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『光圀伝』のれびゅー。

近況

どうもどうも、宮崎です。
お久しぶりです。今日は珍しく短編小説じゃなくて、日々の日記がてらnoteを書いております。
最近はやることも無く、日々粛々と過ごして、暇な時間は本を読んだり、ゲームしたりしながら過ごしており、これがまぁ気楽なもんでゆったりさせてもらってます。

本は最近まで漫画くらいしかまともに読めなかったのが、ここ一ヶ月くらいで急にスラスラ小説が読めるようになったので、もう10年以上前に買っただけで満足してた、光圀伝を読もうと手を出した所、これがまぁ〜〜〜面白かった。
なので、その面白かった!という気持ちを表現したくて今回はnoteを開いております。

『光圀伝』とは?

著者は『マルドゥック・スクランブル』シリーズの原作や『蒼穹のファフナー』の脚本をしていた冲方丁さん。
『光圀伝』のまえには、『天地明察』が初の時代小説で、それを書いてますね。こちらはまだ未読。映画もあります。
宮崎は『蒼穹のファフナー』がとにかく大好きで、そのファフナー好きの延長で、「ファフナーの脚本家が書いた本なら絶対に面白い!」と悪いオタクのクセをむき出しに格好を付けるため、大昔に『光圀伝』は買ってました。読めないくせに…。
『光圀伝』は、その名の通り、皆が知ってるあの水戸黄門の生涯を描いた小説で、徳川光圀がいかに生き、そしてその生涯を閉じたか、という内容。
めちゃくちゃ面白いので、ぜひ大河ドラマにしてほしい…。

『光圀伝』

舞台は、戦国時代は終わり、世は天下泰平。
ご隠居の水戸黄門様こと光圀がかつての忠臣、藤井紋太夫を殺害する所から始まります。

その殺害の姿は喉笛に噛み付いている獰猛な虎に見えた一方で、熱く抱き締め優しく包んでいるようにも見えた。
そして、死にゆく紋太夫に光圀は
「大儀であった、紋太夫」
と囁いた。

もちろん急な事で、その場に居た側近はビビります。とはいえ、紋太夫殺害後、冷静な口ぶりから光圀は乱心の類ではない、ちゃんとして意図して殺害=誅伐したと暗に示した。

果たしてこの死の真相は?光圀は何故、藤井紋太夫を殺してこのセリフを言ったのか。
謎の多い所から光圀伝は始まり、そこから一気にまだ水戸黄門は疎か、光圀にも成ってない、子龍時代に遡り、ここから光圀の本当の生涯である本編が始まります。

登場する人たち

光圀が少年時代、不良だったのは有名な話しだけど、他にも色んな当時の不良がでます(笑)
なかでも読耕斎という坊主嫌いなのに、坊主の格好をして、見えない片目に刀の鍔を眼帯にした、かなりロックンロールな儒学者が居たり、出家した後、寺の腐敗ぶりに嫌気がさして、また武家に戻った(しかも寺で僧服を脱ぎ捨てて褌一丁で!)佐々介三郎(後の水戸黄門の助さんのモデルらしい…)や、風魔一族の末裔、博打打ちの元締め喜兵衛など、変な奴が多い!
かと思えば、後に殺される事になる忠義の限りを尽くし、最後の最後まで光圀を慕った藤井紋太夫をはじめ、亡国の賢者、朱舜水(とにかく変な格好の学者、ギャルみたいな爪してる。)や、光圀の苦しみを瞬時に理解し、その英才ぶりは他の追随を許さなかった元公家で光圀の妻になった泰姫など、とにかく登場人物のキャラが強い。
読んでて次は誰がどうなるが毎ページ毎ページ気になって、本当に読む手が止まらなかった。
中でも個人的には泰姫の侍女、左近の局は可愛いのでよくよく注目してほしいと思います(笑)

時代背景

やはりここは避けては通れないと思いますが、時代背景がとにかく壮絶。
戦国時代が終わり、天下泰平。
とはいえ、いつまた動乱が起きるか、いかにして徳川家を安定させるかが、目下の課題として常にあり、その危機感というか、自分の人生に対しての向き合い方が凄まじい。
今だったら、子供は子供らしく遊んで寝て食べて、親の愛情を受けて健康に育てるのが、一般的な価値観だけど、この時代はそうじゃない。
特に衝撃的だったのは、光圀の親父の頼房がまだ10歳くらいの時、家康から「この天守閣から飛び降りた者に天下をやろう」と言ったら、他の十人の頼房の兄たちはビビリ倒してる中、頼房だけが「私が飛びます」と言ったという話がある。
11人兄弟の末っ子の頼房は「自分には将軍の座も領主の座も無いかもしれない」と子供ながらに思っていた危機感からの考えだし、そういう価値観の世界なのが衝撃的だった。

子供に関してはとにかく安い。
養子に出したり、養子に貰ったり、子供の意思は全く無視しているが、子供も子供でその価値観を甘んじて受け入れている。
天下泰平になり、命はより重くなったがそれ以外はまだまだ安い。

なんで、こんな感想を書いたかというと、他の光圀伝のレビューを見まして、その中に「今じゃ考えられない」と、今の価値観に合せて感想を述べてる見当違いな頭の悪いレビューがあったので、その対抗です(笑)

光圀伝はあくまで時代劇であり、今とは価値観がまるで違うと言うことお忘れなく。
ま、このnoteを読んでる人の中にはそんな愚か者は居ないと思うけどね。

総括

個人的はボリュームもあるし、読みやすいし、かなりの良書だと思ってます。
他の戦国時代小説みたいに、あの合戦ではこんな陰謀が!
あの武将の無双の戦い!や、幕末の動乱!攘夷志士と新選組の戦い!
みたいな派手なシーンはありません。
戦国時代は終わり、平和になった世の中で、戦場こそ生きる場所だった武士達がいかに生き、何を求め、何を大義としたか、その熱量と生き様は何か魂を震わせられるものありました。
歴史は戦いばかりじゃなくて、どうやって皆が平等に、その一生を全うできるか、その為に国家の運営をどうするか、刀や槍じゃない、頭と足と紙と筆で戦った水戸光圀の一生。

ぜひヒマな時に読んでみてくださいまし。



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