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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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#経営

【読書メモ】ユニクロ

やはり、その問いが肝か。 「ユニクロとは何か」「ユニクロの服とは何か」 ユニクロが事業の節目を作ったのが、この問いであることに深い感銘を受けました。 ユニクロの創業期から現代までを詳細につづったドキュメントです。著者は杉本貴司さん、日経新聞の記者です。綿密な取材で、柳井さんをはじめとした人物一人ひとりの葛藤がつづられています。 葛藤や挫折からの学びが人生を豊かにする 人も会社も葛藤やときに挫折があって歩んでいくのだと思います。読んでいるうちに"Fail fast, l

回数券は本当にお得なのか?

二週間ほど前に子供と遊んでいる際に首と腰を痛め、なかなか良くならなかったこともあり、最近はマッサージや鍼灸、中国整体、酸素カプセルなど色々な場所で治療を受けました。最近このような業種で多くなったと感じるのが回数券です 多くのお店で回数券を導入しており、しかも結構な圧で提案をしてきます。お店側としては回数券を買ってもらえばリピートしてもらえる可能性が高いですしリピートしなかったとしても何もせずに収入が入るのでメリットは大きいです。利用する側としてみても確かに一回当たりの料金を考

葛藤を超えて:組織と個人のレジリエンスと成長のダイナミクス

マラソンのトレーニングをしていると、走りが変わったことに気づく瞬間が訪れます。「ああ、こういう動き方をすれば良いんだ」と実感するわけです。それまでは、「こういう風に動かそう」と体の特定の部分を意識しながら走るわけですが、すぐには思うようになりません。頭では分かっていても、身体は今までのままだからです。それでも、意識して繰り返しているうちに、無意識の領域で身体が変わっていき、いつしかできるようになります。 経営も似たようなところがあります。 たとえば、管理職がいつまでもプレー

挑戦と挫折:次世代のマネジメントチームに必要な学びと経験の価値

リーダーには学ぶ習慣が必要です。トップは特にそうです。なぜなら、トップになってみないと分からないことがあるからです。 後継人事に関するドラッカーの実践的アドバイス 上記は、ドラッカーの言葉です。いくら今のポジションでのパフォーマンスが良くても、経営はやらせてみないと分かりません。そうなると、トップのポジションは一つですから、ほぼ準備できません。 座学で準備することもできるでしょう。しかし、経営者の仕事はマニュアルでできるものではありません。暗黙知がそのほとんどをしめます

中小企業における経営幹部の育成と覚悟の重要性

ここのところ、経営幹部育成の課題についてよくご相談をいただきます。私の場合は、中小企業の経営コンサルをしているので、その社長さんからの相談が多いです。 「なかなか次の幹部が育たないんだよね」 そんな素朴なボヤキから始まります。コンサルタントとして、その「育った状態」とはどういう定義なんだろうとまずは理解しようとします。一番多いのは、決めない、決められない、判断を委ねてくるといったものです。「結局、覚悟がないんだよ」とおっしゃることも度々です。 経営者は苦労して、覚悟を育

チョコザップの迷走

最近、チョコザップ(chocoZAP)が新サービスを始めるというCMをよく見ます。 チョコザップはコンビニジムを標榜し、トレーニングマシンだけでなく、セルフエステやセルフ脱毛などの設備も整え、会費は驚きの月額2980円(税込3278円)。 エニタイムフィットネスなど競合の24時間ジムの月会費が7000~10000円程度であることを考えると、衝撃の安さです。しかし、その分スタッフは不在(他の24時間ジムはスタッフアワーのみ在籍)、シャワーや鍵付きロッカーも無し、店舗によっては

AIツール活用レビューもかねて…:中小企業における変革的リーダーシップの主な特徴とは?

