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相続雑記(①手続準備)

 3月末に父が亡くなりました。87歳の誕生日目前。秋にはゴルフに行っていたくらいの体調でしたが、暮れに身体が痛いと言いだし、病名が分かる前しばらくかかり、年末から入院。一時退院できるまでになりましたが、入院からちょうど100日の闘病で旅立ちました。
 すべての手続きが終わったわけではなく、現在進行形の部分もありますが、相続について、自身の感じたところをつらつらと記載してみました。相続に関する本や記事はいくらでも入手できますが、より細かい部分を含めて書いてみます。 
 前提として、入院や見舞いは母や姉(関東在住、筆者である私は関西在住。)、葬儀から四十九日法要までは母(私が細かいところは決めたり)、相続手続は私という大雑把な役割分担で進んでいきます。相続人は母、姉、私の3人です。


【初動~葬儀】

  • 死亡診断書は医師が発行します。父の住んでいた自治体の様式は、A3判で左A4大が死亡届、右が死亡診断書でした、市町村役場に死亡届として遺族が出す場合もあるようですが、亡くなった翌々日に葬儀屋と葬儀の打ち合わせを行った際、葬儀屋が届けてくれました(火葬許可証をもらうため)。死亡届と死亡診断書の控(コピー)は、相続の諸手続で必要です。

  • 葬儀は生前の父の意向もあり、家族葬としました。父の住んでいた場所からほど近い、複数斎場を持つ葬儀屋を選択。昨今、費用一桁万円を打ち出した葬儀屋が広告を打っていますが、正直、基本料金は何の参考にもなりません。実際にかかった費用は、基本料金(二桁万円)の4倍。祭壇、装飾、骨壺など選択肢は様々。オプションをつけないという確固たる意志がなければ(⇔ 亡くなった者への弔う気持ちとのトレードオフ)、基本料金で済ませるのは相当の胆力が必要です。

  • 通夜の参列者は母・姉・私、葬儀は加えて親戚代表1名(関東在住)。導師は菩提寺@関西ではなく、葬儀屋が手配した同じ宗派の僧侶です(関東には少ないようです)。

  • 亡くなった翌日(4月1日(土))朝一で私は関西から帰省。翌々日(4月2日(日))に葬儀屋と打ち合わせて、私はいったん自宅へ。通夜は亡くなった1週間後(4月7日(金))、葬儀・火葬はその翌日(4月8日(土))。火葬まで時間がかかりましたが、巷間言われるような「火葬難民」的なものではありませんでした。もちろん、遺体保存のための費用はかかっています。

  • 火葬が終わり、葬儀屋からは祭壇一式が届きました。四十九日まではこのしつらえとなります。

【葬儀後~四十九日】

  • 四十九日法要は、5月の連休明け、父の旧生家@関西で執り行いました。導師は菩提寺@関西の住職。参列者は母・姉に、これまた親族代表として、旧生家の近くに住む私の従弟=父の姉(既に逝去)の子夫婦。もう一人の父の姉も参列を望んでいましたが、移動のことなどを考え、丁重にご辞退申し上げました。食事は出さず、法要だけで終えました。

  • 父が亡くなってしばらくして、母が、父の知人等に、亡くなった旨をはがきで報告。そしたら生花・供物・香典が山のように届きました。弔問もあったようです。香典返しに苦労した模様(私自身は一切の弔意をお断りした。勤務先就業規則上の弔慰金のみ。)。

【相続手続開始】

  • 市区町村役場が発行する「相続のしおり」的なものに、一連の手続きが書いてあります。一読して、必要書類を集めておけば、役場関係の手続きは準備1日、申請等1日(4月10日・月曜日…父の87歳の誕生日のはずでした)で片づけました。私は月・火曜日を忌引で休み、火曜日の昼過ぎに自宅に戻りました。

  • 手続に書いてあるもののうち、「所得税の仮確定申告」は、年金生活者にはほぼ不要です(税務署に確認したら、申請すらいらないようです。)。

  • 葬儀・初七日などを終えて落ち着いたら、被相続人の財産の洗出しにとりかかります。父は、亡くなる前の年の正月に「家族会議」を開き、それぞれの状況(姉・私もです)を書面に書き出して、家族で確認しました。これが、後に手続がスムーズに進められる助けとなりました。

【相続開始後の準備】

  • 相続人全員に印鑑証明書を作らせ、(自らの)戸籍謄本を簡単に取れるようにします。

  • マイナンバーカードがあれば、多くの自治体で、住民票と印鑑証明を、さらにコンビニの端末で登録すれば戸籍謄本を、それぞれ、24時間いつでもコンビニの端末から取得が可能です。特に、本籍地と居住地が同じでも、印鑑証明や住民票が多数必要になる場面です。個人のお考えはあろうかと思いますが、市区町村役場が遠くなくても、登録をお勧めします。

