読書感想#31「農場の少年」

「大草原の小さな家」シリーズのうちの一冊ですが、この巻の主人公はローラではなく、ローラの夫になるアルマンゾの少年時代です。
読んでいて特に心を惹かれたのは、たくさんの美味しそうな食べ物の描写です。とくにパンプキンパイが食べてみたいなと思いました。暮らしぶりは、インガルス家と比べるとかなり裕福な印象を受けました。
それでも、裕福とはいえアルマンゾは10歳に満たない頃から家の農場の仕事を手伝わされていて、現代の子どもと比べるとかなり忙しく、遊ぶ時間などほぼないような暮らしです。当時(アメリカ開拓時代)は子どもも貴重な労働力だったのだなと思いました。

また、アルマンゾの姉のイライザ•ジェインも出てくるのですが、私は先にこの後の続きの巻を読んでいたので、イライザはローラの学校の意地悪な先生という印象だったのですが、この巻では客間の壁を汚してしまったアルマンゾをこっそり助けてあげたりと良いお姉さんとしてのシーンもあり、人間というのはいつでもイヤな人、いつでも良い人というのはなくて多面性のあるものなのだなと思いました。

最後の方では、お父さんとお母さんがアルマンゾの進路について言い合いをするシーンがあり、そこでのお母さんが街で仕事をすることについてちょっと嫌悪感を持ちすぎではないかなあと現代人の目からすると思いました。農場の仕事は確かに人に頭を下げなくて良いかもしれないけど天候に左右されて作物がダメになるリスクなどもあり、街の仕事も農場の仕事も一長一短だと思います。
(いずれは農場の仕事も資本主義の流れの中に組み込まれていくでしょうし…)
街で働くことを選んだローヤルも決して間違いではないと思うので、明らかに間違いのように言うお母さんには疑問を抱きました。

また、これは全巻を通して思ったことですが、物語に華を添えるガース•ウィリアムズさんの挿絵が素晴らしかったです。最近は子ども向けにもっと漫画チックな挿絵のものも出ていますが、ローラの暮らした場所を実際に訪れて10年がかりで描いたガースさんの挿絵ほどこの物語に合うイラストはないと思います。アメリカ開拓時代の雰囲気をよく伝えてくれて、物語の理解にとても助かりました。


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