見出し画像

知っているだけで世界はちょっと変わるから

あと1週間で仕事をやめる。
引き継ぎもほぼ済ませているから、あとは残っている仕事を片付けるだけ。

同僚たちにも情報が伝わったみたいで、色々な人が「やめるんだって?」と声をかけてくれる。ありがたい。

「1年ほど休んで、海外に遊びにいきます。」

というと、ほとんどの人が「いいね!」と反応してくれる。もちろん、驚く人も多い。

そんな中で、「なぜその選択をしたの?」という質問も多くされるようになった。


ひとつは、わたしがシングルで身軽であることもあるだろう。そして、後悔したくない、という思いも強い。最後のひとつは、わたしの中に、「その選択肢がすでにある」からじゃないかなと思っている。

大学にいたころに出会った、アメリカからきた女性。彼女とのささいな会話が、わたしの選択肢を増やしてくれた。

小さな出会いが、選択肢を増やして、そして今に繋がる。

知っているだけで、世界はすこし変わるのだ。

大学で研究をしていたころ、近くの「英会話カフェ」にいったことがある。

その名の通り、英語で会話できるカフェだ。旅行で日本に一時滞在している外国人が、宿として滞在する代わりに、英会話を提供するというカフェ。

当時のわたしは、海外で英語に打ちのめされた後だったから、切実に英語力の向上を望んでいた。

それぞれのテーブルに3、4人に分かれて、英語を学びたい日本人と外国人が会話をする。ある時間がくれば、グループがシャッフルされるようになっていた。

色々な外国人と話したような気がする。でも覚えているのは、たったひとり、アメリカ人の女性と話したことだけだった。

彼女は日本には観光で来ているのだという。1ヶ月ほどその英会話カフェに滞在して、その後も日本を旅するのだと。

なにげなく質問した。

「あなたは学生なの?」

彼女はだいぶ若くみえたし、そんな長期間の旅行をするのは学生に違いないと思った。返ってきた答えは、わたしにとっては予想外だった。

「アメリカでは飛行機の整備士をやっているわ(たしか整備士と言っていたと思う)。10年間働いたら、1年休みをとれるの。だから世界を回ろうと思って。」

大学の先生たちがとるサバティカル休暇というものがある。10年ほど大学で教鞭をとったら、およそ1年間、海外の大学にいき研究ができる。それにそっくりだ。

「1年は勉強するためじゃないの?なにをしてもいいの?」

休暇といっても、勉強をするためのものだと思っていたから、彼女の答えは衝撃だった。だから聞いてみた。

「いいのよ。もちろん勉強をする人もいるけれど、わたしは旅をすることにしたの。」

なんて、ウキウキと旅行のプランを話してくれる。

彼女との会話で覚えているのはそこまで。

あとは忘れてしまった。

でもこのささいな会話は、わたしの頭にずっと残ることになる。

この会話を重要だと思って大切にしまっていたわけではない。
ただなんとなく頭の片隅に残り続けた。

ふ〜ん、そんな世界もあるのかと。

ほんのささいな小さなきっかけ。

それは「海外」に興味があって、アンテナがたっていたから、見つかった出会いなのだと思う。そしてアンテナがたっていたから、記憶として留まったのだろう。

じゃあ、アンテナがたっていたら出会えるのか?

というと、そうでもないから面白い。

予想もしないところで、心に残る出会いは起こるのだ。


思い返してみると、海外に旅立つことだけではない。

どんな選択も、自らが0から生み出したということはない気がする。誰かがやっていて、それを手持ちの選択に加えただけだ。タイミングが来たから、その選択肢を選んだのだ。

でも知らないとなにも起こらない。

選択肢にもあがってこない。

だから、人と出会って、話すのだ。

出会いは想像もしないところに転がっているもの。

興味をもって飛び込んでみたら、思わぬ出会いを果たすかもしれない。

それを後で気づくこともあるかもしれない。

わたしはそれを楽しみに今日も行動している。


お読みいただき、ありがとうございます。
また次の記事でお会いしましょう!


海外で打ちのめされた話はこちらから。


よろしければサポートお願いいたします(^^)頂いたサポートは、新しい学びの資金にさせていただきます。