読書感想#29「プラム•クリークの土手で」

「大草原の小さな家」のインガルス家の物語。全巻で大草原の小さな家を後にして、ミネソタ州のクリーク(小川)のそばへやってきます。
横穴小屋というのは現代の住宅に住んでいるとなかなかイメージが湧きませんが、なんとなく「指輪物語」のホビットの家を思い出しました。

この巻でも、インガルス一家は自然に翻弄されつつも家族同士協力して、信じ合い、たくましく生きていきます。1番印象が強いシーンはやはりイナゴの大量発生でしょうか。家の隙間から入ってきたり、イナゴの大群が草を食い荒らす音が一日中聞こえたり…虫が苦手でないという人でも、気が狂いそうな状況ではないでしょうか。
せっかくの小麦がダメになってしまって、自然というのは恵みももたらしてくれるけれど無慈悲な時は本当に無慈悲だと思いました。
それでも、自暴自棄にならず着実に次の生きる道を選んでいくお父さんはとても頼もしいです。お母さんも、お父さんが不在の吹雪の日々に子供たちを楽しませようと頑張ったり、心の強い女性だと思います。メアリイ、ローラ、キャリーの三姉妹も、時には喧嘩もありますが協力して家の手伝いをしたり、まっすぐに育っていっていると思いました。吹雪を乗り越えてお父さんが帰ってくるラストの方のシーンでは、大切な家族が揃って笑っていられることこそ最上の幸せなのだと気付かされます。
私たち現代人は、インガルス家のようにイナゴと戦ったり自分で何から何まで手作りしたりする必要もなく、比べてみればとても快適な生活をしていますが、それを当たり前と思って幸せを取りこぼしている時もたくさんあるのではないかと思いました。家族や信頼できる人と平穏な毎日を過ごせることこそ、本当に幸せなのだと思います。


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