読書感想#16「かのこ繚乱/お蝶夫人」

瀬戸内寂聴さん作の、激しい人生を生き抜いた女性たちの伝記小説です。取り上げられているのは、芸術家岡本太郎の母でもある小説家岡本かの子と、一世を風靡した明治生まれのオペラ歌手三浦環です。

どちらの女性にも言える事ですが、ほとばしるほどの才能で周りの男たちを巻き込み、自分の養分にする凄まじい人生でした。
かの子は、一平と結婚した後も新しく恋人を作り、一緒に住まわせていたという、現代から考えてもかなり奔放な生活をしていたのでおどろきました。しかも女性は貞淑なのが当たり前とされていたであろう時代にそうだったのですから、型にはまらないという言葉では片付けられません。岡本太郎が生まれたのも納得だと思いました。

三浦環も、最後まで恋多き人生で、親子ほど歳の離れた男性との恋もありました。
環の人生も並の女性とは程遠い激しいもので、持って生まれた音楽の才能にその身を全て捧げたような生き様でした。
文章中にもありましたが、稀有な才能を持って生まれたならそれを思う存分発揮して社会貢献するのが、天才という人の務めなのかもしれません。家庭に収まって、普通の暮らしをして女として普通の幸せを得る、というのはおよそ当てはまらないのでしょう。


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