上手い演奏者(プレイヤー)の特徴

今まで様々なジャンルの音楽のコンサートやライブを観てきました。
そして自分自身も演奏者として、多くの方々と共演してきました。

タイトルには上手い演奏者(プレイヤー)と表記しましたが、「またこの人と一緒に演奏したい」「またこの人の音楽を聴きたい」「この人の演奏は聴いていて気持ち良い」と思わせてくれる演奏者のことをそのように表記しています。
「とにかく技術(テクニック)が凄い」とか、「音色が自分好みである」とか、その人その人の持ち味ももちろんあります。
しかし、一点だけ、ある共通点があることに気付きました。

それは、「常にアンテナを張っていること」です。
合唱や吹奏楽では、「耳をしっかり使って」とか、「お互いの音をよく聴いて」という声をよく耳にします。
これがアンテナを張ることです。
しかしアンテナは耳だけではないのです。

様々なジャンルのライブを観にいくと、即興演奏(アドリブ)を回していくような演奏スタイルもあります。
楽譜で決められている約束事は少ないため、その日のそのステージでどのような音が生まれるかは、本人たちですらわかっていないような演奏です。
こういったスタイルで演奏されている方々は、とにかく目をよく使っています。
演奏している姿をしっかりと見ることで、同じ部分を繰り返すのか、次に進むのかという判断をしています。

では独奏の場合はどうなのか、と思われる方もいるでしょう。
独奏の場合も、伴奏がついているような曲であれば、もちろん伴奏者を見ることや、伴奏者の音・息遣いを聴くことが必要です。
さらに、お客様の反応や息遣いにまでアンテナを張っている方の演奏にこそ、惹かれるものがあります。

特定のジャンルの音楽では耳だけを使う、といったような限定的なことはありません。
上手い演奏者(プレイヤー)は、耳と目、すなわち聴覚と視覚を、演奏者同士だけでなくお客様も含めて、広範囲に対して使い続けています。

ではアンテナを張っていない演奏とはどのようなものでしょうか。

例えばガチガチに緊張してしまい、楽譜しか見られないような状態の独奏者の演奏を聴いたとします。
その演奏を聴いているお客様が、聴いている自分も音楽の世界に包まれているような感覚になることができるでしょうか。

また、お互いの音を全く聴かず、指揮者が示すテンポにだけ合わせて音を出すような合唱団の演奏があったとします。
聴いているお客様も含めて、一体感が生まれるような演奏になるでしょうか。

いずれも難しいでしょう。

常にアンテナを張って演奏できる人は、やはりそれだけの余裕を持って演奏できる人だと思います。
自分の演奏で精一杯になっている人がアンテナを張ることは難しいでしょう。
では余裕を持つために必要なことはなんでしょうか。

私が思うのは、

「準備」と「経験」です。

まず準備とは、演奏する曲の練習が十分にできているか、演奏する曲の全体像がわかっているか、演奏会場のことを知っているかといったことです。
練習不足の演奏者が余裕のある演奏をすることは不可能ですよね。
また、自分以外の演奏者が何をしているのかわかっていない状態では、特に誰に対してアンテナを張る必要があるかわからないと思います。
さらに演奏会場のことまでよくわかっていると、お客様に対してのアンテナも張りやすくなるでしょう。

そして「経験」です。
これについては、ただ長い年月を経過することや、場数を多く踏めば良いというわけではありません。
よくある発言に、「私は◯年間演奏してきたから」「私は◯本以上ライブを経験してきたから」といったものがあります。
私は、年数や本数ではなく、どういった演奏をしてきたか、どういったライブを経験してきたか、の方が重要であると考えます。
量より質というわけです。

私自身も音楽を始めたのは遅かったのですが、今活躍されている演奏家の知人には、楽器を始めたのが高校生からという方もいます。
高校、大学の数年間で実力をつけ、音楽を生業としている方がいるのです。
もちろん幼少の頃からずっと音楽の経験を積んで、大活躍されている方もおられます。
こういった方々を見ると、量だけではないということを実感します。

私自身も、アンテナを張り続けながら演奏できるよう、準備と経験を重ねていきたいと思います。

今回は、私が感じた上手いプレイヤーの共通点について書かせていただきました。
少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

これからも素晴らしい音楽がたくさん生まれますように!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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