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ネットワークビジネスにハマって一家離散した話③ ~現実は小説より奇なり~

この物語はフィクションだったと願いたい作者の記憶をここに綴る2015年の物語である。


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第三章 侵入

夜職にしか見えない自称友達はタバコを吸いながらアパートの外で相変わらず電話をしている。

怒りを今にも爆発させそうな親を必死にけん制しつつアパートの中に入る。

もう仕事でも見ないようなゴミ屋敷だ…。

何よりお酒の匂いがひどい…。

下戸の私にとってお酒の匂いほど苦手なものはない…。

それでも何か手掛かりがないか探さなければならない…。

さながらなんでも屋さんのゴミ屋敷清掃職員の気分がぬぐえない…。

ついつい片づけをしながら、手がかり探しがメインなのか片付けがメインなのかわからなくなりかける…。

ひしゃげた缶ビールを片付けているうちに手がかりというか確証を次々発見する。

こぶしを握り締めている般若のような親に見せるべきか…。

そんなことを考えていたが、意外に親は冷静だった…。

もしくは私が挙動不審だったのか…。

そんなことを考えているまもなく親の手には証拠が握りしめられている。

『家賃滞納のお知らせ』

『市都民税滞納のお知らせ』

『国民健康保険未納のお知らせ』

『○○クレジットカード限度額のお知らせ』

『○○ファイナンス延滞のお知らせ』

もう私は思考を停止して素直に数字だけを眺めよう…。

総額300万円近く…。

携帯電話が止まっている事を考えるとそれも未納…。

督促が来ていない借入金を考えると多分400万円くらいになるだろうな…。

絶対に口には出来ないけどFXに手を出しているだろうからもう1000万円コースでも全然おかしくない…。

頭の前が真っ白になった…。一瞬だったのか永遠だったのかわからないくらい長い時間だった。

そんな中鳴り響くけたたましい携帯の音でようやく私は現実世界に戻る…。

画面を見ると母親から…。

母親からの電話ももしかしたら10年ぶりくらいかな…。

そんなことを考えるくらい現実逃避をしながら電話に出る…。

開口一番沈黙の後一言だけ語る…。

『今弟が家にいる…。』

私は更に呆然とした。




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