炒飯が食べたいと駄々をこねていたら目の前に「炒飯屋」とかいう馬鹿みたいな名前の店が出現した件
最近、無性に炒飯が食べたくなる。
食べたくなるというかもう摂取しないと気が済まないというか。
今日は何を食べようかと考えては結局、炒飯に辿り着く。
もう僕の脳みそはパラパラになっているんじゃないかと思うぐらいに、まいにち炒飯で頭がいっぱいだ。
前から炒飯はだいすきだったが、ここにきてより一層、炒飯に対する愛が加速してきた。
もう27歳も終わりを迎えるというのに、なんとも小っ恥ずかしい話である。
今日はそんな炒飯の話なのだが、正直タイトルの文が全てというか、タイトルだけで全て完結する話なのだが、それだと世界一短いエッセイになってしまうので、なぜそういう状況になったのかを書いていこうと思う。
1週間ほど前、ある同期(芸人仲間)から電話があった。
今度髪を切りに行くからいっしょについてきてほしいとのこと。
というか、髪を切りたいからいついっしょに行く?と僕がついていく前提での質問をされた。
いや、え?、、いや、、まあたしかに前にそんな話はしたけど、一回も彼女ができたことないその同期にまずは見た目を清潔感溢れるものにさせようと髪を切らせてその切ってきた髪型が微妙だったので今度髪切るときは俺がいっしょについていってあげるみたいな話はしたけど、たしかにしたけど、まさかほんとに行くことになるとは、なんなら忘れてたしこっちは、もう2、3ヶ月も前にさらっと言っただけやし、そんな当たり前のように言われてもさ、、
とは思ったけど、僕が脳をフル回転させて出てきた言葉は、
「いつでもいいよ〜」
だった。
脳をフル回転させた結果、さらっと言った一言だとしても提案したのは僕だから、男に二言はないから、これはもう絶対に行くしかないなと、そう思った。
そしてその日から二日後、2人で神保町の理容室に行った。
なぜ神保町かというと、ただ単に同期が夕方まで神保町付近で予定があったから。
なぜ美容室じゃなく理容室かというと、美容室に男2人でいくイメージが湧かなかったから。
なぜ男2人で理容室に来たかというと、一回も彼女ができたことないその同期にまずは見た目を清潔感溢れるものにさせようと髪を切らせてその切ってきた髪型が微妙だったので今度髪切るときは俺がいっしょについていってあげると言ってしまったから。
時刻は19時と割と遅め、店内に入ると、まあ当たり前の如く異様な目で見られた。
席は6席ぐらいあり、どれもめちゃくちゃ狭い半個室のようなものだった。
店員さんの服装やお店の雰囲気からしっかりとした印象を受けたので、これは期待できるなと、ちゃんと上手にカットしてくれそうだなと、そう思った。
しかもカットだけで5500円、普段千円カットしか行かない僕からすると大金も大金だ(まああくまで僕は付き添いなのでカットはしないのだけれど)。
「僕は付き添いなんですけど大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫ですよ」
優しい金髪のお姉さんだった。
とりあえず第一関門はクリア。
そして、レジ前に椅子があったので2人で座った。
このレジ前で、髪を切ってくれる人に写真を見せて説明するだけでいいだろう、そう思っていたのも矢先、同期からとんでもない言葉が、
「髪を切るときはずっと横にいてもらうよ」
おいおいおい、こいつは俺がいないと何もできないのか、てかめちゃくちゃ狭い半個室だから、俺が横にいられるようなスペースとかないって、絶対邪魔になるって俺、絶対嫌な顔されるって。
そんなことを思っていると、同期が席に案内された。
その後ろを恐る恐るてくてくとついていった。
すると、めちゃくちゃ狭い半個室ゾーンを通り過ぎ、一番奥にひとつだけあった割と広めの完全個室の席に案内された。
いや、VIPルームやん。
店員さんは席が空いてなかったからと言っていたが、おそらく半個室だと俺がめちゃくちゃ邪魔になるので広い部屋を特別に案内してくれたのだと思う。
ほんとに申し訳ない、そしてありがとうと言いたい。
完全個室となれば話は変わってくる、僕は意気揚々とどんな髪型にしてほしいかを説明し、もう今回の髪型は全部僕に任せてくださいと、同期の方には聞かず僕に全部聞いてくださいと、そう店員さんにお願いした。
今回、注文したのは短髪ツイストフェードカット、くせ毛が強く輪郭が大きい同期にはこの髪型しかないと思い僕がオーダーした。
そして、店員さんとありとあらゆる世間話もした。
終止、会話は盛り上がり、店員さんも楽しかったのかトークが止まらずちょいちょい小ボケも挟んでくる始末、負けじと僕も応戦する、そして何も喋らない同期。
こいつは僕がいなかったらどうしていたんだろうと、というかこの先どうしていくんだろうと、僕が一生こいつの面倒を見なければいけない気すらしてきた。
前髪をあと何センチ切るかとか後ろをどうするかとかセットはどんな感じにするかとか、もうとにかく事細かに僕が指示を出した。
そして、無事2時間の施術が終わり、予想以上の仕上がりに店員さんと僕は歓喜した。
普段、髪型とかに無頓着なその同期でさえ、今回の髪型はめちゃくちゃいいと嬉しがっていた。
その嬉しがる姿を見れただけで、僕は今日来た甲斐があったなと思った。
理容室を出た後、せっかく神保町まで来たのでご飯を食べて帰ろうということになった。
僕は、炒飯が食べたすぎてありとあらゆる町中華とラーメン屋を探した。
ところがどっこい、もうすでに時刻は21時半頃、近くのお店はほとんど閉まっていた。
こんなに美味しそうな町中華やラーメン屋がたくさんあるのに、どこにも入れないこの状況を呪った。
「炒飯を食わせろ〜俺に炒飯を食わせろ〜」
僕の脳はいつもよりパラパラになっていた。
「神保町 町中華」
「神保町 ラーメン」
この二つで何度ググったことか、なんなら髪を切ってくれた店員さんにも聞いた。
でも開いているところがどこにもない。
何かないかと、周辺を15分ぐらい探索した。
すると、最近新しくできたラーメン屋が目の前に現れた。
(神保町に最近新しくできたラーメン屋か〜〜こわいなあ〜)
そして、店外にでているメニュー表を見ると、メニューに炒飯がなかった。
ラーメン屋に炒飯がないとは何事や!!くらぁ!!
