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きくらげのとりこ

私の頭の中は今、きくらげでいっぱいになっている。

仕事で少し暇な時間ができたからといって、何の気無しに始めたネットサーフィンが行けなかった。新しい本を買いたいと思って開いたAmazonのページの、おすすめ欄にそれはいた。『きくらげの逆襲』という本が新刊で発売されており、そのタイトルを見た途端、私の脳内にはきくらげのビジュアルと食感が瞬時に浮かび上がる。

別にきくらげが好きでもないのにとても精巧なイメージが出来上がった。ゴムのような見た目と食感、コリコリとした歯応えが中華風の味付けと共に口の中にも広がる。

もうきくらげ以外に無かった。

そうと決まれば話は早い。というより、今の私にはそれ以外の選択肢がない。そのままきくらげを使った料理のレシピを検索する。「きくらげ 料理」で出てきたレシピをざっと見て頭の中にメモをする。今晩のおかずの買い出しの為に。

きくらげに支配された脳でそぞろに業務をこなして退勤する。家に帰る前に寄るのは業務スーパーだ。

いつも利用している御用達のスーパーでちょっとした問題が発生した。きくらげがどこに売られているか分からないのだ。普段から購入しているわけでは無いから当てもなく、だからといってすぐに店員に聞けるほど私は積極性のある人間ではないし微かなプライドがそれを拒否する。

店内を物色しつつきくらげを探しているといつもは見ることすらなかった食材たちが目に留まる。特に冷凍の茄子揚げなどには大変興味を引かれたが、あいにくきくらげにしか目がないため見送ることにした。通常時なら購入したかもしれない。

流石は業務スーパー500g入りの大量きくらげしか売っていなかった、と見逃がすところだったが50g入りのお手軽サイズがあったのでそれを迷いなく購入。保存も効くし、何よりきくらげを購入することに躊躇うはずもなかった。

20gで70円くらい。お手軽!

家に帰り、レシピを検索する。今回作るのはお手軽な「卵ときくらげの中華炒め」。
きくらげを水で戻し、鶏がらスープとシャンタンで味付けする実にお手軽な簡単料理。初めて作るのにそれなりのものが作れた。材料もきくらげと卵と調味料のみで特に買い出しの必要も無かった。

少し濃い味付けにしたのでご飯のおかずにもなる。トマトを入れて彩り豊かにしてみたくもあったが卵と同時に投入したせいか、あまりに赤く染まってしまった。


トマトの主張が激しい


イメージ通りの味付けにはできなかったがこれはこれで良い。しっかり完食。

きくらげに支配された一日を締めた中華炒め。

このようにして突拍子もない自炊は生まれる。ご馳走様でした。

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