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第122話 「帰れ……、帰れ……」

当時の僕は、幽霊の存在なんて信じていなかった。
どちらかといえば、オカルト趣味だと鼻で笑うような人間だった。
今から考えれば愚かだったと認めざるを得ない。

僕は間違えていた。
今はそういう存在を信じている。当然のことだろう。
だって、その所為で、
僕は危うく死にかけたのだから……。

あれは僕が大学3年生のときの話だ。
山岳サークルに所属する友人にキャンプに行こうと誘われた。
X県のA山への一泊のキャンプ。
参加者は10人ほどで、男だけだと云う。
もともとインドア派の僕は、野営のキャンプと聞いて尻込みしたが、この時期は紅葉が綺麗だからという言葉に、買ったばかりの一眼レフカメラ持参で参加することにした。

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2020〜2022年に投稿した意味怖を載せるマガジンです。

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