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コロナ禍でペットを飼う人

2017年頃から2020年2月まで、私の30代後半は老犬介護(と子育てと家事と仕事)一色だった。

「ずっと犬を飼い続けたい」
幼少期から共に育った犬を亡くし、実家ではもう犬を飼ってはくれず、犬のいない数年間を経て19歳で初めて自分の犬をこの腕に抱いた時から描いていた人生設計のひとつ。これひとつしかないと言っても過言ではない。

しかし犬を飼い始めた時には予想もしなかった老犬介護を経験し、看取り、考えが揺らぐ。

親の健康寿命から予測すると私のそれは平均よりも短い。
今よりもっと年を重ねた自分に先代と同じだけの世話や介護が出来るかどうか、体力だけでなく判断力も鈍り冷静さも欠いているかもしれない。
犬より先に死ぬかもしれない。

そう思うと踏み切れなくて、でも今いるまだ若い猫たちはきちんと世話をするつもりだし、20年以上先の自分が思ったよりもお金を持っていて元気だったら、犬飼えたじゃないか…!と絶望するに違いない。

そんな葛藤と、現実と、夫のやんわりとした反対(いざ迎えたら可愛がりまくっている)。

先代を看取ると同時にコロナの世になり、家族は在宅勤務に休校。
何から何まで自粛。
更には子供の反抗期。
おまけに親の癌闘病に在宅介護。

老犬介護中にグダグダになっていた人間たちの生活をここで一つ立て直そうという私の思いに多方面から横槍が入っただけでなく、「私」がどこにもいなくなってしまった状態での数ヶ月は結構しんどくて、私は私の「一番好き」と再び共に生きることに決めた。
「コロナ禍でペットを飼う人」となったのだ。

コロナ禍でペットになった犬はとてもかわいい。
今度こそ私の最後の犬。
一緒におばあさんになろうね。

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七
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