  • 戸籍の筆頭者が亡くなっても、戸籍の筆頭者がその配偶者や子供になることはありません。コンビニ端末での申請の場合、ここは留意が必要です。

  • 被相続人の本籍地市区町村役場で、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)を2〜3セットを準備します。特に被相続人の本籍地が遠隔地だと、まずここでひっかかります。定額小為替を「つかみ」で買って、郵送で申請します。ここで想定外の相続人が出てこないとも限りませんが。

  • 平成に入って、戸籍の改製(電子化)が行われていますが、生まれてから死ぬまで電子化されているのは、平成生まれからと思っておいていいです。すなわち、それ以前に生まれた人は、紙→電子の移行が起きています。実際は、①出生時は筆頭者の戸籍にぶら下がる、②法律上の結婚で新たに戸籍が作られる(筆者の場合、姉・私とも未婚のため、これがない)、③電子化にあたり①または②の戸籍が改製されるが、その情報のうち、その時点で有効な情報のみ転記されるので、全てが載るわけではないといった複数段階に分かれて、初めて「出生から死亡までの戸籍」が揃います。この仕組みを理解していなかったので、戸籍謄本10セットくらいを取得するつもりで、1万円近くの定額小為替を送付して郵送申請しました。結局、2セットしか入手できませんでしたが、結果このくらいでよかったです。

  • (2023年11月25日追記:2023年11月24日、改正戸籍法が成立し、2024年4月から、本籍地以外の市町村役所で戸籍が取れるようになるとのこと。便利になります。)

  • 被相続人の住民票のある市区町村役場で、住民票の除票(死亡したことが書いてある)を取ります。

  • 被相続人の戸籍謄本(被相続人の出生から死亡まで+相続人)などがそろったら、管轄の法務局(申請者=相続人居住地のそれでよい)に行き、認証文付きの「法定相続情報一覧図」を取得することがベスト。これは、法務局に行く手間だけで、費用はかかりません(作成後の郵送料≒レターパック代はいるが、取りに行くなら不要。)し、以後、被相続人の戸籍謄本がほぼいらなくなります。複数部取得してください(後述のとおり使いまわしもOK)。追加申請も可能です。

  • 相続人それぞれの身分証明(マイナンバーカード両面、自動車運転免許証<住所変更していれば両面、そうでなければ片面>等)のコピーも準備しておきましょう。たまに住民票のケースもありますが。

  • 各種書類に住所・氏名を書く時には、住民票=印鑑証明書=戸籍謄本と一字一句違えずに書くようにしてください。「10番地1」を「10-1」と書いてはいけないし、マンション名を割愛してもダメです(筆者がかつて住んでいた富山市の場合、「富山市〇〇町〇番地〇—〇〇〇号 〇〇マンション」と、マンション名が部屋番号の後に来ます。)。また、自署でなければ受けないケースもありますので、注意が必要です。(後述)

  • 遺言書がなくてもいいですが、遺産分割協議書は、相続人で協議の上、相続人数分用意してください。不動産の場合、捨印を求められることがあります(幸い、遺言書ではないものの、父の意向が生前に示されていましたので、「争続」になることはありませんでした。)。

  • 家族間の重要書類(通帳・キャッシュカード・印鑑証明・権利書等)のやりとりに備え、レターパック(赤のレターパック:発送はポスト投函。追跡可能だが、受取人に受領印が必要で、宅配ボックスが使えるケースと使えないケースあり。他方、青のレターパックは、受取人に受領印がいらないことが違い)を用意しておくと楽です。ただ、金融機関への送付は、金融機関負担で簡易書留の返信用封筒を送ってくるので、結局、郵便局に行く羽目になります(金融機関からの送付も同様であり、受け取れないと結局、再配達か受け取りに行くことになる。)。

【年金手続】

  • 父母とも年金生活者でしたので、父の分を遺族年金に切り替える必要があります。この手続きは市役所ではなく年金事務所で行います。

  • 年金事務所で相談することは可能ですが、年金事務所での相談は、混雑していてなかなか時間が取れないようです(事前予約制でもあった)。

  • 年金証書などを持参して、年金事務所に行って「〇〇が亡くなったので相続の手続きをしたい」と申し出て、書類一式をもらいます。もらった書類にある説明書を見ながらであれば、だいたい対応できるのではと思います(後述の金融機関と異なり、「書き直しラリー」はありませんでした。)。

  • たまたま少し前に、会社の同期がお父様を亡くされ、会議の欠席も多くなっていましたが、聞くと年金手続きのため、生家に戻っていたとのこと。これは比較の問題なのでしょうか。

(②に続きます)

(2023年11月14日一部加筆修正)

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