とブチギレそうになったが、もうここまでくると胃袋に入れればなんでもよくなってきていたので、もうその店に入ろうかと、同期と話し合った。
同期はどこでもいいよという感じだったので、もうその店に入ることにした。
いざその店に入ろうとしたとき、僕の足が何故か動かなくなった。
ほんとになんでかはわからないが、その店に入ることができなかった。
別に店内を見たわけでもないのに。
たぶん炒飯食べたい炒飯食べたいと言いすぎて、ほんとに炒飯が食べたいというよりかは今日は炒飯を食べないと気が済まないというマインドになっていたのだと思う。
このまま今日、神保町で炒飯を食べずに終わると負けた気がするというかなんというか。
なので、そのラーメン屋さんに入る寸前で僕は「やっぱりチャーハン炒飯ちゃーはん!!」
と同期に駄々をこねた。
同期は何も文句は言わなかったが、心なしか呆れた顔をしていた気がする。
そして、Googleマップを開き、今いる場所から一番近い飲食店を探してみた。
すると、めっちゃくちゃ近くにそれはあった。
「炒飯屋」
、、は?
何その馬鹿みたいな名前の店。
何その馬鹿みたいにこの状況に突き刺さる店。
いやたしかに「神保町 炒飯」ではググってなかったけどさ、まさかそんなピンポイントな店があると思わんやん。
でもまだ気を抜いてはいけない、Googleマップで見ただけだからほんとに実在するとは限らない。
あまり期待せずに歩いて向かうと、すぐにその炒飯屋は現れた。
あった!あったぞ炒飯屋!こんな奇跡があるとは!うひうひひ!
僕は、浮き足たちながらその店へ入った。
なんならちょっと体は宙に浮いていたと思う。
ここで皆さんに聞きたいのですが、なんかこういういことってないですか?
なんかそのことを考えていると仕組まれたみたいに急にそれが目の前に現れるみたいな。
ある女優さんのことを想像していると急にCMにでてきたり、ある人のことを考えていると道端でばったり会ったり、ある考え事をしているといっしょにいる人から急にその話を振られたり、なんか奇遇も奇遇というかなんというか。
しかも、今回の話でいうと「炒飯屋」なんかいう名前の店は日本に二つしかないらしく、神保町の他には宮崎県に一つだけあるっぽい。
たまたまいっしょに髪切りいくことなってたまたま神保町になってたまたま色んなお店が閉まっていてたまたま炒飯が食べたいと駄々をこねていたらたまたま目の前に「炒飯屋」が出現した。
もう僕は明日死ぬんじゃないかと思うぐらいできすぎた話だなと思った。
そして、店内へ入ると、もうお店の雰囲気も最高で僕がいつも行っているような良い感じの町中華そっくりだった。
シンプル炒飯と鶏味噌炒飯とラーメンセット2つとパリパリ餃子と瓶ビールをオーダーした。
ほんとにどれも美味しかったが、やっぱりシンプル炒飯がダントツで美味しかった。
さすが炒飯屋の炒飯なだけある。
異常なほどのパラパラ具合で、味付けもちょうど良く、自分で作った炒飯よりも美味しい炒飯を食べたのは初めてかもしれない。
ほんとに至高で最高だった。
妥協せずに食べたいものを食べることの素晴らしさを知った。
僕たちの芸人の先輩で、普段フェードカットをしている人がいるのだが、理容室に向かう途中、その先輩ももしかしたらそこで髪を切ってるかもしれないねなんていう他愛もない話をした。
まあ理容室なんてこの世にたくさんあるしそんなわけないだろと思っていた。
そして、炒飯屋でご飯を食べているとき、その理容室のサイトを同期がなんとなく見ていると、なんと、その先輩の写真がその理容室のサイトにのっていた。
え?
こんなことある?
奇跡が立て続けすぎるって。
心の中ではめちゃくちゃ驚いていたが、僕と同期はなぜか平静を装いつつ黙々と炒飯を食べた。
たぶん、炒飯屋の炒飯が美味しすぎたせいだ。
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