見出し画像

問題解決あるあるコラム#22:言わなくてもわかるでしょ

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第22回のテーマは、「言わなくても分かるでしょ」です。お馴染みのフレーズですね。相手に何かを期待する時、もしくは期待していた通りの行動をしてもらえなかった時に、つい口から出てしまう言葉です。独り言の時もありますが、おおむねその相手に直接発言し、行動の「是正」を要求する意図があります。言われた方は「自分が否定された」ように感じ、かなり傷つきますよね。なんでこんなことを言ってしまうのでしょうか? 


人は他人にはデマンディング

これは、我々人間が自分以外の他人を自分が思ったように行動して欲しい、させたい、という強烈なニーズを持っているからです。「支配欲」とでもいうのでしょうか? 「あなたはこうするべきだ」と行動を決めつけます。そう、これまで何度も出てきましたが、人は他人の「行動」を支配しようとしてしまうのです。なので、自分が「して欲しい」と思った行動を取った結果であれば、失敗したとしても「仕方ない」と許容します。逆に、いくら成功しても自分が思っていたのと違う行動を取った結果だと「なにやってんだ」と怒ります。いったいぜんたい、何なのでしょう? 

カイゼンが行動規制に落ちていってしまう理由

このように、人間は他人の行動に固執し、行動を規制し従わせようとします。問題解決の場で、対策が「ルールや教育」に落ちていってしまうのも、この人間が元々持っている特性がそうさせているのだと考えられます。そして、さらに悪いことに人間は他人に理解を求めます。もっというと理解を「強要」します。たいした説明もせずに、自分の頭の中に描かれた理想の行動を「理解して実践しろ」というのです。その意思の表れが「言わなくても分かるでしょ」なのです。

言わなければ分かる訳がない

会社でも、学校でも、家族でも、この「言わなくても分かるでしょ」が頻繁に使われます。言われた方は分かる訳がありません。でも、「分かりません」と答えると「なんで分からないんだ」と問い詰められたり、「だからお前はダメなんだ」とかのお説教が始まり貴重な自分の時間が奪われます。そこで、リスク回避策として「分かってるよ」と返します。分かってないけど、「今」この場から逃れるにはそう答えるのが最善の策だからです。でも、これは本当の解決ではありません。どんな人間だって言われなければ分かる訳がありません。言われなくても分かったらそれはエスパー(死語?)です。

言わない上に「考えろ」と言う

そうして、お互いの共通理解は形成されないままコミュニケーションは終了し、伝え手の望む「行動」は実現されることはありません。そうすると、「なんで言った通りにやらないんだ」となります。言っていないのに。そうしてついに、そう言われた方もいい加減に反論します、「言われなきゃ分からない」と。正論ですね。すると今度は、「分からないなら考えろ」と被せてきます。あくまでも、自ら説明することを拒絶し、相手に理解を強要します。こうなるともうどっちも折れないので、良好な人間関係は築けなくなる可能性が高いです。まあ、これも日本の「相手を察する」文化のなす業なのでしょうか。昔なら、指導する側が指導される側を育てるための方策として許容されていたコミュニケーション手段ですが、今ならパワハラですね。

言わなくてもわかる条件

とはいえ、この「言わなくても分かる」状態が作り出せる条件があります。それは、「共通理解」が形成されている状態です。お互いがくり返し同じ行動を共有し、相手が「こういう時にはこういう行動を取って欲しい」と思っていることが理解されている場合ですね。くり返し練習したり、初めてでも所作がルール化されていて広く認知されている、などの場合であれば、相手は多少イレギュラーな事態があってもその先を予測して相手の求める行動を取ることが可能となるので、「言わなくても分かるでしょ」といえるかもしれません。そのためには相互理解が大切ですね。ここを端折って、いきなり伝え手だけが理解していることを押し付けても相手は分かるはずがありません。

組織で「言わなくてもわかるでしょ」を生み出すには

では、大勢の人々が集まって行動する組織で、この「言わなくても分かるでしょ」を生み出すにはどうしたらいいのでしょう? もう、お分かりですね。そう、「標準化」です。組織のルールを作り、それらを理解し実践する。単純なことなんです。ただし、人間は他人に行動を規制されるのを嫌うので、なかなか従ってくれません。そのためには、根気よく、くり返し、頭と身体で理解して貰わないとなりません。昨今は、ここの地道なプロセスをスキップし、いきなり「言わなくても分かるだろ」と言ってしまう傾向が強くなっているのかもしれません。そりゃ、無理なお話ですよね。

まとめ

いかがだったでしょうか? 色々言いたいことはあると思いますが、まずは、相手に理解を求める前に、自らやりたいことを「説明」してみるところから始めるのがいいかもしれません。もはや相手に「察してもらう」という相手依存のコミュニケーションは現代では通用しなくなっています。というか、皆さん普段からご自身の「説明責任」ちゃんと果たしてますか? 「言わない」と「伝わりません」よ。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「タイパは正義なのか?」です。
次回もお楽しみに! 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?