第1回公認心理師試験 問5
皆さん!こんにちは。
京都コムニタスの吉山です。
8月に入りました。
第7回公認心理師試験のブループリントの公表はいつになるのでしょうか?
2023年5月14日に行われた第6回公認心理師試験のときは、試験に関する官報が公告されたのは、2023年1月10日でした。試験の4か月前です。
第7回試験に関しては、いつになるか分かりませんが、
情報は手に入れられるようにしておきましょう。
第1回公認心理師試験の問5!
ブループリントのキーワードでは、
⑧学習及び言語のオペラント条件づけ
が該当する、基本問題になります。
この問題は、選択肢を見て、2秒で即答できなければならない問題ですね。これが「分からない」「2択までいけるけど自信がない」という方は、
ここでしっかり覚えてしまいましょう!
問5 オペラント行動の研究の基礎を築いたのは誰か。正しいものを1つ選べ。
① A. Adler
② B. F. Skinner
③ E. C. Tolman
④ I. P. Pavlov
⑤ J. B. Watson
答えと解説をみてみましょう!
あまり、知られていないかもしれませんが、
オペラント条件づけの研究は、19世紀末から20世紀初めに、E. L. Thorndike(ソーンダイク)によって開始されました。
そして、今日のオペラント条件づけの研究は、20世紀中頃、B. F. Skinner(スキナー)によってその基礎が築かれ、発展しています。
①誤り。精神分析学者であったA. Adler(アドラー)は後にその立場から離れ、人の行動の動因は生物学的要因ではなく、社会的関心や劣等感といった社会的力であると考え、個人心理学を展開しました。ということで誤りです。
②正しい。C. L. Hull(ハル)、E. C. Tolman(トールマン)、B. F. Skinnerらの立場は総称して新行動主義と呼ばれています。新行動主義とは、刺激(Stimulus)と反応(Response)の単純な関係の間に刺激を解釈し反応を生成する要素(Organism)を入れ、行動を「S-O-R」の関係で捉えています。B. F. Skinnerは、スキナー箱、あるいは、オペラント箱と呼ばれるオペラント条件づけの様子を効率よく観察するための装置を考案し、オペラント条件づけの研究を発展させました。ということでこれが正解です。
③誤り。新行動主義者の一人であるE. C. Tolmanは、行動主義を出発点としながらゲシュタルト心理学の影響も受けており、環境の刺激には目標に導く手がかりが存在し、その手がかりに対して生活体の側に期待が生じることによって学習が成立するとしました。誤りです。
④誤り。I. P. Pavlov(パブロフ)は、パブロフの犬とも呼ばれる、古典的条件づけの系統的な実験を初めて行いました。彼は、分化条件づけの課題を難しくしていくとイヌが突然興奮し、それまでの学習効果は台無しになり、様々な不適応行動が生じることを見出し、これを実験神経症と名付けました。誤りです。
⑤誤り。J. B. Watson(ワトソン)は、行動主義宣言とも呼ばれる『行動主義者の見た心理学』を発表し、心理学は客観的科学として、意識ではなく行動を研究対象とするべきだと主張した人物です。彼が行った実験の1つにアルバート坊やの実験があるのは有名な話ですね。ということで誤りです。
覚えておこう!ワンポイント!
今回は、それぞれの選択肢の人物がどのような研究をした人物か、功績・概念を残した人物かを覚えておいてくださいね。
その中でも、今日は、E. C. Tolmanについて、覚えておきましょう。
E. C. Tolmanは、ネズミを用いた迷路学習の実験において、ネズミは単に刺激に対して反応を形成しているのではなく、方向や距離などの空間情報を含んだ認知地図を形成すると考えました。
認知地図は、私たちがどこか行きたいところにたどり着くために、頭の中で描いた地図を手掛かりにするようなものであり、目に見える形では直接現れない認知過程に生じる学習と考えられているため、潜在学習と呼ばれます。
この認知地図と潜在学習、覚えておきましょう。
ということで、今回は必ず正答できるようになっておきたい問題の解説でした。
文献情報
・岡市廣成ら編(2006)心理学概論 p.90 ナカニシヤ出版
・下山晴彦 編(2014)誠信 心理学辞典[新版] p.18,878 誠信書房
・板口典弘・相馬花恵 編(2017)ステップアップ心理学シリーズ 心理学入門 こころを科学する10のアプローチ p.19 講談社
・鹿取廣人ら編(2015) 心理学[第5版] p.69,315 東京大学出版会
・藤岡新治・山上精次(2006) 図説現代心理学入門[三訂版] p.98-100 培風館