読書感想#18「精選漢詩集 生きる喜びの歌」

漢詩というと、国が滅んだ悲しみや、孤独の悲しみなど、悲しい気持ちを糧に生まれるイメージがありましたが、日常の何気ない喜びや自然の美しさから生まれる詩もたくさんあるのだと分かりました。
特に、自然を歌った詩の美しさは格別だと思いました。詩は文字の羅列ですが、ひょっとしたら絵よりも色鮮やかに自然を表現できている芸術品なのではと思います。
また、昔の人は、現代よりも娯楽が少なかった分、自然にじっくりと触れる時間が多かったのではと思います。現代に生きる私たちなら、花を見てもスマホで撮っておしまいで、もうその花について考えないところを、昔の詩人たちはじっくりと長い時間花を見て、その美しさを表現する言葉をゆっくり探したのではないでしょうか。

さまざまな有名な詩人の作品が収録されていましたが、中でも白居易に興味を持ちました。「雪月花」という言葉を生み出したり、「紅葉」という言葉を日本に根付かせたりと、日本の国風文化に先立つインフルエンサーだったんだなと思いました。


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