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KAZU WINE ついに日本上陸!

初夏の陽気が漂いはじめて、1年でもっともワインが美味しく感じられる季節になってきました。
巷では、大型連休にかけてナチュラルワインのイベントがめじろ押し!
どのイベントも主催者さんたちの熱意が伝わってきて、本当に楽しそうですね。

さて、みなさまに大事なご報告があります。
KAZU WINEのファースト・ヴィンテージが、ついにニュージーランドから届きました!

通関直後のワインと対面。感涙のあまり、お見苦しい表情でサーセン!

この5月から販売できるように、準備を進めております。
また、ワインをいち早くお試しできるイベントについても、記事の最後に告知がございます。

「あれっ、前の投稿ではスペインでワインを造っていたはずでは?」と思った方も、いらっしゃるかもしれません。
昨年の9月にスペインで仕込んだワインは、今年後半に日本に到着する予定です。こちらもぜひ、期待してお待ちください。

渡航制限に翻弄された、苦難の道のり

いつの間に、ニュージーランドでワインを造ったのか。
経緯をご説明します。
今回の記事も長めですが、どうかおつきあいください。

時は、2021年に遡ります。
療養期間を経て、ワインメイカーとして再出発を図る決心を固めたわたしは、その3月から収穫期を迎えるニュージーランドを訪れ、ぶどうの仕込みを手伝うつもりでした。
親友、ビジネスパートナーであり、ワイン造りの師匠でもある、アレックス・クレイグヘッドが営むワイナリーです。

しかし、待てど暮らせど、渡航制限は緩和される見込みが立ちません。
「この状況じゃ仕方ないよ、また来年一緒にやろう。ところで最近、うまいワイン飲んでるか?」と、アレックスからの電話。
「全然、飲んでないよ……」
当時は、経済的にも大変な時期でした。

すると、2週間ほどして自宅に大きな荷物が届きました。
箱を開けると、アレックスが手掛けたワインが12本。
途端に、涙がポロポロとこぼれ出たのを覚えています。

そして、翌2022年も、願いは叶いませんでした。
しかし、なにもせずに1年をやり過ごす気はありません。

「おい、今年は大豊作なんだ!カズの分もたんまりと仕込んでおくよ。どうせお前は収穫に来たって、いつもぶどうの足踏み隊長なんだし、手間が省けるだろ?あとは、アッサンブラージュで自分のワインを造ってくれよ」と、アレックス。

ワインは、混ぜると奇跡が起きる!?

アッサンブラージュとは、ブレンドを意味するフランス語。
異なる種類のキュヴェ(発酵タンクの中にあるワイン)をブレンドすることで、特徴の際立ったワインを造り出す技法です。
「え、単一のぶどうで造ったワインのほうが美味しいじゃん。ブレンドワインなんて、イマイチの出来のやつを混ぜてごまかしただけでしょ?」
そう思う方も、いらっしゃるかもしれません。

それは、ちょっと違うんです。
簡単な例を挙げますが、みなさんは、お料理をしますよね。
そのときに「お醤油 大さじ1/みりん 大さじ1/砂糖 小さじ2……」みたいな感じで、いろんな調味料をブレンドすると思います。

その場合、レシピの分量どおりに調合すれば、いつも安定した味になりますよね。
「今日はちょっと減塩しよう」と思ったら、お醤油を少なくすれば、お好みどおりになるはずです。

しかしワインの場合、この方程式がまったく通用しません。
「酸が足りないから、ちょっと酸っぱいぶどうを足そう」と思っても、酸味以外のいろんな要素が邪魔をして、いい塩梅にはなりません。
下手をすると、1+1が0になっちゃったりするんです。
そもそも、ぶどう自体のコンディションが毎年違うので、データを取ってもアテになりません。

アレックスによるアッサンブラージュの様子

ということは、その逆も然り。
ブレンドの加減によっては、1+1が3、下手すりゃ5にもなるんです。
アッサンブラージュでワインが大化けした日には、なにか人知を越えた奇蹟や感動すら覚えます。
そのミラクルを追い求めて、これまでに手掛けてきたワインは、ほぼアッサンブラージュで仕上げています。

もちろん、アッサンブラージュを行わずに、単一畑で収穫された単一品種のぶどうをタンクに仕込み、そのまま瓶詰めする造り手もいます。
それは表現方法の違いですので、どちらがいいとか悪いという話ではありません。

ついに、念願のニュージーランドへ

話を、ニュージーランドに戻します。
ようやく渡航制限が緩和され、昨年の11月に現地へ行ってきました。

場所は、南島北東部に位置するネルソン。
アレックスのワイナリーは、本当にいいところです。
まわり一面、見渡す限りのぶどう畑と、ありのままの環境で放牧され、牧草のみで飼育されている牛たち。
アレックスの両親や、パートナーのホセフィーナ、めちゃくちゃかわいい娘のクララとは、もう親戚同然のディープなつきあいです。

久しぶりのニュージーランドに心を癒やされたのもつかの間、さあ、真剣勝負のスタートです!

