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揺るがぬ信頼と募る不信感

9月のインターナショナルマッチウィークで日本代表はワールドカップ最終予選1勝1敗で終えた。ホームでオマーンに敗れ、中国にも1-0と辛勝と結果で見れば悪いスタートを切った。そんな中日本サッカー協会会長はインタビューで全幅の信頼を語った。

森保監督への信頼は「全く揺るぎない」サッカー協会の田嶋会長が断言https://www.daily.co.jp/soccer/2021/09/08/0014661940.shtml

今まで興行重視のアジア二次予選の結果にはしゃぎ内容を度外視に監督を擁護していたメディアも解任論を報じはじめた。
こんな状況にでも監督に信頼を寄せる日本サッカー協会に不信感を募らせているファンも少なくないだろう。

では、オマーン戦と中国戦結果が出なかったわけだが、内容はどうだったのかを考えていきたい。

まずは、オマーン戦だが内容は決して褒められるものではなかった。もちろん選手たちのコンディションがかなり悪かったことは否めないが(そもそも海外組の移動を考慮して協会は日本開催を見送るべきなのだが)、それを差し引いても観ていて辛いものがあった。
オマーンは日本の中央でのコンビネーションの崩しに対応するため4-3-1-2とかなり中に選手を固めた。
一方、日本は相変わらず配置に不安を抱えたまま4-2-3-1でスタートした。その予想が的中するかのようにビルドアップでもサイド攻撃でも機能不全が見られた。

まずは、左の問題点だ。黄色円のエリアに原口と長友がかぶって立ってしまうシーンがよく見られた。これでは長友のオーバーラップに幅がなく、相手の12番と14番のズレが生まれないため効果的にサイドを攻略できない。隣のレーンに鎌田は右のハーフスペースを好み、ダブルボランチはなかなか前には出て来ない。右サイドでは逆の現象が起こっていた。伊東がサイドには張らずに内側でボールを受け(インタビューを聴く限り森保監督の指示であろう)、酒井は長友があがる分バランスを見るため高い位置を取らずに構える。それによって緑の大外のレーンに誰も立たずに窮屈な攻撃になってしまった。そしてビルドアップだ。相手が2トップにも関わらずCB2枚で回し、ボランチも横並びのため数的優位を作れずなおかつ正面に立つことで簡単にパスコースを消すことが出来てしまっていた。酒井が高い位置を取らなかったためビルドアップを助ける位置を取っていたが大外のレーンに人がいないため逃げ場にはならず戻してしまうシーンが多い。この配置のミスは最大のツケを払わせられることになったのが失点のシーンだ。CB2枚で回すことでカウンターをくらった時にサイドのスペースが膨大に空いていた。2人で68mを守ることはほぼ不可能で失点もそのスペースを使われてのことだった。

ただ、今のトレンドの戦術を取り入れていれば簡単に改善されただろうし、それに適応できる人材も揃っている。

図のような配置に選手を誘導してあげるだけで変わっていただろう。原口はこの試合は大外に張る役割をしていたが所属クラブでインサイドハーフを務めることが多いのを活かし内側にポジショニングさせる。反対に伊東は右に張ることで大外を使う。酒井は高い位置を取らずに3バックのような形にして68mを3人でカウンターを防ぐ。反対に攻撃的な長友に高い位置を取らせ左の大外を使わせる。これだけでバランスよくピッチを使うことが出来る。また、違う選手を起用しても組み合わせを変えてあげるだけで同じようなことをできる人材がいる。なぜなら選手たちはポリバレントに成長しているからだ。

中国戦に関しては同じような機能不全が選手を変えて怒っていたが相手の戦術に助けられ辛勝した。

オマーン戦同様分析をしたら同じことを書くことになるのであえて書かないが、こんなシンプルな現代サッカーのトレンドを取り入れられない監督が日本を代表する監督なのだ。そのような監督に全幅の信頼を寄せる日本サッカー協会そして会長に巨大な不信感を抱かざるを得ない。

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