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6年ぶりに旅行してわかったこと(前編)


先日、約6年ぶりに旅行に行ってきた。

同期と二人で1泊2日の栃木旅行、コンセプトは「癒しの旅」。

僕の中で旅行というのはめちゃくちゃ楽しいけどめちゃくちゃ疲れるという印象があり、お金と時間と心身ともに余裕がないといけないものだった。
なので、前回の旅行から6年以上もの月日が経ってしまっていた。

だが、今回は違う。

今回は「癒しの旅」であり、疲れてはならない。
つまり、無理をしない旅行。

せっかくの旅行だからといって無理にスケジュールを詰めて色々なところに赴くという考えは捨て、何も考えず旅館でくつろぎ温泉に入って気持ちよくなり美味しいものを食べて好きなことをするという、言わば現実逃避に近い旅をしようということになった。

なので、旅行先も割と近場の栃木にし、当日も無理をしない時間帯、昼の12時に同期と集まった。

レンタカーを走らせ待ち合わせ場所に到着すると、同期が先に着いており、コンビニで買ったブラックコーヒーを僕に差し出してきた。

僕はありがとうと言いながらそれを受け取ったのだが、あいにく僕はコーヒーが飲めず、ブラックなんてものはもってのほかで、受け取るときに一瞬ぎこちない表情をしてしまった。

コーヒーが飲めないことを隠しながら車を走らせ、約2時間かけて日光に到着した。

都会では絶対に見かけないようなコンビニに入り、300円のエナジーゼリーを2つ買った。
店内は商品の判別に困るぐらい薄暗かった。

僕らの入店とともに奥から推定75歳のおじさんが顔を出したのだが、推定75歳とは思えないほどレジの手際がよかった。
おそらくあいつがてづかだろう。

外でタバコを吸って小休憩した。

再度、車を走らせいったん腹ごしらえをしようと日光のとあるご飯屋さんへ向かった。

そのご飯屋さんは絶品の田舎料理と鬼怒川の絶景が楽しめるというスポットで、腹ペコの僕たちは涎を垂らしながら意気揚々と車のアクセルを踏んだ。

目的地に到着すると、さっきまで晴れ渡っていた空が嘘のように漆黒に包まれ、僕たちは超絶豪雨に襲われた。

駐車場から走って店内に入り、びしょ濡れで席についた。

鮎刺しと鮎の塩焼きと鹿刺しを頼み、景色を見ながら届くのを待った。
晴れていたらすごく綺麗な景色だったのにと嘆きたいところだが、雨が降ることによって激しく揺れる川の流れが逆に乙に思え、これまた一味違った絶景となり、僕たちの心を癒してくれた。

生け簀からとったばかりの鮎が調理され僕らの元へと届いた。

鮎の塩焼きはとってもジューシーで、顔から尻尾まで全部たいらげてしまった。
鮎刺しはまだピクピク動いており、新鮮さ極まりなく、美味いどころではない騒ぎだった。
鹿刺しも全く臭みがなくとても食べやすかったのだが、まだ多少凍っているところがあったので、自然解凍しながらゆっくりと召し上がった。

こんなものを売れていない芸人が食べていいのだろうかと、いつも激安居酒屋のゴムみたいな刺身を食べている僕は、変な罪悪感に襲われた。

お会計を済ましお店を出ると、雨はほぼほぼ止んでいた。

外の喫煙所でヤンキーカップルと同席し、微笑ましい気持ちに包まれながら車に乗った。

ご飯屋さんから30分ほど車を走らせ、僕たちは日光東照宮に到着した。
この30分の間で、同期が5000円ほど競馬で負けていた。
僕も800円ほど負けさせていただいた。

日光東照宮の入場料が1600円もかかることに驚きを隠しつつ、僕たちは鳥居の前でお辞儀をし入場した。


見ざる言わざる聞かざるの三猿を拝み、なんだかわからないガンプラを見て、眠り猫に挨拶してから奥へと続く階段を登った。

せっかくの風情ある日光東照宮なのに、同期がずっと横で「トイレいきたい、ああトイレいきたいやばい、ほんとこれやばい無理トイレ」と、トイレ行きたいアピールがうるさかったので、僕はトイレ行かさざるの姿勢で、アピールなんてお構いなしに先を急いだ。

