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ラスボスが高人さんで困ってます!30


とりあえず、2人で朝食を食べる事にし、勇者が目の前に居る事を不思議に思いながら、茶碗と箸を持つ。

「勇者ねぇ……勇者が魔王の朝飯作って一緒に食べてるんだよなぁ……。」
目の前には亜麻色の髪にエメラルド色の瞳の端正な顔立ちの男。

そいつはお行儀よく正座して味噌汁を啜っている。

「……勇者ねぇ。」
白米をパクリと食べてまたしみじみと呟いた。

あの国宝級の装備も、勇者の持ち物だというなら、納得もいく。
いままでの勇者は魔力の使い方なんて知らなかったはずなんだけど。そうすると空を飛べる魔王にどう立ち打ちしていたのだろうか。
運命を受け入れていたとしても、自分より弱い者に命をくれてやるほど甘い生物でない。
気になる事が沢山あるな。

穴が開く程見つめていると、チュン太はにこりと笑う。
「そんな可愛く見つめられると抱きたくなります。」
「はは。元気になって良かったよ。」
最大の秘密を暴露した事でスッキリしたのか、チュン太は爽やかに笑う。そんな彼に呆れ顔で笑ってやった。

チュン太は食べ終わった食卓を片付けると、食後のデザートにと剥いた柿を盛った器を食卓に置く。
「摘みながら話しましょう。話し込むと思うので。」
「ん。そうだな。」

チュン太は俺の対面に座り、俺にお茶を入れてくれる。
「はい、高人さん。」
「ありがとう。んで、勇者について、勇者側の話を聞きたい。俺の事は、まぁ大体話してあるし。」
俺はチュン太を見つめてそう言った。彼はコクリと頷く。
「まず、この千年、魔王をという必要悪を立てる事で人間は争う事なく今日まで平和を保ってきました。世界は、貴方を敵として扱う必要があり、その世界の意思を集約した者が勇者です。勇者とは龍王にとっての死神と同義だと思っています。」

さっそく、卓にある柿を口にいれ、甘い果実を味わいつつ、彼の話を聞く。
必要悪という言葉に、妙に納得する。確かに、この千年はこれで世界のバランスを保ってきた。俺達の命の上に成り立つ平和なわけだが。

「そこは知ってる。」
たがそれは、父にも聞かされた事だ。だから代々の龍王は甘んじて勇者の制裁を受け入れ殺されてきた。だから俺も怖くはあるが運命だと受け入れてた。

「俺はそんな役目を負わされた自分が嫌で、逃げてました。勇者になるための洗礼も受けてません。」
俺は、ん?とチュン太を見る。
「じゃあ、まだ勇者じゃないのか?」
「いえ……もう女神に刻印を付けられてるので……。勇者になるのは決定してるんです。運命ってやつです。」
チュン太は右手の甲を卓に乗せ俺に見せる。
「もう、よく見ないと分からないんですが、ここ刻印があるんです。触ると分かりますよ。」
俺は、彼の差し出された手の甲の皮膚に指を這わせる。すると、火傷の傷跡が薄く膨れたように円と魔法陣のような紋様が浮き出ているのが分かった。

この紋様、どっかで見たような……。

サワサワとチュン太の手に触れなが考え事をしていると、カタンと音がするの。
「ん?」
ふと顔を上げると、目の前にはジッと俺を見つめるチュン太の顔がある。
「――な、なんだよッ?!」
「俺も触りたいです。高人さんの手。」
不服そうにじっと見つめられ、俺は顔を赤くして、チュン太に手の甲を差し出した。
「ほれ。いいぞ。触って。」
恥ずかしげにそう言うと、チュン太はその手を取り、俺の手の甲にキスをして、満足げに笑う。
その流れるような仕草に、俺はドキンッと胸が高鳴る。俺はさらに顔が熱くなり、忌々しげに手を引っ込めてチュン太を見る。
まるで、西洋童話に出てくる王子様だ。
「ったく。ほんとお前はっ。」
「ふふ。」
今度は尻尾を揺らしながら俺の隣にまで四つ這いでやってきた。何をするのかと思えば、俺をにこにこと見つめながら隣に座り、パッと手を開く。

