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【書評】FACTFULNESS(ファクトフルネス)

ドラマチックすぎる世界の見方が、世界を錯覚させる。


本書を読了したので、レビューします。
ビル・ゲイツも絶賛し、多くの学生に寄付した本です。まずは筆者の紹介。

著者 ハンス・ロスリング

医師であり教授。
世界保健機構やユニセフのアドバイザーも務めた。
世界で最も影響力の大きな100人に選出。
晩年に本作を執筆し、2017年死去。

本書では、人間には10個の本能があり、その本能が偏見を生んでいる、と言ってます。
早速、それぞれの本能を見てみましょう。
(★マークは、本能にどう対応するかの筆者の持論)

1.分断本能

世界が分断されている、という思い込み。
そして2つのグループの間には、決して埋まることのない溝があるはずだと思い込むこと。

今や先進国と途上国で分けられない。
何故なら、高所得16%、中所得75%、低所得9%であり、大部分の人々は中所得者層だから。

『平均はバラツキを隠す』ことに注意する。

★分断ではなく、レベルで考える!
→所得なら、レベル1〜4。

★分断本能を抑えるには、大半の人がどこにいるか探すこと。

2.ネガティブ本能

世界はどんどん悪くなっている、という思い込み。

・1800年頃の平均寿命は30歳、現在70歳と大幅に長寿化。
・産業革命からの200年、更にここ20年で貧困は劇的に改善。
事実として、世界は良くなっている。

『悪い』と『良くなっている』は両立する。

★ネガティブなニュースに気づくこと、良い出来事はニュースになりにくい。

3.直線本能

世界の人口はひたすら増え続ける、という思い込み。

SDGsの根幹を誰もが間違えている。
すでに子どもの人口は横ばいになっている。

★グラフは直線にならないケースが多い、と知る。

4.恐怖本能

危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み。

メディアは記事に関心を持ってもらうために、恐怖本能を利用せざるを得ない。

自然災害で亡くなる人は急減している。

人はよくわからないものを疑い、反射的に怖がってしまう。

★リスクを正しく計算する。
リスク=危険度 × 頻度 であって、恐ろしさとは関係ない。

5.拡大視本能

目の前の数字が1番重要だ、という思い込み。

この数字はなんて大きいんだとか、なんて小さいんだと勘違いしてしまう、また1つの実例を重要視しすぎてしまうこと。

★ひとつの数字だけに注目するな。比較する!

★パレートの法則を使う→全体の80%を占める項目はどれ?なぜ?

★数だけではなく、%・1人当たりを計算する。

6.パターン化本能

1つの例が全てに当てはまる、という思い込み。
→イメージによって事実と異なるカテゴリー化をしてしまうこと。

事業戦略に必要なのは、事実をもとに世界を見つめ、そこから未来のユーザーを見つけること。

世界の人々の違いは、文化や宗教ではなく所得の違いである。

★過半数に気をつける:51%かもしれないし、99%かもしれない。

★自分以外はアホだと決めつけないようにする。

7.宿命本能

すべてはあらかじめ決まっている、という思い込み。

★小さな進歩を追いかけ、知識をアップデートする。

8.単純化本能

世界は1つの切り口で理解できる、という思い込み。

数字がなければ世界は理解できない。
でも数字だけでは世界はわからない。
→現場で観察することが大事!

アメリカには公的健康保険制度がない!
→先進国の中で平均寿命が短い

急激な経済発展と社会的進歩を遂げた国のほとんどは、民主主義ではない

★自分が肩入れしている考え方の弱みをいつも探したほうがいい。

9.犯人探し本能

誰かを責めれば物事は解決する、という思い込み。
誰かを責めたいという本能。

★問題を引き起こすシステムを見直すことが大事。

10.焦り本能

今すぐ手を打たないと大変なことになる、という思い込み。

焦り本能を引き出すコツは、『今やらないと、もう次はない』という言葉。

遠い未来のリスクとなると、誰も焦らない。
老後に備えないのは、焦り本能が働かないから。

焦り本能は、世界の見方を歪めてしまう最悪の本能!

★まずは冷静になり、データにこだわる!

11.ファクトフルネスを実践しよう

色々書いてますが、重要だと思ったのはこちら。

常に知識をアップデートして、小さな一歩を重ねよう!


【レビュー】

⭐️5点(神本)

イメージというフィルターが、如何に世界の見方を歪めているかがよく分かります。

世界を格差という断絶ではなく、レベルで測らないと本質は分からないと感じました。

日本人は所得に関係なく、世界の中で最高レベルの生活水準です。
日本に生まれたことに感謝!ですね。

#コラム #エッセイ #書評 #レビュー
#ファクトフルネス

宇宙旅行が夢の一つなので、サポート代は将来の宇宙旅行用に積み立てます。それを記事にするのも面白そうですねー。