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暗闇に灯りを照らす言葉掛け 〜医療・教育に携わる人達へ〜

「ご主人は〇〇が大変だと思います」
「お子さんは〇〇が大変だと思います」
「ご主人は〇〇が難しいですね」
「お子さんは〇〇が難しいですね」

患者の家族になって、病院の人に、このような話をされることが何回もあった。

そして、教員も保護者さんに、このような話し方をすることはないだろうか?

「〇〇が大変」「〇〇が難しい」
それだけの説明を聞いて、説明された側にどれだけメリットがあるだろうか。

確かに【課題をより明確に掴む】ことはできるけれど、そこから家族がモチベーションを上げるのは、実にパワーが要ること。

「〇〇が大変かもしれませんが、⬜︎⬜︎すれば改善できるかもしれません。」
「〇〇が難しいけれど…代わりに⬜︎⬜︎が上手なのでそちらでカバーしていけるといいですね。」

例を挙げると、学校なら「板書を書いて写すのは苦手だけれど、代わりに聞いて覚えたり、タブレットで写真を撮って記録していけばいいですね。」苦手をカバーするための助言ができる。

また、医療では、私自身が患者だった時、実際にポジティブな思考になる言葉を掛けてもらった経験がある。私は、24歳の時、卵巣嚢腫という病気を患い、片方の卵巣を摘出した。(卵巣は二つある)24歳の私にとっては大きなショックであったが、その時の医師は私に笑顔でこう言ってくれた。(20年以上経った今でも忘れない。カサノバ先生という外国人のドクターだった。)
「左側の卵巣を全摘出しましたが…もう片方の卵巣で、何人でも産めますからね。」

この時、もし、
「左側の卵巣を全摘出しました。もう片方の卵巣しかありません。また残された卵巣も同じ様にならないとは言えません。」と言われていたらどうだっただろうかと、今でも考えることがある。

私は「何人でも産める」という希望の言葉を抱いて暮らすことができた。その先生のポジティブさが、私の暗闇を照らしてくれた。幸運な巡り合わせだった。

だから、医療や教育の現場では、課題だけでなく、ポジティブな言葉を加えて欲しい。

所謂、
【課題を出すなら代案も出す】
【課題を出すなら長所も出す】
ということ。

課題だけ伝えるのは、ただでさえ不安や心配があるのに、さらに相手の負の感情を増幅させる。

そして、負の感情を周囲の人にも伝えることで皆で深刻ムードに陥ったり、負の感情を患者本人にぶつけてしまうかもしれない。

それでは、良くなるものも良くならない。
余計、状況が悪化するのではないだろうか。

楽観的なことばかり伝えるのはいけないけれど、前向きに明日に進めるよう、暗闇を灯りで照らすような言葉掛けをする必要があるのだ。

患者の家族や、子どもの保護者の心理的負担を増幅させるべきではない。

伝える側は身を守るために必要かもしれないが、伝えられる相手のメンタルヘルスを考える必要がある。心理的負担から「第二の患者」を生むかもしれない…患者家族にとっては、それくらい打撃が大きく、生活を左右することである。

そこまでイメージしながら、医療や教育の現場では、懇談して欲しいものである。

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