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1型糖尿病という私の生涯のツレについて

私が1型糖尿病を発症したのは21歳でした。
それから時を経て今30歳を迎えました。
発症以来、毎日、毎食前にインスリンの注射を打ちながら何とか生き延びています。
そんな私の糖尿病ライフを振り返りながらこの病について少しでも誰かに何か伝わってほしいなぁと思い、書いてみようと考えました。
もしかしたら私の文章を見て不愉快に思う同病者の方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方にはただ、すみません!と謝ることしかできないのですが、許してください。
あと医学的に正しくないことを書いていたら叱ってあげてください。

①1型糖尿病とは?
糖尿病というポップな名称と患者数の多さからわりと身近に感じている方も多いこの病気には大きく分けて2種類あります。
それが1型と2型で、世間一般に患者数が多いのが2型です。
昔は贅沢病などと呼ばれ、割と今も食いすぎ飲みすぎで自己管理できてないヤツがなる病気でしょ?と思ってる方も多いかもしれません。
さらには少し前に「2型の糖尿病患者に医療費なんて使う必要なし!」と発言して炎上した人がいたりして「むっちゃ言われるやん……」と1型ながら思ったりしてました。

2型というのは要するに食べたり飲んだりして分解された糖分が体で吸収できるキャパを超えちゃって血液、最終的には尿にまで溢れてしまう感じです。

対して1型はというと。
食べた糖分を体に吸収してくれるのがインスリンくんという人なのですが、彼が体から全滅してしまうという病気です。
もっと正確に言えば、インスリンくんを出してくれる細胞が死んでしまう病気なのです。
なので結果的には2型同様に摂取した糖分を処理できなくなって血液などにドバーッと溢れてしまうのです。

簡単に言うと2型は「過労でインスリンくんがダウンしてしまった」状態で、1型は「通り魔がインスリンくんを皆殺しにしてしまった」状態といった感じでしょうか。
実際2型の方の場合、治療やインスリン注射によってまた体内の細胞が少しずつ元気を取り戻してインスリンくんが復帰してくれるケースもあるそうです。

1型の場合、現在の医学ではインスリンくんが息を吹き返すということは恐らくありません。
私の場合はお医者さんに「今はまだ少しだけインスリンが出てるけどもうすぐ完全に出なくなっちゃう」と言われました。
次々と殺されていく自分のインスリンくん、と言うかそれを生み出してくれる細胞をただ見守ることしかできませんでした。

②1型糖尿病になった理由
じゃあ私の可愛い可愛い大事なインスリンくん製造細胞を殺した通り魔とは一体誰なのか?そしてその犯行理由は?
そのミステリを紐解いていき、犯人を追い詰めカッ!とライトで照らしてそこに浮かんだ殺人犯は、私だったのです。

私の場合、1型糖尿病を発症した理由は「風邪を引いたから」でした。
もっと明確に言うと「風邪とかインフルエンザとかで私の体に出来た抗体くんがめっちゃ張り切って風邪のウイルスのみならず私の大切な細胞ごと全殺しした」んじゃないかな?というお医者さんの推理でした。

なんと要らぬおせっかい野郎!と怒鳴りつけてやろうと抗体くんを見ると彼はむしろ少し誇らしげな顔で「お、おで、来る敵、倒した……!」と哀しき怪物然とした笑みでこちらを見ているので叱る気にもなれず、私は受け入れることにしました。
この1型糖尿病という病気と生きていくことを。
「まぁなってしまったもんはしょうがない」とその時は思っていました。
もしかしたらその時は「そんなんどうしようもないし可哀想じゃん俺!」という悲劇に対して謎に酔っていた可能性もあるかもしれません。

ただ、私は1型糖尿病にかかり、それと生きていくことしか選択肢がなくなりました。
その本当の現実と向き合うのはもう少し先になります。

〜続きます〜

地方都市に住むにんげんです。 なにか思ったことなど、カタカタ書いておきます。