第36話 「はじめてのおつかい」

テレビには男の子が映っている。
小学校低学年くらいのその子は、
スーパーの店内で、
身の丈に合わない大きな買い物カゴを持って、
ウロウロしている。

大人が見ると信じられないことだが、
カメラマンはかなり近くから彼を撮影しているのに、
彼はそのことに気付いていないようだ。

カメラマンは聞く、
「何を買いに来たんですか?」
男の子は母親から渡されたメモをポケットから取り出す。
「うんとね。トマトとね。マヨネーズとね。あとねー」
「トマトはあっちの方だね」
カメラマンが指差す方向に、男の子は駆けて行く。

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30話の意味怖が収録されています。 各話は独立した短編のお話です。 お話はインターネットからのコピーではなく、オリジナルの意味怖です。 各話に解説があり、解説分の記事を含めると総数60記事が収録されます。 第2集は、2015年頃に執筆した作品が収録されています。

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