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問題解決あるあるコラム#2:「説明責任果たしてる?」

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

前回から突然始まった問題解決あるあるコラム第2回です。今回は「説明責任」について考えてみたいと思います。聞いただけでドキッとする言葉ですね。このドキッが我々を説明責任から逃げ出したいという気持ちにさせてしまいます。最初から言葉の響きに負けてしまっているのですね。でも、この言葉の意味をよ~く考えてみると、意外と心強い味方になってくれるかもしれません。では、一緒に考えていきましょう。


説明責任ってなに?

説明責任という言葉を現場でもよく耳にします。英語で言うとAccountabilityですね。一体説明責任って何なのでしょう?僕が主に担当しているQMSの世界では、実行責任と管理責任という言葉がよく登場します。特に最近は世の中で何か問題が発生すると責任責任という言葉が飛び交い、人を追求する様な風潮になったせいか、元々あった「責任」という言葉の重さ以上に過剰な負荷が追加され、誰もが無意識の内にこの「責任」から逃れようとしている様に感じます。

実行責任と管理責任は、その職責を持った人に生じる個別の「責任」ですが、今回のテーマの「説明責任」は、特定の誰かにだけ生じるものではなく、我々全員に生じる「責任」です。自分がした事(多くの場合しでかした事)に対して関係者に背景・経緯を説明し、納得して貰う。これが出来て初めて「説明責任を全うした」事になる訳です。ここでポイントになるのは「納得」です。ここで言う「納得」とは100%回答でなくても良い訳です。50%でも70%でもその理由を説明し、相手が「納得」すればそれで説明責任を果たした事になります。

説明責任は荷が重すぎる

ところが、昨今の風潮だと100%回答でないと許さない、という空気が醸成され、説明する側は非常に厳しい状況に追い込まれてしまっています。しかも相手は不特定多数。これらの人々全員の「納得」を得ることなど不可能なのです。なので、結局なにをやっても必ず叩かれ、辛い思いをする事になります。これでは堪らないので、自分自身から少しでも、出来れば全ての「責任」を排除し、自らの安心安全を確保したい、と思う気持ちは大いに理解出来ます。僕だって同じです。

そして、その責任の排除方法の最たるものが「他責」です。自分への攻撃を無くす戦略ではなく、逸らす戦略を取るのです。人間は誰しも隙を持っているので、それが一番簡単かつ確実だからです。「他責」の対象は人の場合もありますし、環境の場合もあります。上司がそう言った、お客さんがそう言った、使った機械が壊れた、等が定番ですね。色々話を聞いていくと最後は「世の中が悪い」に辿りつきます(笑)。

人のせいにしたく無い、という高潔な人は自分のせいにしますが、「知らなかった」「気がつかなかった」「これでいいと思っていた」「自分の力量が足りなかった」等など、要は「だってしょうがないじゃん」と正当化します。

こうした戦略は、自分では上手く行くと思っているのですが、他人から見たら見え見えで、それこそ責任回避も甚だしくその人自身の信用も信頼も同時に落としてしまう事になり、何一ついいことは無いのですが、多くの人が同じ様な行動に出ます。過去に他の人が失敗しているのを何度も見ているのに、です。

説明に足りないもの

この様なやり取りは、監査の場や監査で指摘を受けて是正をする時にも良く見受けれらます。謝罪会見などでもお馴染みですね。これらの場で語られている事に圧倒的に欠けている事があります。それは、「元々どうするつもりだったのか」です。これがないので、どんな言葉を紡いでも後付けの言い訳にしか聞こえないんですよね。「元々こうするつもりだったが、今回こうなってしまったので、次回からは今回と同じ失敗をしない様にここをこうします。」と伝えれば、聞いている相手は、どこが是正されて次はどの様な結果が期待できるか想像できるので、納得してくれます。ところが、多くの説明では、この様な説明にはならず、上にあげた様な言い訳が繰り返されます。なぜなら「元々こうするつもり」がないので、説明のしようがないんです。そりゃ、こうなりますよね。

つまり、最初の「こうするつもり」=計画がないのです。みんな成り行きで事を始めて、何かあったら修正して前に進めればいいと思っているのです。わざわざ計画立てるなんてタイパもコスパも悪い、と見切り発車なんです。前もこの方法でなんとかなった、という悪しきレッスンズラーンドが、次もなんとかなる、というリスクの過小評価と楽観思考を呼び、その結果、事が起きたら大炎上、という負のスパイラルに陥っているのです。

説明責任を果たす為に必要なこと

こう考えてくると、責任を果たすとは、最初に計画を作り、計画通りに実行し、進捗を確認し、必要があれば修正する。というお馴染みPDCAを確実に行う、という事に帰結します。計画に必要なリソース(4M)と環境をしっかりと整え、定期的な監視で問題の芽を少しでも早く摘む、そんな取り組みが説明責任を果たす事につながります。そうすれば、結果的に実行責任も管理責任も果たせる事になります。つまり、説明責任を果たす事がそれらに関わる全ての責任を果たす事になるのです。

説明責任からは誰も逃れられません。誰もが取り組まなくてはならない責任です。なにも会社を代表して謝罪をする事だけが説明責任ではないのです。どんな立場でも、自身のやっている事を第三者にしっかりと伝え納得してもらう、それが説明責任です。

準備をしよう

みなさんは、説明責任を果たせる準備が出来ていますか?説明責任を果たせる様になるには準備も練習も必要です。最も効果的な練習は、社内の内部監査を活用する事です。あれこれ細かい事を聞かれてうるさいし面倒臭い、と思っている方も多いと思いますが、監査員の質問にしっかりと答えられるだけの管理と準備が出来ていれば、いつでも説明責任が果たせ、説明が出来る状態にある仕事はスムーズに回っているはずです。今、ご自身の仕事やチームの運営で悩んでいる・困っている方は、今からでも遅くないので説明責任が果たせる様に準備を始めてみてはいかがですか?きっと、その悩み・困りごとが驚くくらいに解消されていくはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?少しは「責任」という言葉に対する恐怖感が和らぎましたでしょうか?何事も、言葉の響きに臆する前に、じっくりその意味を考えてみると意外とやる事=解決策が思い浮かぶものです。見えない敵が具体的なアクションに変われば、恐れず取り組む事ができます。そんな風に心の動きを自身で変えて行けばいいのです。

今回はここまでです。最後までお読み頂きありがとうございました。
それでは、また次回をおたのしみに!


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