「抱っこさせてください!」
「話をするんじゃなかったのか?」
「……だめですか?」
ジト目でチュン太を見ると、寂しげに耳を垂らし尻尾もヘタリと力なく畳に横たわっている。
「……うっ」
なんとも捨て犬のような切なさで目で俺を見る。
「あ――わかった!ほらこれでいいか?!」
胡座をかいたチュン太を椅子がわりにして座ってやると、ギュッと後ろから抱きしめられる。
「はぁ。落ち着きます。」
俺はため息を吐き、彼の温もりを感じ不覚にもホッとしてしまう。

「女神の洗礼を受けると、勇者は莫大な力を与えられるんだそうです。それが、どんな力なのかは分かりませんが。神殿で三日三晩過ごして、そこから出てきた時には、名実共に勇者となっているんだそうで。」
「……お前、まだ強くなるのか?」
俺は引くようにチュン太の方を見る。こんなバケモノがまだ強くなったら、力を暴走させて世界を壊しかねない。
チュン太は困ったように笑う。
「あはは。どうですかね。魔力を与えられるんだったら俺はもうこれ以上貰っても変わらないと思いますけど。」

俺はまた、教師としての血が疼いてくる。
まだ教えてない事が沢山あるなと思いながら、軽く説明してやる事にする。

「精霊にも階級があるから、魔力が多ければそれだけ高位の精霊が助けてくれる。呼び出す精霊が高貴である程、できる事が増えてくんだ。」

俺が得意げに話し始めると、チュン太の尻尾がサスサスと畳を摩り始める。
「へぇ。どんな事ができるんですか?」
にこにこと嬉しげに聞いてくれる。
それに気を良くした俺は饒舌にチュン太に話して聞かせる。
「極端な例だが、瞬間的に場所を移動出来たり、時間を超えたりできる精霊も居るんだぞ。呼び出す言霊に工夫が必要になるがな。精霊ってのは、時の流れ、空間、満たす空気、降り注ぐ光、夜の暗闇、太陽に月、海、空、広く広がるものほど高貴な精霊が宿るんだ。」

「時、空間、光、闇は、とても高貴な気がしますね。」

チュン太は優秀な生徒だと常々思う。一つ教えると後は自分で推測して応用して実践してくる。怖いもの知らずなとこはあるのでリスクの話はしっかりしないといけない。

「どんなに巧みに言霊で縛っても、それは精霊側が縛られてくれているだけで、ほぼ精霊の好意だ。俺と対決するにしても、安易に高位精霊は使うなよ?どんな気まぐれ起こされるか分からないからな。」

気まぐれなのは低級精霊も変わらない。だがイタズラの度合いが違ってくる。機嫌を損ねたらまず術者は殺されるだろう。
高位精霊なんて千年前、まだ龍族が栄えていた時に龍王が呼び出して以来の記録は無い。しかもその精霊術は失敗している。それが神域の、人間がヘルクラウンと呼ぶ海域の嵐だ。

「そうですね、気を付けます。」
チュン太はにこにこと笑いながら言った。
「ん。今日の授業はこれで……――」
チュン太の言葉に、うんうんと頷いていると、彼はクスリと笑って俺に擦り寄ってくる。
「でも俺、正式な勇者にはなりませんし、俺は貴方とは戦わないんでそんな大それた魔法とは無縁ですね。」
俺は、何言ってるんだとばかりにチュン太を見る。
「運命てのは、そんな簡単なものじゃないぞ?」
俺がそう言うと、彼は微笑みながら抱きついてきた。

「俺は、乗船した船が誤ってヘルクラウンに入った時に海に落ちて、恐らく死んだ事になっています。だから俺は国から探される事がないんです。あんな所に落ちたら遺体は探せないですし。」

