読書感想#28「大草原の小さな家」

前巻「大きな森の小さな家」の最後に、ローラがこの「いま」は永遠だというようなことを言っていましたが、そこから一転、インガルス家が小さな家を後にして引越しをするシーンから始まります。馬車で道なき道を何日もゆく旅は、現代の引越しよりはるかに大変だったと思います。
しかも、引越し先に家が建って待っていてくれているわけではなく、手頃な土地を見つけたら、そこに1からお父さんが家を建てるのです。このシリーズを読んでいて何度も思いましたが、無いものはなんでも自分たちの手で作ってしまう、昔の人たちのたくましさには驚くばかりです。現代人に同じことができるでしょうか。文明が発達して便利になった分、人の生きる力が弱くなったのかもしれないなどと思いました。

この巻で特に印象的なことは、インディアン(ネイティブ・アメリカン)とのやり取りです。この物語の時代上仕方がないのかもしれませんが、インディアンの話題になると差別的で、傲慢な意見が平気で登場人物の口から飛び出してきます。自分たちが正義だと信じて疑わない、住み慣れた土地を白人たちに追われたインディアンの悲哀など知ったことではない、と。弁解をするように、この巻の最後には日本大学教員の清水さんという方の書いたインディアンについての解説が書かれています。

インガルス家がたくましく毎日を送る陽の部分と、インディアンに関する差別的な表現の陰の部分が混じり合った、ただ明るいだけの物語ではないのだなと思いました。


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