なにも知らずにアッサンブラージュの様子を見たら、おそらく理科の実験と間違えるのではないでしょうか?
手順としてはまず、ワイナリー内のタンクから任意のワインを抽出し、メスシリンダーに注いで並べて、ありとあらゆる比率でブレンドしたものを、試飲していきます。
無数のパターンを繰り返していくうちに「お!これは!」という組み合わせができます。
そうなったら、今度は5%単位で精密な調整を行っていきます。

しかし、この場で完成させた味が、そのままワインの味になるわけではありません。
瓶詰めされ、みなさんのお手元に届くころには、熟成が進んでワインの味わいは大きく変わっています。
つまり、先々の変化を予測して仕上げる必要があり、これが至難の業なのです。
昨年のアッサンブラージュも数日間を費やし、終わったころにはいろんなワインの後味で、口の中がガッビガビでした。

長年、飲食業の現場に立ち続けて良かったと思うのは、ソムリエとしての経験が、ワイン造り全般において役立っていることです。
仕事で磨き上げた嗅覚や、味覚を記憶する能力を、今回もフルに活用することができました。

ファースト・ヴィンテージのご紹介

では、今回アッサンブラージュした、3種類のワインについてご紹介します。

① "I'M SORRY MAMA" WHITE 2022(アイム・ソーリー・ママ)
ソーヴィニヨン・ブランをメインにブレンドした白ワイン。
パイナップルやライチーの香りがあり、レモンのようにハッキリした酸味のなかに、はっさくの爽やかさや、ハーブのニュアンスが見え隠れします。
13%のアルコール度数を感じさせない、きわめてスムーズな飲み心地が自慢です。

② "SEXUAL HEALING" ROSÉ 2022(セクシュアル・ヒーリング)
ぶどうを房ごとタンクに入れて発酵させる手法で、ぶどうの軸の香りが移っています。
ドライストロベリーやカシスの香りがあり、ポン酢のようなまろやかな酸味が特徴的なロゼワイン。
味わいはドライですが、立体感と奥行きが感じられます。
そしてテクスチャーはあくまで優しく、長い時間をかけて変化が楽しめる1本。

③ "DO THE RIGHT THING" RED 2022(ドゥ・ザ・ライト・シング)
カシス、ラズベリー、セロリ、コリアンダーの葉、フェンネル、タバコなどの、きわめて複雑な香りが印象的。
タンニンは豊富ながら、喉にひっかかる感じがなく、ピノ・ノワールの果実味がしっかりと後味に残る赤ワインです。
亜硫酸塩を使わず、アンフォラで発酵させたワインの特質が感じ取れると思います。

以上、南半球では初夏を迎えるニュージーランドで、最高のワインを仕上げることができました。

KAZU WINEが飲めるイベントを開催します!

今回のリリースに伴い、ワインショップの方々のご厚意で、イベントを開催させていただく運びとなりました。
場所は都内ですが、どなたさまでもご参加可能ですので、ぜひお出かけください!

【KAZU WINE 有料試飲会】
日時:5月5日(金曜日)13:00〜16:00
場所:Però下北沢
会費:2,400円(税込)
内容:テイスティング(KAZU WINE5種、アルテサーノ・ヴィントナーズ6種類の計11種を予定)
※参加者様にかぎり、対象のボトルワインを10%OFFで販売
※ご予約不要。詳細は下記のリンクをご参照ください
https://www.instagram.com/p/CrVE0KtPgEV/

【KAZU WINE お披露目イベント】
日時:5月8日(月曜日)18:30〜23:00
場所:NEW VALLEY & ファミレス by Newvalley(2カ所での開催)
会費:5,000円(税込)
内容:KAZU WINEのほか、藤巻と縁のある造り手たちのワインをフリーフローでご提供(フードはキャッシュオンになります)
※ご予約方法などは、下記のリンクをご参照ください
https://www.instagram.com/p/CrcXx-cPdP8/

次回の記事では、今回ご紹介した3種類と一緒にリリースされる特別なワインについて、たっぷりとお伝えします。
引き続き、ご注目ください。

《最新情報については、Instagramで随時お伝えしています!》

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