そんなニコニコと笑って話すような内容ではないと思うのだが。
「それが……」
いったいなんだと言うのだ。

チュン太は笑顔のまま続きをする。
「俺は貴方と戦う意識無く生きていて、しかも俺が死ぬまで新しい勇者は生まれません。……貴方と寿命をシェアしてる俺は死にませんから、新しい勇者は生まれず、魔王に手は出せない。必要悪の魔王は倒されてないので人間も争わない。」

俺の理想を実現させているかのような言葉だ。
俺は驚いてチュン太の方を見る。
「……お前、そんな事まで考えてたのか!?」
チュン太は穏やかに俺を見つめる。
「俺はただ貴方の力になりたかっただけで、その副産物が世界平和ってだけです。」

「……随分とデカい副産物だな。」
俺は、ははっと乾いた笑いを浮かべる。信じられない程あっさりと世界平和を達成してしまう。

だが、素直に喜べない自分も居る。
人とは臆病で欲深い生き物だ。
そんなに長く平和の世が続くとも思えない。
俺達が動かなくとも、いずれまた彼らからこちらにやって来るだろう。
確約も無い。明日壊れてもおかしくない不安定で不確かな平和だ。

俺が押し黙ってしまうと、チュン太は俺を抱きしめてくれる。
「心配ですか?」
「……そうだな。」
「この大陸から出なければ、ずっと平和です。俺が生きている事がバレてしまうのが問題なので。ね、ミストル行くのやめませんか?」

チュン太は誘うように甘く俺を抱きしめる。
確かに…ミストルに行ってわざわざ事を荒立てる必要は無いのではないか。

「……。」
悩む俺を見て、チュン太はふっと笑う。そんなチュン太を真っ直ぐに見上げると、彼は少し驚いたように俺を見つめる。
「ミストル行きは保留にする。でも人側がこのまま黙って見ているとも思えない。だから、あちらから何か動きがあれば……」

「そうですね。その時はまた考えないといけませんね」
そんな日など来てほしくないと言う風にチュン太は苦笑していた。

「高人さんは、他に勇者について知りたい事はないですか?俺でわかる事なら話します。」

「じゃあ……前任の勇者が父上をどう倒したかを知りたい。」
俺がチュン太を真剣に見つめながら言うと、チュン太は驚いたように俺をみて、少し視線を逸らす。

「……戦いについての記録は……残っていません。俺は自分が勇者だと言われてから、勇者について調べられる限り調べてました。勇者と魔王について伝承として残されていたのは、勇者はみなに祝福され討伐の旅に出た。それだけです。生きて帰ったのか、死んでしまったのかも分からない。ただその後には必ず龍の遺体の記録が残っていました。龍から作る加工品は大変高価ですから、亡骸は持ち帰られていたのでしょう。それが魔王討伐の証となっていたようですね。およそ百年前の龍の遺体の記録も調べてあります。高人さんの求める物とは少し違いますが、……知りたい……ですか?」
チュン太はあまり気が進まないという風に俺を見る。

それはつまり、父の死について知れる最後の情報だろう。
「ああ、知りたい。」
真っ直ぐにチュン太を見つめて真剣に答える。

チュン太は頷いて、アイテムボックスを開いて中から何かを取り出しながら話す。
「百年前に討伐された龍は、漆黒の身体に金の立て髪の黒龍だったそうです。齢七百歳程と推定と書いてありました。……高人さんは、西洋文字は読めましたよね。」

「ああ、読める」
チュン太が渡してきたのは彼が使っているであろう手帳だ。該当ページを開き、俺に渡した。
「これは当時の冒険者ギルドのマスターが龍の遺体を鑑定した時の手記を俺が写した物です。」

そこには、写生された遺体と当時の状況が細かく書かれている。

「……っ」
たしかに、描かれたその容姿は、父だ。
漆黒の大きな身体の龍だった。金の立て髪が綺麗な。

黒龍、雄、推定700歳とある。ミストルの首都に運び込まれ、鑑定後に王室の研究施設に運び込まれたらしい。
見事に写生された絵の黒龍は、首と片翼を切断され、血が流れ出ないように縄で縛ってある。石畳の床に置かれ、積まれるように体に首を置かれている。

