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名古屋の栄あたりで

名古屋の栄あたりの交差点で、
朝の9時頃に
ちょっとしたケンカがあった。
ひょっとしたら
目撃者された方がいるかもしれない。

喫茶店でモーニングサービスの
朝食をとった帰り道

夫は声を荒らげた。

違う!違う!

夫は年齢と共に
癇癪持ちになり、
いや、
もともと癇癪持ちだったのが
年々エスカレートし、
電車の中でも
店内でも
路上でも
感情が抑えられなくなり
見境なく大声を出してしまう。
老化現象にしても
ハタ迷惑な話だ。

周りの人がサッと離れるのがわかる。

そんな時妻は身をかわして
取り敢えず10メートル以上避難。
他人のフリをする。

ハラワタが煮えくり返るが
極力言い返さないように努める。
これも人生修行だ。
ケンカはひとりではできない。
火に油は注がない。


ほとぼりが冷めるのを待つ。
せいぜい2〜3分。

しかし、この日は違った。

これだけは絶対に譲れないから!

お父さんの考えはわかった。

けど、
わたしにはわたしの考えがある。

この件に関しては
一本化するつもりはないから!

妻は言い放った。

いくら大きな声を出しても
怯まないから。
わたしの基準は法律じゃなくて
人情だから。

これは心の叫び。

滅多に自己主張をしない妻にしては
珍しい。


ひと通り、言いたい事をいったら、
何事もなかったかのように
二人はホテルに戻った。


絶対に引き摺らない。
すぐに切り替える。

これがこの夫婦の暗黙のルール。


荷造りが終わったら
さあ、豊川稲荷に出発だ〜。


※この物語はフィクションかも
 しれません。