第162話「 ゾンビと法律」(解説)

本編(カクヨム)↓


男性が語り手のお話ね。

彼が乗っている車が、事故を起こしてしまったみたい。

人を轢いてしまったノリカさんは狼狽している様子だけど、語り手は「大丈夫だ」って言っている。

「ゾンビは法律に守られていない存在だからね」だって。

そっか、ノリカさんが轢いちゃったのはゾンビだったんだ。

事故を起こしてしまったのはとても悪い出来事だったけど、相手が人間じゃなくて不幸中の幸いだったわね!

……と思ったけれど、なんだか雲行きが怪しいわ。

お話の最後が気になっちゃう。

語り手は、ノリカさんが逮捕されない『直接の理由』について、含みのある言葉を述べている。

「僕のカバンには入っているんだよ」だってさ。

うーん。語り手が『何か』を所持しているから、ノリカさんは逮捕されないって意味合いよね。

一体、語り手は何を持っているのかな?

彼がゾンビの研究者であることや、翌日から遠方の研究所に出張予定であるという事実から、自然と頭に浮かぶ『モノ』はあるわよね。

彼がカバンに入れているのって、きっと『ゾンビの体液』でしょうね。

そして、ゾンビの体液を使ってできることは、『成分の研究』、もしくは『生物をゾンビに変える』ことだわ。

真相はこうね。

ノリカさんが轢いたのはゾンビじゃなくて、

やっぱり普通の『人間』だったのよ……。

車に跳ね飛ばされた男性は、酷い怪我を負ったはずだけど、まだ息があってゆっくりと動いていた。

フロントガラス越しにそれを確認できた語り手は、高揚して呟いたのね。

「とてもツイている」

対象が生きていれば、体液を用いてゾンビに変容させることができる。

ゾンビになってしまえば、あの男性は法律に守られない存在になる。

法的な被害者が消えることで、事故自体も雲散霧消してしまうだろう。

そのように考えたから、終始、語り手は心配いらないと口にしていたわけね。


あとがき

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