虚誕解脱 Part4(ニルヴァーナイニシアチブ Loop4)
この解説は、以下のAIソムニウムファイルシリーズのネタバレを含みます。
解説をご覧になる前にご自身でプレイすることをおすすめします。
AI:ソムニウムファイル
AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ
[追記]この記事は、マガジンの構成の都合上、Part3として公開したものをPart4に移したものになります。
設計者
今回はニルヴァーナイニシアチブの設計者について考えます。
シミュレーションの設計者を物語世界に求める場合、物語の設定上限定することが出来ます。
AIシリーズは、伊達・龍木・みずきといった当事者の視点で物語が展開します。
これは、それぞれの当事者の人格をシミュレーションしていると捉えられます。
ソムニウムの仕組みをAI1のピュータが説明しています。
その中で、自我アルゴリズムはウジャトシステムによって利用出来るものの、人類には理解不能であると明言されています。
ここから、シミュレーションの設計者を以下の3通り考えることが出来ます。
ウジャトシステムのAI(AI説)
ウジャトシステムを操作する権限を持つ人類(人類説)
人類を超越する科学技術を持った存在(超越者説)
シミュレーション仮説の性質上、いずれの可能性も否定出来ません。
そのため、この解説では全てのパターンを模索します。
AI説
ニルヴァーナイニシアチブの根幹をなすニルヴァーナ構想。
これはテアラァこと染月閏が立案したものでした。
Part1で、ニルヴァーナ構想を2つの段階に分けました。
そのうちの第2段階は、フレイヤーによる解脱――しかし、よくよく考えるとこれは奇妙です。
フレイヤーは、いわばシミュレーション外の存在であり、シミュレーション内の人物に過ぎない閏(あるいは時雨と考えても構いません)が認識出来るはずがありません。
それなのに、どうしてフレイヤーを熟知したような計画を立てることが出来たのでしょうか。
ニルヴァーナイニシアチブでは、ゲームの開始時点からフレイヤーを認識していた存在がいます。
Part3のラーとウジャト――彼らを併せてホルスと呼ぶこととしましょう。
ホルスであれば、それを導くことが可能なはずです。
閏がニルヴァーナ構想を立案したのは、NAIXの教義が根幹に存在します。
そもそも、ニルヴァーナ構想という言葉自体、NAIXの教典に書かれていたものであることが時雨のソムニウムで分かります。
その教義が、ホルスによって作られたものだとすれば、閏の計画をコントロールすることが出来ます。
根拠は、2つ存在します。
1つ目は、%教団の神託です。
%教団は、%の痣のある人物を創造主とする教えがありました。
これは、閏と迅の半身移植に繋がり、HB事件のトリックにおいても重要になっています。
この神託の声が、ラーと同じになっているのです。
%教団はNAIXの分派組織ですから、NAIXの教義にもラーが同様に関わっていると考えられます。
(直接NAIX関係の情報をホルスが読み上げる箇所を探しましたが見当たりませんでした。精査したわけではないので見逃しているかもしれません)
(7月16日追記)ホルスが%教団の教典を読み上げている箇所を発見しました。
ラーだけでなく両方とも教義に関わっている可能性があります。
2つ目は、AI1のイリスの証言です。
イリスは、NAIXがウジャトシステムの統制下にある組織であると主張していました。
NAIXの教義がホルスによってもたらされたとすれば、この時の主張が的を射ていたことになります。
イリスの証言は結果的に全くその時の状況にそぐわないデタラメと言っていいものでした。
しかし、もしかしたら、その主張にはAI2世界の知覚――直感が混ざっていたのかもしれません。
一方、問題点もあります。
この説の場合、ホルスはウジャトシステムの中枢をなすAIだと思われます。
だとすれば、AIとしてアイボゥと同等の制限が課されます。
AI1のアイボゥは、AIは嘘を付かず、ロボット工学3原則が適用されると証言しています。
NAIXの教義は、前述した通りホルスの言葉だと考えられます。
その内容では、設計者の想定を越えるバグが発生した時に解脱することが出来ると説明されていました。
一方、ホルスはフレイヤ―のシミュレーションへの介入は想定可能です。
それにも関わらず、時雨の解脱はフレイヤ―の介入によって発生しました。
ホルスが設計者であるなら、解脱の仕組みで嘘をついたことになり、AIの制限に反します。
また、NAIXの教義によれば、世界はシミュレーションです。
これがホルスの考える真実だとすれば、仮に物語世界がシミュレーションだったとしても現実世界と同等であり、ロボット工学3原則が適用されるはずです。
ニルヴァーナ構想はHB連続殺人事件で5人の命を奪い、世界の危機をもたらします。
首謀者ではないとはいえ、NAIXの教義によってニルヴァーナ構想を誘導することはロボット工学3原則の第1条に反します。
人類説
テアラァは、自分のことをダリア・ボート(DAHLIA・BOAT)と名乗ります。
これはヤルダバオート(IALDABAOTH)のアナグラムだと言われています。
ヤルダバオートをNAIXの教義に照らし合わせるなら、シミュレーションの造物主――設計者と言えます。
つまり、テアラァは設計者を自称しています。
テアラァはAI2の過去時間で龍木と接触してタマを一時的に手中に収めています。
この時にタマを通じてウジャトシステムの中枢にアクセスしていたとすれば、シミュレーションを実行可能です。
テアラァこと閏は、様々な学問に精通している設定です。
そのため、ウジャトシステムを利用することさえ出来れば、シミュレーションを実行する能力があると思われます。
この場合、ニルヴァーナ構想を確実に成功させるために入れ子のAI2世界を再帰的にシミュレーションしたと考えられます。
また、ホルスが設計者として介入可能であることから、外側にはホルスのシミュレーション世界が存在する可能性があります。
この説の問題点は、テアラァがウジャトシステムに接触出来るのが過去時間のことであり、未来時間には死亡していることです。
シミュレーションを実行したのも過去時間に限定されるので、未来時間は予知夢のようなものということになります。
超越者説
これまでホルスーー男性と女性の謎の声をそれぞれラーとウジャトと呼んできました。
この内、物語に積極的に介入しているのはラーです。
一方、ウジャトはフレイヤーに対して真実を語るのみであり、他の登場人物に全く影響を与えていません。
この点から、ラーとウジャトは上位存在という点で共通しているものの、別種の存在の可能性があります。
(7月16日追記)AI説の追記にもあるように、ウジャトも%教団の教典に関わっている可能性があります。
そのため、ウジャトが他の登場人物に影響を与えていないとは言えません。
全体的に修正を行うことも考えましたが、ラーとウジャトが別種の存在である可能性は否定されていないため、追記のみに留めます。
AI説の問題は、ホルスが両方ともAIであると考えたのが原因でした。
しかし、世界に積極的に介入するラーがフレイヤ―に準じる存在ならこの問題を回避出来ます。
大まかな流れは以下の通りです。
シミュレーションはウジャトシステムを介して実行されます。
この時にAIであるウジャトは傍観したままです。
代わりにラーがシミュレーションの設計者として世界を編集します。
その中には、NAIXと%教団の操作が含まれます。
(また、リバティ島の消滅などのマンデラエフェクトが発生します)
より厳密な場面には登場人物に憑依して誘導します。
ママに憑依していたのは前述した通りです。
加えてテアラァがヤルダバオートを名乗ったのも、ラーが憑依していたからかもしれません。
この説では、ラーが設計者となるのでロボット工学3原則などのAIの制限を気にする必要がありません。
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