見出し画像

発達障害のせいにする?

もうかれこれ20年の付き合いになる友人がいる。

価値観も似ていて、何でも本音で話せ、愚痴をいい合っても共感できる間柄た。

唯一気になるのは、周囲の人のおかしな言動を、発達障害、ときにはサイコパスだからと決めつけるところだ。

人は誰でも発達に偏りがある。
得手不得手もあり、好き嫌いもあり、それがあまりに歪だと、グレーゾーンからブラックの領域に近づく。

友人のご主人は、自営業で資産もあり、今は引退され悠々自適の暮らし。
どこから見ても立派な紳士だけれど、外からはわからないいろいろな問題点があり、友人は長年辛抱してきたという。
たしかに、それはあんまりだというエピソードもよく聞かされた。
年齢と共にその度合いが甚だしくなり、ついに堪忍袋の緒が切れた友人は、
「認知症か発達障害か、
病院で検査をして来て。
そうじゃなければ、
もう家を出ます」
と宣言したという。
そこまで追い詰められていたのかと、さすがに驚いた。
では、認知症か発達障害と診断されたとして、その先は、いったいどうするつもりなんだろうと思ったけれど、黙っていた。

ご主人は、妻に出ていかれるのがいろいろな意味で不都合なようで、素直に大学病院に検査に行ったらしい。
結果は発達障害グレーゾーン。

先日、その友人と会ったときに、ウィーンに行ってきたという話になった。
「誰と?」と訊ねたら、
ご主人と行ったという。
ははーん…ご主人は罪滅ぼしのつもりなんだなと、すぐにピンときた。

オペラを鑑賞したり、ホテルザッハのザッハトルテを食したり。
この円安の折柄、随分贅沢な旅だったようだ。

友人がいうには、ご主人は、ふたつ以上のことが同時にできないのだという。

それなら我が夫も負けてはいない。
料理を作るときには、2品、3品を同時に食卓に並べることが出来ない。
(3品も作ることは滅多にないが)
いざ食べる段には、最初の一皿は完全に冷めている。
なぜガス3穴を使って同時進行出来ないのかが不思議だが、文句をいったことはない。
ちょっと前までは包丁も握ったことがなかったのに、自ら料理作る気になっただけでも上等だと思う。

生来の短気も、癇癪持ちの気質も、年齢と共に、拍車がかかっている。

 だけど、こちらも発達障害の傾向があるのは自覚している。
お互い様なところもある。
その傾向に濃淡はあっても、それが個性だと思っている。
だから、今更どうにかしようとも思わない。
世界平和は家庭の平和から…と割り切っている。