Kazuya Tomita

フィリピン在住28年のNGO職員です。ある時、自分が見ている景色は普通の生活では見るこ…

Kazuya Tomita

フィリピン在住28年のNGO職員です。ある時、自分が見ている景色は普通の生活では見ることが出来ない特別な景色ではないか、と気付きました。多くの支援者様からの寄付に支えられて支援活動を続けてきました。その感謝を込めて、特別な景色や出来事をより多くの人とシェアしたく書き始めました。

最近の記事

⑦"生命の味がする天然塩"って、何が生命の味なの?

この「生命の味がする天然塩」は、自然と時間、人の手が絶妙なバランスで助け合いながら生まれます。過剰な人の手や余分なモノは入らず、時間をかけて生み出す自然の恵みです。 生命の味がする天然塩はこうやって作っています。 ・満潮時に広大なマングローブの原生林を経て、海水が塩田に届きます。 ・その塩田の土は潮の干満の繰り返しで肥沃な栄養分を含む土になります。 ・その土を取り出して積み上げます。 ・その土に含まれた水分を重力だけで濾します。 ・時間をかけて滴り落ちた水を鉄鍋で5時間煮込

    • ⑥「生命の味がする天然塩を守りたい基金」を立ち上げました。まずは、この塩のことを知って欲しいのです。

      私はこの塩を守りたい。この塩を守ることは、この広大なマングローブの森を守ることであり、先祖伝来の塩作りの技術を守ることにも直結すると思っています。しかし、私一人でできることなど、たかが知れています。 だから、まずはこの塩のことを多くの人々に知って貰いたいのです。日本に居る人に、フィリピンに来ることができる人に、フィリピンに住んでいる人に、この塩のことを知って貰いたいのです。 日本に居る人は、赤髭療養所のオンライン・ライブを待って欲しいのです。この塩を治療塩として使うべく、塩

      • ⑤生命の味がする絶滅危惧の天然塩、海水を煮込む鉄鍋の購入を支援したい。

        伝統的技法で、昔ながらの道具を使って作るこの天然塩はマングローブの森を巡ってたどり着く塩田で育まれます。驚くほどゆっくり、自然に抽出される塩は、天然塩という言葉では収まらないほどの豊かな旨味を含みます。その味は生命の味、大自然の味とも言えるものです。 今現在、この塩はわずか4家族の塩作り職人たちの手作業で作られています。20年前は、50を超える家族がそれぞれの庭先で、この塩を作っていたそうです。それがなぜ今はたった4家族だけになったのか?…それは、道具の老朽化と経済的に買い

        • ④生命の味がする絶滅危惧の塩、マングローブの森が育む

          生命の味がする絶滅危惧の天然塩との出会い、その塩作りの現場が抱える問題について書き連ねてきました。この深い味わいの塩を育むマングローブの森をフィリピン研究の権威、京都大学名誉教授の清水 展 文化人類学教授と共に歩きました。 マングローブは、塩分を含む沿岸水域や、絶え間ない潮の満ち引きが起こる場所など、ほとんどの樹木が適応できないような環境下でも成育することのできる熱帯樹木です。マングローブの森は、大量の炭素を蓄えることができるため、気候変動との戦いにおいて重要な役割を果たし

        ⑦"生命の味がする天然塩"って、何が生命の味なの?

        • ⑥「生命の味がする天然塩を守りたい基金」を立ち上げました。まずは、この塩のことを知って欲しいのです。

        • ⑤生命の味がする絶滅危惧の天然塩、海水を煮込む鉄鍋の購入を支援したい。

        • ④生命の味がする絶滅危惧の塩、マングローブの森が育む

          ③生命の味がする絶滅危惧の塩、その現場にある問題

          私は、今日で3度目になるこの塩作りの現場訪問を、ゲストとして迎えてもらうつもりはなかった。近くに宿をとって塩作りの全ての行程にボランティアとして参加するつもりでやって来た。あの屈託なく笑う塩作り職人のおばさんたちが、時折見せる陰のある表情。時々、歯にものが挟まったようなぎこちない説明をすること。それらは、核心的な問題を抱えている人の反応でもある。この生命の味がする素晴らしい天然塩を、その塩を育む手つかずの自然環境を守りたい、その気持ちはきっと私も彼らと共有できるはず。 こんな

          ③生命の味がする絶滅危惧の塩、その現場にある問題

          ②生命の味、絶滅危惧の天然塩の現場へ

          先の「絶滅危惧の生命の味がする塩に出会った」からの続きになります。 この深い味がするBUY-Oと呼ばれる塩、ついに塩作りの現場に行けることになった。 この塩をお土産に持ち帰った治療家の先生が、現場見学をご希望になられたことがきっかけでした。しかも、運が良いことにこの時期はフィリピン研究の第一人者である清水教授(文化人類学:京都大学名誉教授)もご一緒して頂ける。ほとんど門外不出扱いだった塩作りの現場へ、私は通訳兼ドライバーとして同行できることになった。 塩作りの現場は、予想

          ②生命の味、絶滅危惧の天然塩の現場へ

          ①絶滅危惧の生命の味がする塩に出会った

          この塩は広大なマングローブの森を巡った海水が塩田に流れ込み、120年前と同じ道具と方法で作られている。生命のゆりかごと言われるマングローブの森は、豊富なミネラルと様々な養分を含んだ海水を育み、その海水から採れる天然塩は口に含むと爽やかな塩辛さと奥に潜む僅かな甘みに気が付く。塩自体が旨味を持ち、まさに海と森の恵みとしか表現ができない。BUY-Oと呼ばれるこの塩は、数名の塩作り職人が乾季の5か月だけ製造しているため、生産量が少なく一般的な市場に出てくることはない。 私が住むサン

          ①絶滅危惧の生命の味がする塩に出会った