翼を切断……か。飛べなくなって、地を這いつくばった所で首を落とされたのだろうか。

あの人は俺と違って、龍としての責務を最後まで全うしようとしていた。龍王として威厳のある素晴らしい王だった。平和の礎になるのならと命を差し出したのだ。こんな無惨な殺され方をしていい方ではなかった。

賢王であった者でさえ、人間にとっては道具や薬の素材でしかない。

ああ、なんて残酷な……。

「大丈夫……ですか?」
声を掛けられ我に返りった俺は、チュン太を見る。心配そうな顔がこちらを覗き込んでいた。

「あ、ああ大丈夫だ。」
そう言うと、チュン太が目を見開く。
「あ……っ」
俺はなんでチュン太が驚いているのか分からない。
「なんだ?どうしたんだ?」

「……やっぱり話すんじゃなかった。」
チュン太は俺を横抱きに抱き上げると、スタスタと部屋を出て廊下を歩く。
「ちょ、チュン太!?大丈夫だって!」
「大丈夫じゃないです。」
彼は自分の寝室の襖を開ける。するとふわりとチュン太の匂いのする空気が体を包んだ。心が緩む。

待って、今、気が緩むのは駄目だ。彼の着物をぎゅっと掴む。

チュン太がまだ敷きっぱなしの布団に俺を下ろすと、俺は足に力が入らずストンと座り込んでしまう。
「あれ……」
「腰抜けちゃってましたね。」
チュン太を見上げると目線を合わせるように座る。
「チュン太……っ?」
俺は震える声で彼の名前を呼び、ハッとして口を閉じ、下を向く。
……泣きそうだ。いまにも。
「ごめんなさい。」
チュン太は悲しげにそろりと髪を撫でる。
「……なんでお前が謝るんだよ。」

「俺が悪いですから。」

お前は俺の要望に答えただけだ。何も悪い事はしてない。ただ、あの気高かった父の亡骸が……。
そして、それが自分の未来の姿かもしれないのだ。

「八つ当たりでもなんでもいいです。俺にも貴方の悲しみを分けてください。」

「……八つ当たりなんてしたらお前の事、殺してしまいそうだよ。」
俺は下を向いたまま苦笑して言った。

「いいですよ?殺しても。」
チュン太は俺を抱き寄せるとそう言う。
「その時は、高人さんが生き残ると絶対後悔しますから、シェアは外さないようにしますね。」
愛しげに擦り寄って、髪を撫でてくる。

「……お前、狂ってるよ。」
「……そうですね。ごめんなさい。」
チュン太の温かで優しい声と、落ち着く匂いに溶かされるように抑えていたものが込み上げてくる。
ポロポロと涙が落ちる。

「父上は、あんな風に扱われていい方ではなかった。この地を護り、世界の安寧の為にその身を捧げた方だ。俺に人を恨まないようにと教えてくれたのも父上だ。だから俺も……子供達にそう教えてきた。……でも……でも、これでは、あんまりだ。……っあんまりだろ。」
チュン太の襟元を掴んで、彼に見えないよう下を向いてボタボタと止めどなく流れる涙が濡らす彼の膝を見つめた。

父は、我々龍族は滅ぶべき種族だと言った。きっと、諦めていたんだと思う。けれど、俺は……諦めたくない。

「…………。」
チュン太は俺を抱きしめたまま、ずっと髪を撫でてくれている。彼の顔は見えない。

「……なぁ、チュン太。」
「はい。」
チュン太の声は優しい。
「お前、この土地に来て、亜人族と暮らして、どう思った?」

彼は、最初から亜人に対してそこまでの抵抗は示さなかったけれど……。彼の、人間の目から見て、亜人族はどう見えるのだろうか。

「亜人も人間も、違うのは見た目だけなんだって思いました。俺はもう、冒険者に戻っても亜人族は魔獣のようには斬れません。」

すぐに答えが返ってくる。それはとても嬉しい言葉だ。

「人の国に、亜人族が歩みよれば……人は亜人を見る目が変わると思うか?」
そう聞いてみると、チュン太は少し言葉を詰まらせる。そして、話しはじめた。

「……それは……根本を変えないと無理かもしれません。ミストルの王族には異種族平等という思想がありませんから。亜人族は恐ろしい魔族で勇者が魔王を倒すから世界は平和なのだと幼い頃から教えられます。」

