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驚きの新年の大震災に思うこと。

2024年1月1日、16時06分。
能登半島を中心とした北陸三県に最大震度7の大地震と、それに伴う津波が襲いかかりました。
わたしが体験した阪神淡路大震災と同様、大震災の爪痕はいつも心をえぐるような映像です。

知り合いに、13年前の東日本大震災と今回の能登半島震災を両方とも体験したという人がいます。
元々福島県の原発事故による帰宅困難地域に住まいしており、何とか現在の地域に移住したということでした。
東北と北陸は、何となく気候風土、人間性などが似かよっている気がしたので避難先として選ばせてもらったということです。
もちろん、石川県なら金沢に住まうという選択肢もありますが、ビルが立ち並ぶ都会の雰囲気にはどうしても馴染めそうになく、奥能登まで足をのばしたということです。
ただ今回は、福島と比べたら津波が軽傷だった分だけましだったそうです。
福島が酷すぎたとのではと思いますが。
また入居していたのが賃貸マンションで、その分気楽ではあり、ふるさとに帰って、出直そうかなという気分になっているとのことです。
同じ家族に同じ酷い体験という試練を与えるとは、神の不公平さを恨むしかありません。

阪神淡路大震災の際、放送局で編成の仕事をしており、取材対象として関東大震災と阪神淡路大震災の両方を体験したという方に出会いました。
関東大震災は1923年(大正12年)で、それから72年後のことです。
90歳を超える僧侶でしたが、当時は大変貴重なお話を伺うことができたと思っています。
震度7を上回るような超激甚震災を複数回体験された方。
当時は希少でありましたが、今では多くおられるのではないでしょうか。
阪神淡路以降、熊本や新潟、北海道など何度か激甚震災があったと記憶しています。
それだけ、災害の激甚化、高頻度化が進んでいるのではと思います。
いまや政府や自治体はその前提で対応策を考えておく必要があるのではないでしょうか。

その政府。

岸田首相は早々と作業服に着替えて、記者会見にのぞまれていました。
「早々」は着替えだけで、震災対応はいまだにパジャマ姿?
いろいろ仰り、朗々とした語り口ですが、この方の話はなんとなく心に響かないというか頭を通り過ぎて、残ることがありません。
活舌の悪い安倍総理、口下手な菅総理、よっぽど響いたような気がします。
岸田総理ご本人の責任ではないと思いますが、通り過ぎます。
「私が前面にたって」「徹底的に議論して」「適切に対応」。
何をして(できて)何をしない(できない)か、さっぱりわかりません。
自衛隊は動いているのか?
とっくの昔に、駐日米大使が「トモダチ作戦」の準備はできていると声明を
出されています。
被災者の人数が少ないなら、船で全員を安全なところまで移動させるという三宅島の噴火の時のような対応は不可能なんでしょうか。
ひょっとして、被災者の数さえわからない?
いろいろ疑問は沸きますが、聞こえるのは言い訳ばかり。
「それは早急に議論して適切に」「道路が寸断されておりナカナカ」。。。
そうこうするうちにマスコミの現場中継の映像が届きはじめます。
えっ!道路は寸断していないの?
マスコミの中継にはディレクター・記者・技術・照明などの最低限の人員が必要ですし、場合によっては中継車も入っています。
マスコミ専用の秘密の通路でもあるのですか?
それともスタートレックのテレポートでも使ったんですか?
もうわけがわかりません。

そのマスコミ。

阪神淡路大震災の際には、その報道合戦に強烈な批判を受けました。
各社先を争うように、それぞれがヘリコプターを飛ばしました。
狭い神戸の空に、何機ものヘリが頭上に舞い上がりました。
問題はその爆音と爆風。
ローターの爆音は、押しつぶされかけている被災者の悲痛で弱々しい助けを求める声を遮りました。
猛烈な爆風は火災をひろげました。
今回も、「朝市通り」の火災。
見出し画像は「朝市通り」の震災・火災後の姿です。涙がでます。
やはりヘリのレポートはありました。
さすがにドローンではと思っていいましたが、やはりヘリでした。
ただし、遠景なので少し安心しましたが、あんまり空撮する意味はなかったように思います。

阪神淡路大震災の際も必死になって被災者を救助する消防隊の姿をリポートしています。
すべての記者は、その姿を一生懸命伝えようとしています。
でも「お前は何してるの?手伝わないの?」視聴者が当然思う疑問です。
「伝えることは人命救助と同等に重要なことと考え、そちらに集中した。」
と答えた傲慢な記者に非難が集中しました。
記者は特権階級の上級国民?
今なら「SNS 大炎上」というやつでしょう。
人命救助以上あるいは同等に重要なミッションなどあるはずがありません。

