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本質を見抜く 環境・食料・エネルギー


【著 者】 養老猛司 村公太郎 
【発行所】 PHP研究所  2008年 9月30日 第1版第1刷

1.3ポイント

(1)「自然状態を元に戻す」という考え方は危ない

   第2章「温暖化対策に金をかけるな」から

どこが基準かがわからないから。だからといって野放しにしていいわけでもない。そこにシミュレーションする意味がある。シミュレーションする場合は、まず一番極端なケースを考えないといけない。
「ここまでいったらまずいよね」という臨界点をどのように考えるかということ。

温暖化がもたらす最大の問題は何なのか、温暖化した結果どうなるのかを、きちんとシミュレーションする。

過去の資料、シミュレーションをし、水問題、生態系、人口推移にふれてた結果、

何れにせよ、温暖化は地球が寒冷化するよりまし。化石エネルギーが枯渇かし、エネルギー価格が高騰していく未来で、地球が寒冷化していくなんて耐えられない。最近のマスコミを含め温暖化が声高に叫ばれるようになったので、逆の味方もできるぞ、と言うようにしています。

と結ばれている。いいか悪いかではなく、考え方が参考になります。

(2)問題を直視すれば必ず解決策がある

  第6章 「日本の農業、本当の問題」から

農地転用収入の話から、神門氏のことば。

僕はそこについては楽観主義者なんですよ。仕組みを作ってやれば人間はなんとかするものだと思っています。「日本の食と農」の帯コピーを見てください。「問題を直視することは辛いことだが、目をそむけずにジッと見ていれば必ず解決策はある。」この本の編集者に斎藤さんが本の一節から選んでくれたのだけれども、僕のこのセリフを好んで使っている。

司馬遼太郎さんは、「土地公有制にしないといけない」の言葉に、

竹村氏は「これは正解ではない」と言っている。

竹村氏:人間の業や欲を理解していないと思う。人々自身自信にも利益が出るシステムを提案しないかぎり次の段階に進むことはできません。
神門氏:「未来の君たちのために、俺たちは一生懸命議論して土地利用で財前のものを準備する。この土地を使って、未来の君たちはしっかりと能力を発揮してくれ。その分、お金は残さないよ。俺たちが自分で稼いだ分はしっかり楽しんで死ぬからね。」そう次の時代に告げることができれば、将来世代にとっても今の世代にとっても幸せだと思います。

批判の声はあるが、シミュレーションをどうやって実現するか、が課題。

言えるか言えないかの問題で、いうことによりバッシングされ「傷つく」。「言えない」という空気が問題です。

まじめに農業を考える人たちの指摘や意見は、その賛否を論じる以前に無視される。しっかりと、指摘や意見も聞き入れ、農業問題と向かいあっていかなければならない。

これは、農業だけではなく、すべての物事に通じます。

(3)「正しい受け取り方」はあっても、「正しいやり方」はない

第3章「いま、もっとも必要なのは「博物学」より

養老氏:僕は、近代は「正しいやり方がある」と思いこんで、そこに集中した時代だったと思います。それが間違いだったのです。いまは「正しい受け取り方しかない」という見方がなくなってきたような気がします。だから、いまの人はすぐに「じゃあ、先生どうしたらいいんですか」と質問する。「正しいやり方がある」と思い込んでいる。
そうではなく、世界の見方を変えると、問題が問題ではなくなるのです。
自殺するのもそのせいだと思います。
自分の見えている世界が全く違って見えたという経験がない人が、もう先行きがないと考えて自分を追い込むわけです。これはある意味傲慢な態度だと思います。結局自分のやり方だけが正しいと思っている。
医大生のことば
【「この死体は間違っています」教科書通りになっていないから】

教科書通りになっていないと間違っていると言ってしまう。

概念で世界を作り上げるのは楽なんです。博物館のように五感を働かせるやり方は、時間もかかるし手間もかかる。でもそうすると、今まで見えてこなかったこと、あるいは見なかったことが見えてくるようになります。
そのような博物学的な感覚と、モノから考える考え方、この二つを組み合わせて物事をとらえることが、今後の日本、あるいは世界の行方を決めてゆく上で必要なことだと思いますね。



2.1アクション

物事には裏と表があります。何が本当なのかわからないときは、裏から見る。逆説をたてて考えることを取り入れます。


3.1エピソード

情報が飛び交うなか、「本当のことはどうやった見つけられるのだろう?」と思ってた時に出会った本でした。

2008年とちょっと古いですが、食、農、環境、エネルギーと多彩な分野で、基本的な事、大切な考え方などが書かれており、改めて再読したいと思いました。

インテリアを学んでたとき、先生から常に「本物を見る。本物に触れる。ことが大切」と言われてました。本物を見て、本物に触れることで、お施主様の夢に添う家をつくるたことができる。限られた予算で最大限のパフォーマンスを発揮できると教えていただきました。

本物に触れ、体験したことが、五感で感じたことが重要な判断基準になる。経験に勝るものはない!




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