子供の頃から、そう教えられるのか。
では、その子らにとっては、それが正義なのだ。

「……悔しいな……。これじゃ、父上達の死が意味の無いものになってしまう。」

「…………。」

俺は項垂れてそう言うと、またポタリと涙が流れ落ちた。

「じゃあ、国王を暗殺しちゃいましょっか。」
「は?」

チュン太の突拍子もない発言に、俺は涙に濡れた顔を上げてチュン太を見た。呆気にとられていると、彼はニコニコと微笑みながらこちらを見つめる。

「ああ、でも、国王だけじゃ駄目ですね。同じ思想の大臣達も要りません。禍根は残せません。一族皆殺しです。貴族の中には亜人に肯定的な方も居ると聞きますし、根回しすれば、そちらの方々が国を持ち直すでしょう。」

「ちょ……、チュン太?」

「国王とその臣下は晒し首にします。西ではよくやるんですよ?クーデターが起こった時なんて、王都の広場に……――」
「チュン太!!」
感情の見えない笑顔で恐ろしい事を話すチュン太の話を止めると、俺を見つめてくる。
「なんですか?」

何?何か怒ってる?

俺は彼に気圧されないよう、彼を睨む。
「それは駄目だ。」
「なぜですか?」
「そのやり方は憎しみの連鎖を生むぞ。因果は必ず殺した側にも跳ね返る。そんな平和は長く続かない。それに、お前が悲しむのは……嫌だ。」

また泣きそうになり、声が震える。
泣きそうな俺を睨み返して、彼は俺を強く抱きしめる。
「チュン太……いたッ」
「俺だって!……貴方が悲しむのは嫌なんです!なんで貴方だけ苦しまなくちゃいけないんですか?こんな理不尽な世界壊してしまえばいいっ」

言葉を強めて怒ってくれる。
ああ、なんて優しい勇者なんだろう。

「理不尽な世界でも、そこで暮らす命に罪はない。奪われたから奪っていいってわけでもない。どっかで止めないと。」

俺の分まで怒ってくれてる事が堪らなく嬉しい。彼の背に腕を回して抱きしめる。彼がいれば俺は大丈夫だ。

「ありがとうな。チュン太。」
そう言うと、チュン太はソロリと身体を離して俺を見つめる。瞳にはまた涙を溜めて。
「お前まで泣くなよ。」
俺は彼の頬を両手に包み。瞳にキスをしてやる。

「……俺も貴方みたいに強くなりたい。」
それ以上強くなってどーすんだよ。と思い俺は苦笑する。
相変わらずへにゃりと垂らした狼の耳を髪に撫で付けてやった。

「俺は強くない。お前が支えてくれるから強く見えるだけ。チュン太のおかげだ。」
「……俺だってそうです。」
彼は不服そうに俺を見つめてくるけれど、俺は彼を愛しげに見つめる。

すると、彼が俺にのし掛かりそのまま押し倒してくる。

「うわっこら、昼間だぞ!?」
「赤ちゃん欲しいです。……って、さっきも同じやり取りしましたね。」
布団の上に押し倒され、顔を赤くしてずるずる這って逃げようとするが、身体を掴まれまた引き戻されてしまう。

「お前っなんで急にッ」
「貴方と未来を共に歩みたいから。」
俺を組み敷き、見下ろすチュン太が真剣に言う。
「……ッ」
俺は彼を見上げ顔を赤くし、恥ずかしさに視線を流す。そんな俺を彼は愛しげに見つめた。

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