今回はどうだったでしょう。
ヘリは、地面に「SОS」を訴える孤立した被災者を見つけ、レポーターは興奮の極み。業界的には大スクープのような伝え方をしていました。
でもそのあと、
・ホバーリングして住民の様子を伺ったのでしょうか。
・高齢者や弱っている人は連れ帰ったのでしょうか。
・何か要望を聞いたのでしょうか。
・折り返して必要な物資は運んだのでしょうか。
・最低限、そこに孤立している人がいることを報告したのでしょうか。
 当然スクープ報道が放送される前にです。

今回、ひとつだけ考えさせられるリポートがありました。
焼野原となった朝市通り。
女性記者が涙ぐみながら「私もこの地域にはいつも公私で訪れています。
いつも元気な、あのおばあちゃんがどうなったのか?」というリポートを
していました。
こんなに私見にまみれたリポートは聞いたことがありません。
彼女は後で叱られているでしょう。
でもなんとなく心に沁みるリポートでした。
朝市通りには自身2度ほど訪れており、涙が出る惨状でした。

報道合戦。
何とかならないのでしょうか。
NHKの代表取材で充分ではないでしょうか。
民放が争って取材しますが、放送はどの局も大差ない軽薄なワイドショー。
賑やかしの芸能人と知識人が、取ってつけたような深刻な顔つきでコメントします。情報価値「0」です。
高給を食むテレビ局アナウンサーとレポーター。
それらしいことを言いますが、発災その日から暖かいベットで熟睡している人たちです。
まったく心に響きません。
しかも取材しているのは委託の制作会社。
被災現場では迷惑極まりない人たちです。
そこに加わるのが発言の影響を考えない気象庁と、結果でしか語らない地震の専門家です。

その気象庁と専門家。

大震災で最も責められる人は誰か?
自然災害なので誰も責めることはできない?
その通りです。
でもどうしても納得できない人たちがいます。
気象庁と地震の専門家と称する人たちです。

震災が起きると、気象庁の会見があります。
・このあと、1週間程度は震度7程度の余震が発生する可能性が高いので、 
 できるかぎり気を付ける必要があります。
・少量な降雨でもこれまでの揺れで地盤が弛み、土砂崩れを起こす可能性が
 あります。
そうでしょう、正しいですね。
でもこれを聞いた被災者はどう思いますか?
「いやー。教えてもらってよかった」ですか?
「そんなことわかっとるわい!どう気をつけたらいいんや!」
どうでしょう。よけいストレスが溜まるだけでは?
ひょっとしたら、震災関連死の一因かもしれません。罪深いです。
頭のいい上級官僚さま。
被災者は弱者で気象庁の研究の協力者ではありません。

各情報(バラエティー?)番組で、アンカーパースンとして地震の専門家と称する学者先生が登場します。
ほとんどがたいそうな地震予知連絡会に名を連ねる方々です。
使用される 権威映像はたいていが前述の気象庁の記者会見。
地震の予知が難しいことは重々承知です。
ただ情報番組に登場する専門家から謝罪の言葉を聞いたことがありません。
結果論で蘊蓄を語るだけです。
まず地震のプロがすべきは謝罪でしょう。
昔、田中真紀子科学技術庁長官が、ロケットの打ち上げに失敗しながら平然としているJAXAの責任者に引責を求めました。
これが正常な姿だと思います。
わたし、おかしいですか?
地震の研究は彼らの生業で、政府から権威であるが故に委託されているのでしょう?自信なかったら受託しませんよね。
特に今回の能登半島大震災では、かなり以前から珠洲沖合で群発地震を記録していました。予知とは言いませんが、せめて警告を発することすらできなかったのでしょうか?
まず、被災者に力が及ばなかったことを詫びるべきです。
なんども言いますが、地震予知が難しいことは十分承知で、その上でです。
東京直下型地震なんかは、予算を浪費してCG映像まで作っていました。
おそらく予知は難しいのではなく、無理なんでしょう。
だったら、あきらめて予算を別の方向に向けるべきではないでしょうか。
現状では人心を惑わせ、不安を煽っているだけです。
大震災は起きる、しかも場所も時期も予測不能。
その前提で対応を考えるべきではないでしょうか。
素人のジャストアイデアですが、病院とサバイバル機能付きの大人数収容の(豪華ではありません)客船を造船し、災害に備えるとか。。。

北陸三県には何年か赴任した経験があり、地元な惨状を見るにつけ、熱くなりすぎました。ただ繰り返し大震災を見てきた年寄りとしては、どうしても書きたくなりました。
気分を害された方がおられたらお詫びいたします。

でも。
辰年元旦に起きた厄災。
年が明け、自分の干支になった瞬間に怒り狂った「龍」。
能登半島がその「龍頭」に見えるのは私だけでしょうか。


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