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第135話 「予知の通り」

あれはパレードの3日ほど前のことだった。
パレードの目的は、我が息子――つまりは、この国の次期国王の誕生を祝うことだ。国中の民が王都に集う盛大な祝祭となる。

王族がその身を民衆の眼前に晒すわけだ、安全対策には万全を期す必要があった。
私は城に騎士団兵長を呼ぶと、当日の警備方法を説明させ、注意点のレクチャーを受けていた。

その最中、トントンと戸が叩かれた。
許可すると部屋に入ってきたのは預言者だった。
普段は何事にも動じず置き物然とした老婆が、重く腫れぼったいまぶたを限界まで開くと、慌てた声音で漏らす。

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2020〜2022年に投稿した意味怖を載せるマガジンです。

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