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叔父と会って気付いた『会話のコツ』

春休み、娘を連れて実家に遊びに行くと、叔父が訪ねて来た。

80代後半の叔父は畑で色々な野菜を育てていて、いつも実家の両親に持って来てくれる。叔父の作る野菜はとても美味しく、たまたま居合わせてラッキーだった。その日はアスパラ、わけぎ、青ねぎ、サツマイモをいただいた。

叔父「いや〜、肥料を運ぶのがえらく(たいへんに)なってきたもんだから、もうやめようと思うんだけどね、先生(おそらくかかりつけ医のこと)とこ行くと、8人も(看護師さんや受付の方が)いるでしょ。みんな楽しみにしてくれてるもんで、やめられないんだよ。なもんだから・・・」(カッコ内は私の補足です)

私「喜ばれると嬉しいですもんね。」

叔父「そうそう。やっぱりね、嬉しいもんだよ。それでね、やめられなくてね。いつも何でも最低8個は持っていかないとと思うと、たくさん植えちゃって。」

私「喧嘩になりますもんね。足りないと。」

叔父「そう、喧嘩になっちゃうんだよ。だからちゃんと8人分足りるように数えて持って行くんだよ。そしたら『わ〜、みんなの分ちょうどあるわ〜』ってビックリされるんだけど、当たり前だよ、ちゃんと数えて持って行ってるんだから。」

私「ちゃんと数合わせてるんですね。」

叔父「そうだよ〜。数合わせてるんだよ。」

いつも畑とかかりつけ医の往復の生活のようで、日頃会わない私と話をするのがとても楽しそうだった。

叔父とのコミュニケーションの難しさ

それにしても。「叔父」とのコミュニケーションは、たいてい、難しい。年に1回会うか会わないかの叔父。私の大好きなミルクボーイもネタの中で「おじと会話が弾んだことがない。」と言っている。ほんま、それ。

野菜を育てている叔父はとても良い人で、嫌いなわけではない。ただ、ミルクボーイ内海さんが言うように「叔父と5分以上いると気まずくなる」のは、その「人」ではなく、その人との「距離感」に原因があるのだと思う。

普段あまり接する機会がない人。自分とは生活様式が近いようで異なる人。お互いのバックグラウンドを知っている人。自分の小さい時の恥ずかしいエピソードもいっぱい知っている人。共通の知人(叔母、いとこ)が多い人。でも会話の共通項が少ない人。

叔父とのコミュニケーションでは、親近感と緊張感と違和感が常にせめぎ合っている。ミルクボーイのこのネタに誰もが「そうそう!」となるのは、ほとんどの人がそのせめぎ合いを体験したことがあるからかもしれない。

それでも、その「叔父」と5分以上、お茶をいただきながら色々会話が続いた。叔父は帰り際には「もう帰らなきゃ。長いことお邪魔しちゃって。」と言いつつも、何度も次の話題を始め、車に乗ってドアを閉めてからわざわざ窓を開けてまで話し続けていた。

叔父が機嫌良く話してくれて良かったと思った。と同時に、いつの間に私にそんなコミュニケーションスキルが身についていたんだろうと、自分で驚いた。特に何を学んだわけでもないけれど、叔父との会話がうまく続いたのにはいくつかのコツを知らないうちに手に入れたからだと思う。

叔父との会話のコツ その1 言い換え

叔父が話しているなかで、叔父が言ったことを違う言葉に言い換えて返してみる。すると叔父は「分かってくれてるな。」と安心して、さらに話を進める。

おうむ返しでも良いとは思う。でも同じ意味だけど違う言葉で返すほうが有効かも。「聞いてくれてるな。」「分かってくれてるな。」と、相手が確認できるようにするのが何より大事なのでは。相槌やうなずき、「へ〜」と合いの手を入れるのもいい。

叔父との会話のコツ その2 相手の言いたい言葉を足す

叔父も後期高齢者で、たまに言葉に詰まる。そういう時に、「きっとこういうことを言いたいのかな」と補足するように、次に言いたそうな言葉を足して会話をつなげる。すると「そうそう、そうなんだよ〜。それでね。。。」と会話が続く。

私が足した言葉をきっかけに、叔父は「そうそう!それが言いたかったんだよ!」と言わんばかりに、続きを話しはじめる。あまりやり過ぎると嫌味になるかもしれないけれど、相手が言いたいことを汲み取って、適度に「〜ですか?」「〜ですよね」と足してあげると、スムーズに会話が進む。

コミュニケーション下手な私でも

私は「伝わるコミュニケーション」についてとても関心があるが、決して「会話上手」や「コミュ力(コミュりょく)おばけ」ではない。そんな私でもたまに「会話が続いたな」「相手が喜んでいたな」と思えるときがある。そんな時の会話を振り返ると、「言い換え」や「言い足し」が少しうまく作用していたように思う。

コーチングやカウンセリングの類の勉強はしたことはないけれど、身近にその分野のことを学んだ人が大勢いる。その人たちとのコミュニケーションを通して、気持ち良い会話の進め方が自然とできるようになったのかも。

もしくは、単に「年の功」で、色々な場面や人付き合いを通じてできるようになったのかもしれない。叔父と会った日、中学1年の娘は挨拶しか出来なかった。一方実家の母は「いつもは1、2時間くらい喋っていくんだけどね。」と。これはもう経験値の為せる技なのか。

会話が続かない、話が弾まない、という場面はたまにある。小さい子どもや、普段あまり接することがない人との会話などは特にそう。そういう時は叔父との会話で気付いたコツを自然に繰り出して、楽しい時間にできたらとこころがけよう。

帰って茹でて食べたアスパラは、とっても甘くて美味しかった。ミルクボーイさんの「アスパラ」のネタも、大好きです。


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