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国語のワンポイント講座 接続語(3)

こんにちは!

KC看護アカデミア塾長の陀安です。


前回の記事で出題した接続語の問題の解答と解説です。


解答

①評論を読解できるようになるために大事なのは論理的文章を数多く読むことである。
  ア そして
②さまざまな接続語に注意することである。
  イ なぜなら
③論理とは言葉と言葉の関係にほかならないが、それを明示するのが接続語だからである。 
  ウ たとえば
④「しかし」という接続語は多くの場合「転換」を示している。
  エ すなわち
⑤「しかし」の前後で主張の方向が変化している可能性が高い。
  オ だから
⑥議論の方向を見失わないためには、「しかし」という接続語に注意する必要がある。
  カ ただし
⑦ときに接続語は省略されるので、その場合には自分でそれを補って読まねばならない。


解説(前回の記事「国語のワンポイント講座 接続語(2)」の接続語表も参照してください)


ア そして
 ①と②はどのような関係にあるでしょうか。「評論を読解できるようになるために何が必要か」が話題になっています。その同じ話題に対して「論理的文章を数多く読むこと」と「さまざまな接続語に注意すること」が必要だと述べられています。
 両者は同等の関係(これを並列関係とも言います)にあります。同等の内容が付加されているので、アには「そして」が入ります。

イ なぜなら
 ①②を通して「評論を読解できるようになるためにさまざまな接続語に注意することが必要だ」と述べ、③はその理由を示しています。「接続語に注意する必要があるのは、接続語が論理関係を明示するものだからだ」ということです。
 よって、イには「なぜなら」が入ります。なお、「なぜなら」とくれば、多くの場合「から」と結ぶので、③の文末は少し修正する必要があります。

ウ たとえば
 ④は①〜③で述べた、「論理的関係を明示するのが接続語だから、評論の読解には接続語に注意する必要がある」という主張に関して、「しかし」を具体例にした解説が始まるところです。よって、ウには「たとえば」が入ります。

エ すなわち オ だから
 エには「すなわち」、オには「だから」が入ります。ここは注意が必要です。これを逆にした方もいるのではないでしょうか?

 ④⑤⑥の内容から、④と⑤の関係、⑤と⑥の関係を丁寧にみていきましょう。

④ 「しかし」は転換を表す

⑤ 「しかし」の前後で主張の方向が変化している

 ⑤は④を解説しているにすぎません。④の「転換」という言葉がわかりにくいので、「主張の方向の変化」という言葉にわかりやすく言い換えて解説をしているということです。つまり、⑤は④と内容的にイコールの関係で、こういうときは「すなわち」になります。

⑤ 「しかし」の前後で主張の方向が変化している

⑥ 議論の方向を理解するためには、「しかし」という接続語への注意が必要

 ⑥は⑤とイコールの関係でしょうか?一見すると「すなわち」でつないでもよさそうに思えますが、丁寧にみると、⑤を理由にして⑥の結論を引き出すという関係にあります。
 「接続語は主張の方向の変化をもたらすものだから、議論の流れをつかむために注意が必要だ」という論理です。よって、オは「だから」になります。

カ ただし
 ①〜⑥は全体を通して「接続語に注意しなさい」と述べていますが、⑦は接続語が省略された場合に注意を促す内容になっています。これは「接続語の省略」という例外的なケースを補足しているので、カには「ただし」が入ります。

 「しかし」を入れてもよさそうな気がしますが、「しかし」は「そのあとに続く内容に重きを置く」、「ただし」は「それまでの内容に対して補足説明する」という機能の違いがあります。接続語の前後どちらが主張の中心かという違いです。これを考慮すると、カは「ただし」になります。


いかがだったでしょうか。

 それぞれの接続語の機能に改めて意識を向ければ、難しい内容の文章であっても、接続語を読解の手がかりとして利用することができます。
 また、空欄に接続語を入れる問題の場合にも、前後の内容の関係性から正しい接続語を選ぶことができます。

 さらに補足すると、接続語への意識は小論文でも重要です。前後の内容の関係性を考えて正しい接続語でつなぐことが、読みやすい文章を書くうえで大切です。

接続語はとても重要です。折を見てまたとりあげたいと思います。

長文になりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。