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『町でいちばんの美女』のつまんない感想文です。

今回はただただ感想を。ネタバレあります。

チャールズ・ブコウスキー著『町でいちばんの美女』

町でいちばんの醜男が
バーのカウンターに座っている。
そんな男とは対照的な町でいちばんの美女、キャス。

彼女はその美しさ故に愛を信じることができない。
この世の男は彼女の美しさだけを求めている。
中身など見ていない。
彼女に寄ってくる男のことをそんな風に考えていた。
そして美男子に対しては中身が何もないと反感を抱く。

醜男と話が盛り上がっていく。
すると、彼女は次のように尋ねる。  

“あたしのこと、きれいだとおもう?”

もちろんきれいだと、醜男は答えるのだが、
キャスは長いハットピンを鞄から取り出し

そのピンで自分の小鼻を刺し貫く。
そして尋ねる。  

“さあこれでも、あたしはきれい?”

彼女は狂っている。
自分の美しさを狂気的に毛嫌いしている。

かと思えば醜男とベッドに入る時は、自分をきれいに見せたいという気持ちを隠さない。

そんな彼女に愛しさを感じるのは、やはりその美しさがあるからだろうか。

醜男はそんな不安定な彼女に愛を捧ぐ。
言葉で、態度で、
キャスにもそれは伝わっているように見えた。
そして気付いていたに違いない。
それがだということに。

しかし
キャスはその愛を信用しなかった。
何も信用出来なかったのではないか。
自分自身でさえも。

他の男と飲んだくれたキャスはこう言う。

“だって、あたしに惹かれたのかとおもったんだもの、この軀にではなくてさ”

相手の目的が自分自身ではないと知ったときの苦しさ。
少しの信用も無駄になることを彼女は知っていたのだ。

醜男がキャスに一緒に住むことを提案を断った時も
本当はその幸せを信じたかった、
彼の愛を信じたかった、
自分には美しさではない何かを持っていると信じたかった。

でも、

それが彼女の最後の姿になろうとは。

美しいまま20歳で死んでいったキャス。

本当に、美しさに固執していたのは彼女だったのではないだろうか。


この物語はほどほどを知らない。

#チャールズブコウスキー #町でいちばんの美女 #レビュー #読書 #エッセイ

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