読書感想#27「大きな森の小さな家」

インガルス一家の物語「大草原の小さな家」シリーズの一巻目です。
ローラがまだ5歳くらいの時の話で、四季折々の森での生活が綴られています。
私は「長い冬」から読み始めたので、ローラはまだ子どものような年齢なのになんて働き者なんだろうと驚きましたが、さすがにこの最初の巻では、人形などで子どもらしく遊んでいて安心しました。しかし、何の悩みもない子ども時代というわけでもなく、完璧な姉メアリイへの嫉妬が見え隠れする場面もあります。先に「長い冬」を読んでいてメアリイが失明することを知っているので、まだものが見えていて普通の子供らしく遊んでいるメアリイの様子が少し切なくなりました。

また、物語を彩る様々な美味しそうな食べ物の描写がとても魅力的だと思いました。雪にメープルシロップを垂らして飴を作るところがとても美味しそうでした。いつの時代でも、食べることは人の楽しみだったのだなと思いました。
今の時代よりはるかに不便で物がない時代ですが、森の生活の描写に悲壮感はなく、毎日を楽しみながら家族で乗り越えていく様子がいきいきと描かれていました。

物語最後の、ローラの心境を語る文が印象的でした。大好きな住み心地のいい家と家族、これが「いま」なんだ、それは「ずっとむかし」になんかなりはしないのだ。それは、安心し切った子ども時代に誰もが一度は感じたことがあるのではないかという感覚なのではないでしょうか。

きっと、少しずつ時が動いて、その「いま」も過ぎ去っていくことなどこの時のローラは考えもしていないのでしょう。

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