Video Assistant Referee

先日の浦和レッズvs湘南ベルマーレの試合において、杉岡の放ったシュートがゴールインしたのに「ゴールインとして得点を認められなかった」(いわゆる誤審)問題がトリガーを引いたのか、村井満チェアマンがどうもこのようなことを言い出したようだ。

ところで、先のW杯ロシア大会から登場し、実際に活用もされた新システム「VAR」とは何なのか。

これ、以下のようなものと理解した。

1:普通に試合会場にいる最低4人からなる審判団(主審1名、副審2名、プラス第4審)の目が届きにくい(死角に入っていた、選手が夥しく重なるなどで見えにくかった、など)状況を補助する
2:あるいは見えていて、実際に見ていた判定であっても、疑わしいと思われるものを再確認する意味合いもある
3:何よりこのシステムは「誤審を防止、または排除するための」システムではなく、より正確で合理的な判定を下す一助となるべきシステム

というような位置づけで運用されているものではないだろうか。従って、例えばテニスで見られるような「チャレンジ」制度があるわけではないのは、そういう観点からするとわかりやすそうだ。あくまでも最終的に尊重されるのは審判団の判定であり、その包括的な責任は主審にある。VARも広義では「審判団の一部」と捉えられるべきではなかろうか。

ただ、審判団のお目付役としてアセッサーが存在し、彼らは審判団の評価に当たる。そういうシステムだと考えられよう。

VARというのはあくまでも既存の審判団を補助するためのシステムであって、それ自体で例えば審判団の誤審(とされるもの)が減少するわけではないように思う。
あと、VARも人が見るシステムであることを忘れてはいけない。別にAIが補助審判をするわけではない。VAR担当審判員というのは別個にいるのだから、これらも人の仕事なのだ。自分はそういう風に理解している。

恐らく、VARが実際に導入されたとしても、それでも(そのシステムを通じて下されたものであったとしても)判定に納得しない、あるいは気に入らないなどの理由で声高に文句を言い出す人は出てくるだろうと思う。何故なら人は判定の正邪そのものより、それを含めて生じた結果の根拠として判定を引用したいだけだから、と思われる。

その場の判定云々よりは、むしろ試合の結果が生じた原因として判定を根拠にしたい、という理解をした方がより現実的と言えるだろう。そのうち、もっと技術的な進歩が進んだら、人の目を介した審判員がいなくなるような気がする。AIが人間に取って代わる日も、決して遠い未来の話ではなかもしれない。
けれど、それでも人は判定にやはり異議申し立てをしてしまうのだろう。結局、人は自分たちに都合のいい判定を求めているから、という言い方ができるのかもしれない。

別に審判団のやることなすことに全て賛同しろと言っているわけではない。審判団も人間である以上、明らかに間違うこともある。ただ、彼らも別に間違えたくて間違えるわけではない。100点満点の結果を出すために、120点取るぐらいのつもりで準備をしているのだが、それでもミスをすることはあるし、そのミスが別の新たなミスを呼んでしまうこともある、というだけのことだ。審判団がミスをしたら世紀の犯罪を犯してしまった極悪人みたいな吊し上げをするのではなく、そのミスは何故生じたのか、原因を洗い出し、必要なら改善策を積極的に提案する、ぐらいのことがあっても良いのではないか。

この前の浦和-湘南戦の一件でも、両チームの当事者ではない別のチームの現役選手が多くツイートしていたが、彼らのツイートの多くを見ていると、我々素人のファンがピーチクパーチク言うのとあまり変わらないような気がしてしまった。もう少し、建設的なツイートを見たかったような気がする。

審判団も人間である以上、ゼロリスクではあり得ない。そこをもう少しだけ汲み取ってはあげられないだろうか。審判団を理解するというのは、たぶんそういうことから始まるような気がする。

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