見出し画像

第1回公認心理師試験 問4

こんにちは。少し間があいてしまいました。
京都コムニタスの吉山です。

第1回公認心理師試験の問4!

 第1回公認心理師試験で森田療法が出題されたことは、この業界では有名な話ですが、それ以降はほぼ姿を見なくなった出題の1つです。
第2回試験や第3回試験の頃までは、

「森田療法がよく出る」

みたいな噂も立っていました。それもそのはず、第1回試験の午後にも問128で日本の心理療法に関する出題があり、動作法と内観療法とともに森田療法も選択肢に含まれていたのです。
ただ、それ以降は、出題が見られず、よく出るという噂も今となっては過去の話。

でも、だからこそ!

そろそろ出題が見られるようになる可能性もあると思われますので、しっかり覚えておきましょう。


問4 森田療法について、正しいものを1つ選べ。
① 「精神交互作用」の過程を重視する。
② 創始時に多く適用された対象は、統合失調症であった。
③ あるがままに受け入れるアプローチは、「身調べ」に由来する。
④ 原法の絶対臥褥(がじょく)期では、読書は行ってもよいとされる。
⑤ 「ヒポコンドリー性基調」とは、注意が外界に向けられ他者に敏感である状態をいう。


答えと解説をみてみましょう!

正答①
①「精神交互作用」とは、森田神経質の発症要因であり、自分の身体や精神的変化に注意が集中することで感覚が鋭敏になり、それに伴って意識が狭窄して、注意が固着していく過程、説明されます。森田療法では、この「精神交互作用」の過程を重視するので、この選択肢は正しいです。
②森田正馬は、いわゆる森田神経質の治療法として、森田療法を創始しました。森田正馬は森田神経質について、普通神経質(いわゆる神経衰弱)、強迫観念(恐怖症)、発作性神経症(恐怖症)に分類しています。なお、神経症という用語はDSM-Ⅳ以降、用いられておらず、DSM-5では不安障害や身体表現性障害、解離性障害等に分類されています。
③誤り。「身調べ」は浄土真宗における修養法の1つであり、これに由来するのは内観療法です。内観療法は、1950年代に吉本伊信が身調べをもとに開発した心理療法で、内観という自己修練の方法論を心理療法に適用したものです。
④誤り。森田療法における入院治療の第1期である絶対臥褥期は、何もせずにひたすら横になる時期で、患者を個室に隔離して、面会、談話、読書、喫煙、その他全ての慰安を禁じ、食事、排便以外ほとんど絶対臥褥を命じます。これは、心身の疲労を調整し、不安にとらわれた状態から脱する状態を体得させるためのものです。
⑤誤り。「ヒポコンドリー性基調」とは、森田神経質を発症する要因となる素質であり、患者のもつ神経質傾向を指します。これは自己内省的な特徴を持ち、注意が自己の内側に向けられ、自己の感覚に敏感である状態とされています。

覚えておこう!ワンポイント!

 森田療法で覚えておくべきキーワードは、精神交互作用森田神経質ヒポコンドリー性基調などが挙げられます。それ以外で上記にない情報として覚えておくべき情報は、「方法」です。
「方法」は、合宿形式が取られ、最初の1週間の絶対臥祷期では、全ての活動が禁止されます。その後、庭掃除・読書などの簡単な作業を行う軽作業期、畑仕事・大工仕事などを行う重作業期、社会復帰の準備としての生活訓練期へと移行していきます。
これら4期の内容と順番は問われる可能性もあるので、覚えておきましょう。

文献情報

・氏原寛ら編(2004)心理臨床大事典[改訂版] p.365,367 培風館
・小此木啓吾ら編(1998)心の臨床家のための必携精神医学ハンドブック p.160,161創元社
・下山晴彦ら編(2014)誠信 心理学辞典 新版 p.390 誠信書房