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自分の英語の会話を、評価する

「評価」というと、成績など結果のイメージが強いでしょうか。点数やABCなどの段階によって序列をつけるやり方は、評価の一部でしかありません。

他の人と比べることなく自分自身と向き合うKECのコーチングでは「ここ、いいなぁ」「これは、もうちょっと感じよくできそう」というようなやわらかい評価を大切にしています。評価することから学び、評価をその先にある学びの根拠にしたいからです。

STEP 6 評価する

このステップでは、文字起こしした会話をよく見て、自分のパフォーマンスの良いところ、気になるところなどを書き出します。ここでいう「パフォーマンス」とは、発言した内容 (verbal cues) だけでなく、ジェスチャーや表情など (nonverbal cues)を含みます。

このステップのポイントは、「自分のパフォーマンスと会話相手のパフォーマンスを、公平に評価する」ということです。最初のうちは、つい自分が発言した部分だけに注目しがち。しかも「発音が悪い」「言いたいことが言えてない」「黙っちゃったよ」などと辛口の評価をしたくなるかもしれません。フィードバックを受けながら、少しずつ視点を増やすトレーニングをおこないます。

Sequence に目を向けて、学習ターゲットを絞りこむ

たとえば、自分の言ったことに対して相手がどう反応したかに着目します。すると「お、意外と伝わってる」「相手が助け舟を出してくれている」「相手が勘違いした」などと気づきます。では、その後はどうなっているでしょう? 「なんとか通じた」「おかしな方向へ進みはじめた」「強引に話題を変えた」など。では、その後は?

あるいは、聞き手としての自分のパフォーマンスを見ていきます。相手の発言のあと、自分はどんな応対をしているかな。話し手にとって、聞き手である自分は話しやすい相手かな。ここで、この返事はアリだったかな。

こうして、一つひとつの発言 (utterance)ではなく、つながったカタマリ (sequence)に目を向けていくと、「ここは、まぁよしとしよう」「ここは絶対に直したい」などが見えてきます。学習のターゲットが絞られ、どこから手をつけるか、優先順位がはっきりしてくるのです。

大人の英語学習では「1から10まで、網羅的に全部やる」というわけにはいきません。英語学習に使える時間やエネルギーは限られているし、途中で忙しくなったり、やる気がなくなったりもします。どうしても外せない項目だけを、重要な順に学んでいくのが現実的で、効率的で、効果的です。

そして「我ながら、結構よくできてるじゃん」というところも照れずにきちんと評価します。良いところはしっかり褒めて伸ばしてあげましょう。

相手のパフォーマンスも評価する

あわせて、会話相手のパフォーマンスも評価します。「ははぁ、なるほど」「うまいなぁ」と感心することもあるでしょう。「いいな」「好きだな」と思ったところは遠慮なくどんどん真似するようにします。気に入った表現は声に出して練習。口がなめらかに動くまで繰り返しておきます。

ときには「ネイティブでも詰まったり、言い直したりしてる!」などと驚くことがあるかもしれません。考えてみれば当たり前のことなのですが、日頃、いわゆるリスニング教材やニュースキャスターの原稿読み、俳優のセリフなど、ミスのない”完璧”な英語ばかりに触れていると、普通の人間が普通にすることほど新鮮に感じられるようです。

「完璧じゃなくていいんだ」と気づくと、自分のパフォーマンスに対する評価や英語学習に対するイメージが変わる場合があります。知らず知らずのうちに上がっていたハードルを下げる効果もあります。

見つけたことが、「レッスン」になっていく

自分の会話を「聞く」「書き起こす」「評価する」という作業を通じて、受講生は自分の英語を上達させるために何をすればいいか、具体的に並べることができるようになります。同時にコミュニケーションに関する自分の癖や思い込み、パターンなどにも気づきます。自分で見つけ、納得して、やる気を高める。これで、次の「STEP 7 レッスン」に入る準備が整いました。

Photo by Annie Spratt on Unsplash

#KECプログラム

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