階段を登っていると、通り過ぎる観光客がみんな口を揃えて「きついよ〜足パンパンだよ〜」とほざいていたので、僕は「俺この階段登るのぜんぜん余裕やなあ!」と周りに聞こえるように言ってみせた。
同期からは「別にそれかっこよくないよ」と言われた。

徳川家康の墓を拝み、眠り猫の御守りを2つ購入した。

来た道を戻ろうと、階段を下っていると同期の腸が破裂しそうになっていた。
御朱印を購入後、心優しい僕はトイレを探してあげて、いっしょにトイレまでついていってあげた。

トイレに入り用を足していると、個室に入った同期の方から、けたたましい破裂音が20回ほど聞こえてきた(ご飯どきに読んでいる人はごめんなさい)。

用を足し終わり外で待っていると、トイレから出てきた同期は、一皮剥けた武人のような、おそらく天下を獲る前の家康のような顔付きをしていた。

いざ本殿に入り、将軍の着座の間を拝見。
中でお守りが売っていたので、来週の宝塚記念に備えて、蹄鉄の勝ち守を購入した。

これで来週の宝塚記念は安泰だろう。
なんとしても帯ってみせる、待ってろ宝塚。

本殿を出て本地堂というところに入った。
入り口で同期が受付の人から何度も英語で話しかけられていた。
僕たちは何を言っているか聞き取れなかったが、強めの口調だったので恐らく怒られていたのだと思う。

同期はとても不服そうな顔をしていた。
さすが沖縄出身といったところか。


本地堂では竜の鳴き声を聞いた。
天井に大きな竜の絵が描かれており、竜の頭の下で拍子木を打つと「キィーン」という甲高い音が反響して竜が鳴いているように聞こえた。
竜の胴体や尻尾の下で拍子木を鳴らしても何も聞こえないのに、頭の下だけは音が跳ね返るので、なんだかドラマのトリックに出てきそうな仕掛けだなあと思った。

本地堂を出るときに、今年限定の御朱印が売られていた。
竜のイラストが描かれていてめちゃくちゃかっこよかったので、本日2度目の御朱印を購入してしまった。

本地堂を出る際、同期が英語で何度も話しかけられたことを嘆いていた。

それから東照宮を出て、真横にある二荒山神社に行った。

別の同期から二荒山神社にだけは行った方がいいと、あそこに行くと次の日めちゃくちゃパチンコで勝てるからとご指南があったので、僕は意気揚々と鳥居をくぐりお賽銭を投げてお参りしまくった。

この二荒山神社でも御朱印を購入した。

二荒山神社を出る際「魔掛け大黒様」という置物があり、その大黒様に触ると、触った部位によって叶う願い事が変わるというものがあった。

顔・身体は健康、小槌は金運、袋は良縁・財宝、俵は財運・商売繁盛、頭は知恵、足は開運となっていたので、僕はノータイムで小槌をなでなでした。
同期は「俺は俵にしよ〜」と言いながら、卑猥な顔で大黒様のお尻をなで回していた。

僕は「それ俵じゃないよ、俵はこっちよ」と指摘してあげながら、お前には知恵が必要だろ、頭をなでろよ、と心の中で思っていた。


車を停めていた駐車場に戻りながら、僕が「なんだかんだ5000円以上使ったな〜」と呟くと、同期から「神社で使った金なんか数えんなよ」と怒られた。
たしかにとは思ったが、悔しかったので無視した。

同期は英語で話しかけられたことをまだ根に持っており、ぶつぶつとそのことを嘆いていた。

駐車場付近にあった池の鯉をのほほんと眺めてから車に戻り、僕たちはホテルへと向かった。

と、今週はここまで。

あまりにも長くなるので読む方も疲れるかなと思い、前後編に分けさせていただく。

6年ぶりに旅行をした僕は、こういった読者に対する配慮もできるぐらい大人になったのだ。

来週、乞うご期待。

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