#BPOを動かそう…というか、動け。【BPO内にテレビ各局と旧ジャニーズ事務所との関係について第三者調査委員会を設置するよう要望する緊急署名に賛同します】
このnoteの文末に署名の概要とお願いがあります。ぜひ最後までご高覧ください。
2016年1月18日以来、私が失望と不信を抱き続けているものはいくつもあるが、その代表が地上波テレビキー局をはじめとする大手メディア、そしてBPO(放送倫理・番組向上機構)だ。
地上波の生放送で所属する芸能プロダクションの社長の名を挙げ、国民的アイドルとしてその名を知られたタレントたちが頭を下げるという異様な事態。
それも後に番組スタッフが「小説」という形を借りて明かしたところによれば、その「公開謝罪」は本人たちの意思でも番組制作者の意図でもなく、事務所「ソウギョウケ」による強要であった可能性が高い。
仮にそれが事実なら、一芸能プロダクションとテレビ局の協働による公共の電波の私物化と、タレントに対する人権侵害が疑われる事案である。
少なくとも番組を放送したフジテレビ、フジテレビからの提供映像を無批判に流したNHKと他の民放各局、そして、放送倫理や人権問題の検証、放送局への勧告や見解や意見などの公表を責務とするBPOによる検証が成されて然るべきだろう。
しかし2016年当時から現在に至るまで、この出来事が適切に検証されたことは一度もない。
BPOには、当時既にこの生放送について「パワハラだ」「無理やり謝罪させた」などの抗議が1月だけで約2800件寄せられたという。それにも関わらず、同番組の内容がBPOが規定する「放送倫理違反」(捏造、虚偽、不適切編集などを対象とした限定的なもの)に当たらないこと、また「放送によって名誉、プライバシーなどの人権侵害を受けた」という本人たちからの申立てがないことなどの理由から審議すら行わなかったという経緯がある。
前述の通り、実際にはこの生放送は多くの視聴者が直感的に感じたように、優越的地位にある側による「パワハラ・人権侵害」であった可能性は高く、そもそもそのようなパワハラ構造下での「本人からの訴え」が極めて困難であることは、誰もが想像できる。
そう考えれば、そのようにハードルの高い「本人からの訴え」でのみ動くというBPOのルール自体が、本事案のように公共の電波を使った「ハラスメント」には対応しきれないものだと言わざるを得ない。言い換えればそれは、この出来事がBPOがそれまで想定してきた適用範囲内では捌けない、それほど前代未聞の出来事だったという何よりの証であろう。
だからこそ本来あの時問題にすべきは、そのような前代未聞の事態を成立させてしまうほどの事務所とメディアの癒着構造、そしてあのような暴力的な人権侵害を目の当たりにした視聴者への影響の大きさであるべきだった。
それにも関わらずそれを看過したことは、私にはBPOによる重大な過失だったと思える。
さて、2023年。
3月のBBC報道を契機として、旧ジャニーズ事務所創業者による児童性的虐待問題が社会問題化した。その社会的関心は高く、BPOにも視聴者からの多くの意見が寄せられた。
特にこの問題についての国連「ビジネスと人権の作業部会」の記者会見と、当該事務所の「外部の専門家による再発防止特別チーム」(以下、特別チーム)の調査結果の公表があった8月に寄せられた意見は全体で前月を508件上回り、総数の3分の1以上がこの問題に関するものだったという。
そして、特別チームの報告書によって事務所とメディアの癒着構造を背景とした「マスメディアの沈黙」が指摘されたこともあってか、それ以降は
のように、この問題の「当事者」としてのマスメディアの責任の追及、検証の必要性を問う意見が寄せられるようになった。
その後、各テレビ局による検証が実施されてからは、
と、テレビ局の「お手盛り」の検証では未だ不十分、第三者機関による検証を求める声が上がる。これには当然、第三者機関としてのBPOによる検証への期待も含まれていただろう。
そしてこのタイミングで改めて、
という意見が再度寄せられたことは、あの2016年1月18日の「公開謝罪」が、この性的虐待問題における「マスメディアの沈黙」の背景である事務所とメディアの癒着構造の象徴であり、検証すべき端的な証拠として捉えられていることに他ならないだろう。
それでは、こうした「声」を受けたBPOはどのように動いたのか。
その答えの一つが、2023年12月4日にBPO理事長名義で発表された「芸能事務所における性加害問題について」という公式声明だ。
結論から言えば、起こっている事案に対する社会的関心の高さ、マスメディアを巡る社会問題としての重大性に比べて、この「声明」はあまりに軽くかつ曖昧である。
ここでBPOは多くの視聴者から不十分と指摘された各局の検証番組を第三者機関として詳細に検証することはせず、
と述べるに留めた。
また、多くの声が寄せられていた2016年1月18日の生放送については、改めて審議することはもちろん、同根の問題として触れることすらしないという選択をした。
このことは、長期間にわたる悪質な反社会的行為の隠蔽を可能にしてきた事務所とメディアの体質や支配構造、その一端が如実に表れていたあの異様な人権侵害生放送を「問題無し」として看過し、今なお看過し続けているBPO自身に、「精査と反省を通して使命を再認識しなければならない」(声明より)という自覚が皆無であることを如実に表している。
少なくとも、2016年時点で既に露わになっていた事務所による異様な人権侵害とメディアとの癒着構造を的確に指摘できていれば、この構造の瓦解が幾分かでも早まった可能性は捨てきれない。何より、あの時ならまだ創業者は生きていたのだ。 だからこそ、多くの訴えを受けておきながらそれを看過したBPOの責任は重い。
2024年。
ジャニーズ事務所という名前は消え、被害者への補償業務に専念すると発表されたはずの株式会社SMILE-UP.社にはまだ多くのタレントが在籍し、ファンクラブをはじめとした事業も組織上はSMILE-UP.グループの掌中にある。一方、マネジメントやエージェント業を行う予定の株式会社STARTO ENTERTAINMENT社との資本関係や権利譲渡の詳細などは未だ見えず、補償業務も道半ばという状況にもかかわらず、この問題は既に過去のこととして風化しつつあるようにさえ見える。
しかしもちろん実際は、問題の一因として名指しされている事務所とメディアの癒着構造に基づく「メディアの沈黙」という一点においてですら、(いみじくもBPOの「声明」が語るように)「未だ解決の道筋は見えず、むしろ緒についたところ」でしかない。
そしてここまで書いてきたように、これに関してBPOは「各放送局の動向に非常に注目」だけしていれば良いというような傍観者ではなく、これまで果たせなかった責任を今こそ果たすべき立場にある。
例えばBPOが早急にすべきこと、そしてBPOだからこそできることの一つは、第三者調査委員会をBPO内に設置してNHK及びキー局5社を横断的に調査すること、それを基に各局に対する個別の提言を行うこと、そしてそれらを報告書としてまとめて公表することだろう。もちろん、その際にはこの問題を巡るBPO自身の審議経過の調査もなされるべきだ。
そう。BPOもまた、紛れもなくこの問題の「当事者」なのだから。
フォロワーの皆さまへ
いつもありがとうございます。このnoteに書いた理由で、私は以下の署名活動に賛同しています。
詳しくはぜひ上記リンク先にアクセスしていただきたいのですが、発信者の方々が記されている言葉を、少し長くなりますが以下に引用しておきます。
よろしければご賛同とシェアへのご協力をいただけるととても嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。