中小企業の経営コンサルをしているとなんだかんだで、社長のリーダーシップが重要だと感じます。どんな先行研究があるのかAIのツールを活用して概観してみました。 Consensus で概観してみた結果 ”Consensus”というツールを使って論文を検索してみました。このツールは質問を投げれば、それに対応する全世界の論文を検索し、結果をワンセンテンスに要約してくれるAIツールです。 詳細はこの記事が参考になったのであわせてリンクを貼りますね。 使ってみると、質問文が検索結果

効率化の影で見失うもの: 仕事の価値と働きがいの再発見

家のごみを出しに行ってふと思いました。 「エッセンシャルワーカーって言わなくなった?」 コロナ禍によって、浮彫りになったことの一つにエッセンシャルワーカーの存在があります。 家族が罹患して濃厚接触者になったときにすごく気をつかってゴミを出しました。その時、「確かにごみを収集してくださる方は危険と隣り合わせだ、しかも休めない、本当に有難い」と身に染みて思いました。 ところがいつのまにか意識していない自分に気づきました。 「やれやれ、今日もごみを出さないとな、よし、出した、仕

マイナス金利解除で金利のある世界に突入

19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決定し17年ぶりに政策金利が引き上げられました。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃され金融政策の正常化に向けて新たな段階に入った言って良いでしょう。 私も含め現役世代の方は長年低金利の世界で生活をしてきたため、金利の影響についてあまり実感がない方も多いと思います。 長年普通預金の利息は0.001%に設定されており、100万円貯金していても1年で10円、税(国税分15.315%+地方税分5%)引き後の利息は

朝の15分が育てた自己効力感:習慣の力と小さな一歩

毎朝のルーチンがあります。 日記を書く、数ページずつ3冊の本を読むといったものです。起きて15分くらいの時間です。 上司が実践している内容を取り入れました。 日記は、3年連用日記を使っています。まもなく3年分が終わりそうです。つまり3年つづけています。 3日坊主を3日坊主にしないことが継続の秘訣 日記は、3日坊主の代表格(?)だと思います。過去も何度かトライしましたが、つづきませんでした。でも、今回は3年つづいています。習慣になりました。振り返ると「あ、忘れてた」なんて

早朝の27キロ:冒険、感謝、そして気づき

週末27キロ走りました。 中途半端な数字ですが、25キロ予定で走りはじめて、2キロプラスになったのでした。 大体、3時間くらいかかります。日中は、色々と家事やら子どもの相手やらもしたいので時間が取れません。…というわけで、朝3時半に起きて、4時にスタートしました(笑)。ランニング用の電灯を胸につけて走ります。そうやって足元を照らせば案外大丈夫。田舎なので、車も人もいません。コンビニを給水所にしながら走りました。 最初の10キロは、本当に暗くて静か。地元の氏神様が祀られてい

成り行きの未来を想像する

先日、ある会社で5ヵ年の経営改革計画の最終年度を迎えました。5年前に立てた目標には届かず、最終年度には大きな外部環境の変化があり失速したため経営者はあまりスッキリしない最後になってしまったと嘆いていました。 私は役員メンバーに質問しました。 「もし仮に、5年前に改革計画をスタートさせず、成り行きで進んでいた未来があったらどんな5年後(現在)になっていたと思いますか?」 ある役員から、「売上は現在の6割くらいで大きな赤字になっていたと思います。」というコメントがありました。

お客さまから学び、躍動する組織をつくる人間観

企業の成長は、お客さまの声に耳を傾けることから始まります。 例えば、ジェフ・ベソスが創業したAmazonは、「地球上で最もお客さまを大切にする企業」という理念を掲げています。ベソスは、その理念に忠実に事業を発展させてきました。今では、あたり前になっている「カスタマーレビュー」も当初は、「お客さまからの不評の声まで載せたら売れなくなるに決まっている」と酷評されていたのです。 お客さまから学ぶ組織で働く喜び 私たちは、お客さまが何を求めているのか、素直に学び、商品・サ

高度専門人材が活用できるかどうかはリーダーシップ次第

2月17日の日本経済新聞4面に気になる記事がありました。それは、「博士採用ゼロ、大手の2割 業務・待遇の整備遅れ」という記事です。本記事では、経団連の調査をもとに、日本企業は博士課程修了者の採用数が少なく、能力に見合った仕事や待遇の整備が遅れていることが紹介されていました。 私はこの記事を読んだ時に思い出したのが、幕末、長州藩の軍事責任者として採用された大村益次郎(1825~1869年)のことでした。大村益次郎は武士の生まれではなかったものの、西洋の学問(当時の蘭学)、特