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モチベーションを「あげる」のは学生までにしておこう

先日(といってもすでに数か月前ですが)、とある日本の大学の学生さん向けにキャリアのお話をするという機会を頂きました。

女性でMBAいって外資を経て海外で起業していて子持ち、という属性は(私の界隈では全く珍しくないけど)日本の地方の大学生さんには珍しいかもと思い、特に女子学生さんに「こういうキャリアもアリ」というパターンの一つを提示するつもりでお話しました。

私の話のメインテーマは

「今すぐ『本当にやりたいこと』が見つからなくても全然オッケー。もしくは、やりたいことに今すぐ取り組むことが(何らかの理由で)できていなくても大丈夫。目の前のことに一生懸命取り組んでるうちに、それぞれのタイミングでやりたいことは見えてくるし、やれるタイミングもやってきます。」

でした。

その後の質疑応答で、100人くらい質問をZoomで送ってくれたのに、その中で答えられた質問はほんとに2つか3つだったので、セッション後にモデレーターの教授の方にお願いして、全質問リストを送ってもらいました。

それにすべて答えていたのですが、その中で一番多かった質問は「モチベーションをどうやってあげたor保ったのですか」という質問。

モチベーションと言う言葉を実は久々に聞いた&使ったので、こんなにたくさんモチベーションに関する質問を受けて、実は少しびっくりしました。

そもそもモチベーションってなんだっけ?

モチベーションは、英語のmotivationから来てるわけですから、本来は「何かを達成するための動機」つまり「なぜそれをやるのか?」という理由が「motivation」なはずです。

例えば、

Curiosity is the strong motivation for me to travel(好奇心が、私の旅のモチベーションです)

みたいな。

つまり、「好奇心」(理由=モチベーション)→「旅」(行動)という順番。

好奇心はすでにそこにあって、その結果として「旅」という行動が発生してる、という形です。

私の例だと、「今いる場所とは違う人に会ってみたい&違う環境で自分を試してみたい」という気持ちが私の「動機=モチベーション」であり、その結果が「英語を習得する」「MBAに行く」「起業する」という「行動」につながっている。

つまり、モチベーションって上げたり保ったりするものではなく、「すでにそこにあって」、自分の行動の原動力になっているもの

なはずなんですが、上記の学生さんの質問の文脈だと、「モチベーション」って、「大変なことを継続して実行するやる気」というような意味で使われているような気がします。この意味で使うのは日本独特でしょう。

とはいえ、学生さんたちが「モチベーション(ここでは「やる気」)をあげる」必要性を重視するのもわかるわけです。なぜなら、学校というところは、高校までであれ、大学であれ、ほとんどの人にとって宿題や課題、テストという「やりたい云々は関係なくやらねばならない」ものが「自分の意思とは関係なく与えられる」場所なので、「やりたくなくてもやらなくてはいけないものをこなす」必要があります。

つまり、「自分の中に『やりたい』と思う動機(=モチベーション)を持ちにくい」環境なわけです。だからこそ私の話を聞いた時に、「留学とか転職とか大変なことをやるには『モチベーション(=やる気)』を上げる&保つ秘策があったにちがいない」という発想になるんではないでしょうか。

モチベーションを「あげる」のは学生までにしておこう

社会人になってももちろん「やりたくないことをやらなくてはいけない」場面はたくさんありますが、キャリアをつんでくると、だんだんと「自分の中の内なる動機(モチベーション)に沿った仕事や活動」を選んでいくことができるようになります(もしくは、そうなるための努力をお勧めします)。

そのためには、「自分の内なる原動力(=モチベーション)がなんなのか」を見極めなくてはいけないし、一足飛びに「モチベーションにドンピシャな仕事や活動」ができる訳ではないので少しずつ寄せていく辛抱強さも必要になりますが、少なくとも「自らやりたいと思っていることに近づいている」というシチュエーションでは「どうやったらモチベーション(ここでは「やる気」の意)をあげられるか」という問いはそもそも必要なくなってきます。

学生のうちは多少仕方ないとしても、その後数十年もつづくキャリア人生、ぜひとも「自分の中の内なる動機(モチベーション)に沿った仕事や活動」に寄せて行って、「やる気(モチベーション)をどうやって上げたらいいのか…」という問い自体が必要なくなることを祈っています。

目標達成に「モチベーションを上げたり保ったり」する必要はない。必要なのは「正しい習慣」

学生さんたちの「どうやってモチベーションを上げたのかor保ったのか」という質問は、「どうやって目標達成のやる気を保ったのか」という意味だったと解釈すると、私の質問の答えはこうなります。

「目標達成に『やる気』は関係ない。必要なのは『正しい習慣』を身に着けるための努力だけ。」

例えば「ダイエット」。多くの人が「モチベーション(ここでは「やる気」)を保てず失敗」することの代表例ですよね。

しかし、ダイエットに実はやる気は関係ありません。むしろ「やる気」なんかなくても続くような「小さな習慣」を積み上げることが成功の近道です。

あなたがするべき努力は「モチベーション(やる気)をあげること」でも、「モチベーションが上がらない自分に自己嫌悪になる」でもなく「目標達成のための『小さな行動』をどうすれば『習慣』として毎日継続できるか」ということを試行錯誤することです。(この辺は、「習慣化」の過去noteに詳しく書きました)

ここではダイエットを例にしましたが、他の目標でもおんなじです。語学習得や留学や転職、起業など、派手に聞こえる「成果」も、蓋を開けてみれば淡々とした地味~な「小さな行動」の積み重ねです。

前途洋々な学生の皆さんには、ぜひともモチベーション(「やる気」)の上下に気をとられすぎることなく、習慣化を味方につけて、目標を達成しながら、自分の内なる原動力に沿ったキャリアを築いていってくれることを祈っています。

おわり

私なんぞの体験でも何かのお役に立てればと思って書いていますが、サポート頂くと続きを書く励みになります。